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182銘柄・517アイテム

 かつて、ディスカウントストアでは、一般食品の売場をラーメンとドリンクに3割割り当て、缶ドリンクを38円、500mlペットドリンクを68円、カップ麺を68円、5食入り袋麵を198円で売れば大ヒットしました。連日10トントラックに満載に仕入れても、数日で売り切れました。「38円ドリンク」「68円カップ麺」は大人気コーナーでした。

 コロナ禍後、状況は激変しました。かつて屋台骨を支えてくれたロングセラーの商品群が売れなくなっているのです。

 食料品の値上げニュースがテレビの定番なっています。6~7月で3,000アイテム、今年一年では10,000アイテム以上が値上げと言われています。今までの例だと、値上げ前に、駆け込み需要がありましたが、今回はありません。

 菜種油原料のキャノーラ油は1.4倍に値上がりました。値上げを決めると「前替(ぜんが)え」と言ってメーカーとスーパーマーケットの間では旧値で販売する商品の量の攻防になります。通常、1ヶ月分位の前替えを用意し、スーパーマーケット側を納得させるメーカーが多いようです。無理して、3ヶ月分のキャノーラ油を買い込んだお店もあります。

 「これで大丈夫だ!」と思っていたところ、思ったようにまったく売れないのです。どうもお客は菜種油原料のキャノーラ油を敬遠し、健康被害の少ない胡麻油、米油、オリーブオイルにスイッチしているからです。

 同じように小麦粉、上白糖の「前替え」で確保しても売れません。小麦粉は片栗粉に代替えし、どうしても必要な人は国産小麦にシフトしているようです。米粉にもずいぶんシフトしています。また、精製された白い上砂糖ではなく、茶色の粗糖が人気です。「値上がったら『前替え』商品は争奪戦になるはずだ」という大方の予想は外れました。

 カップ麵は6月に8~12%値上げされましたが、3ヶ月経った今売れずに値下げされています。よくよく考えると、カップ麺は、食品添加物、グルテン、トランス脂肪酸、グルタミン酸ナトリウム(MSG)など添加物の塊ともいわれています。食品添加物やグルテン、MSGの危険性についてお客一人ひとりが自分で調べ行動に移し始めたということかもしれません。

 日本では当たり前のMSGが海外では制限・禁止されています。このMSGは、旨み成分である「グルタミン酸」とは、全く別物で、100%害になると以前から言われてきました。

 スーパーマーケットの棚割りを作っている巨大食品メーカーがMSG製造のトップブランドであったら、MSGなど化学調味料を使用しない「天然だし」を扱うメーカーの商品を棚から排除するでしょう。「天然だし」のメーカーは規模が大きくありません。いくらいいものを作っても店頭に並べてもらえないのです。

 これはすべての棚に言えることなのです。スーパーマーケットは実質巨大食品メーカーに支配されているのです。一人のバイヤーが立ち上がって、身体にいい商品を扱う良品的な地方メーカーを扱おうとしても、バイヤーの上司は元バイヤーです。巨大食品メーカーとズブズブの関係です。改革しようとすれば、左遷されるのです。

 地方のメーカー(御当地メーカー)で規模は小さく、今の段階では知名度はないのですが、いい商品を作っているメーカーもたくさんあります。長野イズミ「ドレ酢」、山上ファーム「まるおろしキャロットドレッシング」、丸正醸造「ガーニャカウダ―信州味噌ドレッシング」などです。

 私は、数年に渡って店頭を調査。「これは売れる!」と確信する商品が182銘柄・517アイテムあります。これらの商品は巨大食品メーカーの同じタイプの商品に比べ、価格は3~4倍します。巨大食品メーカーのものが100円だったら400円です。これを私は「100VS.400」と言っています。それでもこれらの商品は、「また食べたくなる味」「また買いたくなる商品」なのです。山上ファーム「まるおろしキャロットドレッシング」は豚しゃぶにかけて食べると最高です。

 巨大食品メーカーの株主の3割は外国人投資家が占めています。そうであるなら、御当地メーカーの商品を頼まれなくても積極的に売らせて頂くことが、私は「国守り」だと信じます。

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