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龍虎対決

「喜客商法」で熱烈的なファンが多いオオゼキ初の青果専門店となる「大関屋青果店」が 渋谷区幡ヶ谷の6号通り商店街にオープンしたという情報を入手したので早速突撃してしました。

 私は、今から25年ほど前、オオゼキ創業者・佐藤達雄氏(故人)の講演を聴きに行ったことがあります。佐藤社長(当時)がおっしゃっていたことで今でも印象深いのは、「野菜はアロマだ」と言うことでした。「野菜は見えないけれどアロマを発している。鼻で嗅げば分かる。アロマが出てない野菜を売ってはダメだ」と教えてくれました。

 当時は、値上がる前に安く仕入れたキャベツを1週間も冷蔵庫で保管しながら売っていたお店が多かったと記憶しています。例えば、クリスマス前には、イチゴが高騰しますから、安いうちに大量購入してチマチマと売っている店もありました。佐藤社長は、生きているうち、アロマが出ているうちに売れということを言いたかったのだと思います。

 商売では、見えないものを感じることが大切のだと教えてもらった気がします。

 京王線幡ヶ谷駅から、甲州街道を横切って、6号通り商店街のアーチをくぐって、すぐの立地に「大関屋青果店」はありました。店頭はお客で賑わっています。売場面積は25坪ほど、野菜60アイテム、果物が20アイテム並んでいます。この日は、大玉のサンつがるが88円(以下税抜き)、種なし柿88円、ホウレン草88円、岡山の誇る最高級のシャインマスカット「晴王」が1,380円です。百貨店では2,980円している商品です。

 鮮度がよく、価格に値ごろ感があります。店員さんは男性4名が表通りから見えます。活気もあります。店長さんに尋ねると、「これからは商店街の中の青果店が有効ではないか、20件ぐらい物件を探して、この場所に決めた」そうです。

 私も、お客が求めているのは、商品から出てくる「アロマ」や店員さんの「温かみ」を感じたいお客がこれからどんどん増えると思います。「美味しい野菜、珍しい野菜をすすめて欲しい」、そしてその野菜が美味しかったら「お礼を言いに会いに行きたい」のです。

 まさかオオゼキが路面青果店を出店するとは!私には驚きでした。なぜなら、佐藤社長の講演を聴きに行く数年前、池上線御嶽山駅を挟んで、当時日商100万円売ると言われた青果「安信屋」とオオゼキ御嶽山店が激突していたことを覚えているからです。

 「安信屋」の目の前は、ジャスコ御嶽山駅前店(現イオンスタイル)でしたが、ジャスコを寄せ付けず、年商3億円の大繁盛の青果店でした。当時私は、20代でしたが、朝から晩まで喫茶店に陣取って、店頭の様子を観察したものです。

 しかし、オオゼキ御嶽山店が出店して、「安信屋」の売上げに影響があったと言います。

 そこで「安信屋」では、アイテムを削るとともに、果物はグレードを上げました。1箱から得られる儲けは一緒。今までは1箱5,000円で仕入れたものを6,000円で売っていたそうです。それを6,000円のものを仕入れて7,000円で売りました。どちらも1箱から得られる儲けは1,000円です。グレードを上げると粗利益率は下がります。「安信屋」は薄利多売の道を選んだそうです。

 野菜は、原価割れの商品を来店客数の半分、原価の商品を3分の1の客数分毎日用意したそうです。原価割れ、原価、ちょっと儲かる商品、3品買ってもらって商売としてはチャラです。そして4品目で勝負するのです。オオゼキ御嶽山の出店を機に「安信屋」では、年商が3億円から5億円に大幅に伸びたそうです。

 そのあと、1999年春に「安信屋」が支店を江戸川区清新町に出店したとき、2000年春の1周年セールは、初日は「キャベツが39円」、2日目は「大根1本39円」でした。マルエツが核店舗のショッピングセンターのテナントゾーンへの出店でしたが、両日ともエライことになっていたことを鮮明に覚えています。

 私はオオゼキの大ファンですし、「安信屋」を尊敬しています。

 先哲の智恵が継承されることを望みます。どうも最近は悪智恵を働かせたる輩(やから)が増えた気がします。商いのこころは「誠」です。

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