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私の渡世日記

 NHK党の党首・立花孝志氏は、本気で「NHKをぶっ倒す!」と思っているのでしょうか。私は、本気でNHKを倒す気はないと思います。

 蟻が巨象にタイマン勝負を挑んだら、勝てるはずがないと思う人がほとんどです。ところが、蟻が巨象にタイマン勝負を挑んだ瞬間に、蟻は巨像をと同じくらいの大きさに巨大化するのです。「NHKをぶっ倒す!」と宣言した瞬間に、NHK党の党首・立花孝志氏は、NHKとタイマンを張るぐらい巨大化したのです。

 カネボウが、資生堂が牛耳る化粧品業界に参入したときに同じ戦略を採用しました。当時カネボウは食品メーカーで化粧品とは無縁です。資生堂が10だとすると、カネボウは1ぐらいの規模だったと言います。

 当時のカネボウは、資生堂の10分の1ぐらいの売上げだったにもかかわらず、資生堂が春のキャンペーンで口紅をやると、カネボウも負けじと口紅で勝負に出ます。秋に、アイシャドウをやるとカネボウも巻けじをアイシャドウをやったといいます。その瞬間に、カネボウは10倍に巨大化するのです。

 カルビーに対する湖池屋の戦略も同じです。カルビーは湖池屋の4倍以上大きな会社です。ところが、イメージ的には2:1か1:1に見えます。カルビーは大衆化戦略でしたが、湖池屋は高付加価値化戦略、新規需要開拓戦略です。私個人的には、湖池屋ファンです。

 私は四半世紀に渡って、イオン、バローなどの大型店と戦ってきました。大型店対策は、私の真骨頂で、「㊗イオンさん 開店おめでとうございます。お互いに地域のお客様のために頑張りましょう」とチラシでエールを送りました。上白糖1kg9円、玉子1パック9円、醤油1ℓ9円などすべてが大赤字のヤケクソです。

 ところがこの瞬間、大型店と対峙できるくらい、弱小の地方スーパーが巨大化するのです。

 通常大型店が出店すれば、地方スーパーは、倒産か撤退を余儀なくされます。ところが、この迎撃作戦により、地方スーパーが大繁盛し、1年目170%、2年目で売上げが3倍になります。

 四半世紀に渡って、喧嘩に開け、喧嘩に暮れた私のお話をさせてください。

 最初に戦いを挑んだのが、今を時めくヤオコーさんでした。真珠湾攻撃よろしく、緒戦は大勝利でした。緒戦は奇襲作戦で成功しますが、奇襲作戦は2度と通じません。緒戦以降は正攻法での勝負となります。このことをヤオコーさんに学ばさせて頂きました。

 イオンさん、バローさん、ヤマナカさんなどは大好物でした。学生の応援合戦では、エールの交換があります。私たちがイオンさんなどにエールを送っても、エールを送り返してくれることはありませんでした。残念ながら、同じ土俵に上げてもらえなかったのです。無視され続けました。そのかわり、必要にエールを送ると、送るたびにお客の支持を得ることができました。

 喧嘩する相手を間違えて、コテンパンに打ちのめされたこともあります。相手企業の創業者は、特攻隊の生き残りらしき経歴の持ち主でした。当時私たちは、菓子販売の革命児の異名をとり、㋱210円の米菓を99円などで売りまくっていました。相手企業の創業者は、私より40歳以上年長。しかも何度も修羅場を乗り越えています。胆力が違いすぎたのです。

 その方は、ドル箱の衣料品売場を菓子などのアウトレット売場に変え、生鮮品は、品揃えを圧倒的に凌駕し、価格は下をくぐってきたのです。蟻に巨像がまさか本気になって挑んでくるとは思いもしない出来事です。

 お手伝い先には迷惑をおかけしました。それ以来、私は、その創業者をリスペクトし続けています。

 その後、何人かの特攻隊の生き残りの経営者の方と御縁を頂きました。その話は別の機会にさせて頂ければと思います。

 勇気を振り絞って、一歩踏み出せば、必ず、応援者が現れます。私はそのことを信じています。

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