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商いの宇宙法則

 人を喜ばせると運がたまる、先に損をすると運がたまる。たまった運が閾値に達すると、いいことが続きます。いいことは永遠に続きません。たまった運が枯渇すると悪いことが起き始めます。これが商いの宇宙法則です。

 運が枯渇すると、運の神様は、いい出会いや試練を与えて、運をためるチャンスをくれるのです。出会いは偶然を装い、突然想像できない方向からやってきます。試練とは大型店の進出や、従業員の大量離脱、円安、仕入れ値の高騰など社会情勢の変化です。

 運は遠方よりやってきます。ライバル店が運を持ってくることもあります。「敵」を「恩人」と思えば運は開けます。

 試練にぶち当たったら、不平不満、愚痴、泣き言、悪口、文句を言わないことです。不平不満、愚痴、泣き言、悪口、文句を言った瞬間、運が遠ざかって行きます。

 繁盛店であり続けるには、運を枯渇させないよう心掛けることです。運をためる秘訣は、先に損をすることです。

 よく、「決算還元セール」を謳う店がありますが、儲かったから利益をお客に還元するという考えでは運はたまりません。先に損をするのです。これは「損して得取れ」の意味とは全然違います。損のしっぱなしで、見返りを求めないこと、これで運がたまります。

 2022年12月現在、鳥インフルエンザの全国的な蔓延で殺処分される鶏が増え、玉子の相場が高騰しています。Lサイズ10玉入りが仕入原価で180円します。これを店側が損をして、98円など100円以下で売ると開店前に大行列ができます。

 行列の一部は玉子目当てのお客です。店側が「玉子はお一人様1パック限りでお願いします。2パック欲しい方は2パック目198円になります」と玉子売場に立って叫んでも、一人20パック、30パックを買物カゴいっぱいに積み上げるお客もいます。「お願いですお客様!ルールを守って下さい」と店員が玉子を取り上げようとすると、「ルールは破ってない!駐車場に止まっているバスに家族が20人乗っている」と言い張り、断固として譲りません。

 なかには、玉子だけ持ってレジに並び、清算が終わると、再び玉子の行列に並びなおすというツワモノもいます。だったら、「『玉子以外の商品1,000円以上お買上げの方玉子1パック98円』とすればいいじゃないか」というお店もありますが、このような店は確実に運が逃げていきます。

 店主や店員、店側はルールを乱すお客が憎くてなりません。しかし、ルールを乱すお客は運をはこんでくれる運の神様の使いなのです。不平不満、愚痴、泣き言、悪口、文句を言わないでいると、運がどんどんたまっていきます。上がった相場は下がります。ライバル店が玉子の特売を控えるといずれ相場は落ち着きます。損を避けたお店は忘れられ、損が運を招くと考えた店にお客は好意を抱くのです。

 さらに、ルールを乱すお客に店員ではなく、常連客が「アンタだけルール乱したらアカンよ。この店がつぶれたらみんな困るんだからネッ」と糾してくれます。損をした結果、いつの間にか大応援団ができていたのです。

 すべての宇宙現象は波動です。商いは、売上高から経費を差し引いた利益、「フロー」でとらえがちですが、大切なのは「信用」というストックです。「信用」のストックとは、運をためることです。自分の都合よりもお客が喜ぶことを最優先する、損の道を得の道があれば、損の道を選ぶことです。

心が動くと運がたまる

 師匠・須田泰三が生涯説き続けた「店はお客様のためにある」「我、損の道を行く」は運をためる「真言(マントラ)」だったのです。

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