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連続小説「アディクション」(ノート14)

ギャンブル依存症から立ち上がる

この物語は、私の誇張された実体験を基に妄想的に作られたフィクションですので、登場する人物、団体等は全て架空のものでございます。

〈「レシピ」〉

インフルエンザは、「タミフル」を2回飲んだだけで、症状は一気に消え去りました。が、クリニックには閉鎖もされてるし、あと2週間行けなくなるので、その間は、例のカレーの「レシピ」でも書き上げようかと思いつきました。

今まで、そのようなものを残さずにしていたのが公務員の私には不思議だったので、塩月さんが言ってたポイントを思い出しながら、レシピを書き始めました。

切る野菜の大きさとかもイメージできるように、パワポで画像付きのレシピにしようかと、画像の素材はネットからいくらでもパクれるので。

出来れば、簡潔に、何とか2枚以内にして、しかも文字は読みやすく、、

などと考えながら書いているのも、なかなか面白く、それなりに立派に書き上げることができました。

そんなこんなで2週間が経ち、クリニックの通院が再開となりました。

「いやー、大変だったよ」

「魚さん、大変なのはアンタだけで十分でした」

「また随分なことを言うなあ。」

「まぁ、早かれ遅かれ蔓延はしたんでしょうけどね。」

「え、皆んなもあれからインフルにかかっちゃったの?」

「あのー、どうして昨日までこのフロア閉鎖だったか分からないんですか?」

「あ、そうなの?大変だったねー」

ある意味予想通りというか、この人はどこまで天然なのかということなんですが、周囲の人たちも概ね魚さんのことが分かってきたので、特に「アンタが原因だ」と責める人もおらず、責めても無駄という感覚が相場となっていました。

「皆さん、お久しぶりです。本日から再開となりますが、クリスマスフェスは3日後に控えてます。カレーの試作を本日早速行いますので、よろしくお願いします。屑星さんがレシピ、配置について休養中に原案を作ってくれました」

他のグループは通常どおりの開業だったので、アディクショングループは大きく遅れを取っている状況にありました。

原案はコピーされ、メンバーに配られました。

「私が仕上げ担当ですか?」

「はい、大北さん、お願いします。そこが一番難易度が高いですから。」

「ルーを入れて煮込むところですね」

「そうです。弱火でなく、中火で煮込むのです。鍋の側面からカレーが焦げてきますが、焦げる前に削ぎ落として鍋に戻せば旨味に変わります。」

「そうなんですね。」

「ここは、料理の命運を握る場面です。15分くらい格闘いただきますが、おねがいします。で、仕上げはガラムマサラ」

「わかりました。頑張ります。」

「そこに集中していただきたいのて、下準備などは他のメンバーで手分けして、それまではイメトレでもw」

実際に、短時間でカレーの旨味を出すにはこの方法が一番良いことを、とある調理師の方から聞いたことがあります。

大北さんは「頼りにしてます」といういわゆる「自己有用感」を満たしてあげれば、たぶんやる気を出してくれるだろうと考え、見事にハマってくれました。

人心掌握も、クリニックの心理学プログラムが結構活かせるので、やっぱ皆さん講義中に爆睡するのは勿体ないと感じておりました。

それにしても、この物語は依存症克服なのか料理モノなのかよくわからなくなってきました。今後「ラーメン」も取り上げる予定ですがw


「移動」〉

クリスマスフェスの「料理対決」は、我らがアディクショングループの圧勝に終わりました。

レシピ通りに作業を進め、最後は「守護神」と化した大北さんが、仕上げの15分間、バーコード頭を振り乱して渾身の格闘をした甲斐あって

「これぞ至高の一品です。カレーは今後アディクションの「名物」として、各イベントで提供頂きたいと思います。」

猪口部長もかなり感激されたようです。

そして、クリスマスフェスの振り返りミーティング終了後、私は才所さんに呼ばれました。

「屑星さん、年明けから、メンタルヘルスグループに移動してください」

「え、どういうことですか?」

「屑星さんにおいては、本格的に社会復帰の準備をしていただきたいので」

「ここでも、社会復帰準備ならできますけれど」

「メンタルヘルスグループのプログラムでは、より学術的なものも受けられますので是非、おすすめします。」

個人的には、島野さんと離れるのが嫌でしたが、

「ただ、週2回の夕方の依存症克服ミーティングには引き続き来てもらいます。そこは先方にも話してあります。」

(島野さんの顔は見ることができる)

「そうですか、どうもこれまでお世話になりました」

「こちらこそ。では頑張ってください」

移動が決まり、仲間の方々に報告がてら挨拶をすると

「いつでも戻ってこいよ」淡河さん

「すぐに戻ってきてください」倉骨さん

と、皆さん私が戻ること前提に激励していただいたのですが、結果的には皆さんの言うとおりになるのです。この辺はもう少し先の話となります。

あと、直後に魚さんがスタッフにメンタルヘルスへの移動を要望したのですが、たまたま巡回してきた理事長に捕まり説教されて却下されてたようです。

さて、次回からは「メンタルヘルスグループ編」となります。別名「胸糞編」かもしれませんがwww

GOOD LUCK 陽はまた昇る

くずぼしいってつ















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