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成長は非連続性

 ある部門の月商が1,000万円から2,000万円、3,000万円、そして5,000万円と伸びていくためには、古い仕組みをぶっ壊し、新しいイノベーションを導入しなければなりません。

 例えば、万年月商500万円の青果部門(青果店)が、1,000万円売るには、「売り切る」ことです。自分の腹巻の中には、現金25万円が入っているんだ。その現金を丸々使って仕入をする。しかし条件があります。仕入れた商品は何がなんでもその日に売り切ってお金に変えることです。売上高目標は30万円です。

 ライバル店もあります。ライバル店より、鮮度と品質が良く、しかも安くないと売り切ることができません。そして、市場から帰りのトラックの中で、その日の商売を組み立てるのです。

 「キャベツが1玉100円で仕入れたけれど80円で目玉商品にしよう。大根も100円だったけど120円で売れるな。これでチャラだ。トマトは1玉50円だったから、4玉で290円!今日はトマトで勝負だ」など一品一品の原価をバラバラにして、損するもの、ちょっと儲かるもの、勝負するものに売価を組み替えるのです。

 作戦が当たれば、閉店までにすべての商品が売り切れるかもしれません。元手25万円が30万円になるかもしれません。失敗すれば、閉店時刻になっても大量に売れ残り、大幅に値引かなければ、明日仕入れる資金に事欠くかもしれません。何事も勉強です。値付けや陳列方法、「声出し」「声掛け」など工夫が生まれます。

 コツをつかむと、閉店時刻8時にやっと売り切れたものが、7時、6時と早まっていきます。すると今度は、「あの店の野菜、鮮度がよくてしかも安いから、夕方行くとなくなっちゃうのよ」と評判になり、開店前に行列ができるようになります。

 そしたら、売上高目標を1.4倍の42万円に引き上げるのです。こうしているうちに月商は1,000万円を超え、気が付いたら1,200万円になっているはずです。

 次の目標は2,000万円です。そのためには、新たな技術を導入する必要があります。まず、キャベツとトマト、この2つの商品の売り方を工夫することです。キャベツは先頭の位置に間口6尺、高さは天井に届くぐらい高く積み上げます。売価は常に原価割れ。50円で仕入れたら39円、80円で仕入れたら65円、100円だったら80円などです。販売数量は、スーパーマーケットなら来店客数の2割、路面の青果店なら5割です。

 トマトは、壁面に間口6尺で赤い壁を作ります。トレーに800g~1kgを盛付け、100g39円などg表示で値付けをします。品揃えは、野菜48品目、果物15品目に絞り込みます。そうすることで50坪の売場で、野菜なら1品目60cm、果物なら1品目180cmのフェイスを確保できます。

 陳列はすべて常温、並べ方は、大根(白)→白菜(白)→長ネギ(白)、など白→白→白など同じような色の商品を続けて並べないで、茄子(黒)の隣は南瓜(濃黄)などカラーコントロールを意識します。ピーマン(緑)の隣に茄子(黒)を並べないで、レモン(黄)を挟むのも定石です。

 売価は、100円以下なら15円刻み、100円以上なら25円刻みで、商品を見て第六感で原価付近の数字をあてはめます。100円以下なら、39円、50円、65円、80円、100円、100円をこえると125円、150円、180円などです。

 値入方法は、「4段階の値入ミクス」。原価割れの商品、原価の商品、ちょっと儲かる商品、そしてふつうに儲かる商品です。原価割れの商品、原価の商品、ちょっと儲かる商品、これら3品を売っても儲けはゼロ、チャラです。それ以上買ってもらえなかったら、儲けはゼロ、ふつうに儲かる商品までお客の手が伸びると、お店が成り立つ仕組みです。

 キャベツ、トマトはパレット単位で売れて行きます。これで2,000万円突破です。

 3,000万円目指すには、更なるイノベーションが必要です。まず品揃えです。トマトは、ふつうトマトに加えて、高糖度のフルーツトマトを導入します。目標は20銘柄です。さつま芋、じゃが芋も6~8銘柄常時品揃えを目指します。南瓜、蓮根などは2銘柄を比較販売します。

 果物は高級フルーツを売り込みます。ブドウは、シャインマスカット、クインニーナ、ブラックビート、藤稔、ナガノパープルなど。シャインマスカットは、2,980円、1,980円、1,580円、980円の4つの価格帯を用意します。シャインマスカット、クインニーナ、ナガノパープルの食べ比べセットも人気になります。

 果物は大玉をメインに扱います。メロンは4L、5L、梨は豊水なら5kg8~10玉サイズです。

 3,000万円の次は5,000万円を目指します。野菜は「A級野菜」を直接生産者から仕入れること、果物は出荷組合にお願いして、「御当地フルーツ」を大々的に扱えることを狙います。「A級野菜」とは、糖度7を超え、梨のような食感のある大根、糖度20、真っ白い北海道のフルーツとうもろこしなどです。

 自分は今どのステージに立っているのか。想像するだけでワクワクしませんか!

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