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モスが和牛350頭フルセット買い

 ハンバーガーチェーンを展開するモスフードサービスは、和牛をフルセットで350頭購入し、期間限定の和牛バーガー690円で販売中です。市場価格の低迷と、飼料代などコストアップに悩む肉牛飼育農家にとって、希望の光となっているようです。

 一頭買いで仕入れることでコストを抑え、パティには一般的に使用しないサーロインやヒレが15%含まれているといいます。

 モスはフルセットで350頭仕入れたと言います。パティは100万個分です。パティは1枚当たり83gです。和牛去勢、A2ランクで計算すると、枝相場1,800円×重量550kg×350頭でざっと3億4,650万円になります。100万個だとすると1個当たり347円です。

  外食産業の原価率は平均30%ですが、ハンバーガーショップや牛丼チェーンは意外と高いのです。例えば、マクドナルドなどのハンバーガーの原価率は、バンズ(パン)10円、肉18円、野菜10円、ソース7円で、100円で提供すると推定原価率45%です。バンズ10円、野菜10円、ソース7円、パティを前述の347円とすると原価率は54.2%になります。モスは、野菜とソースにこだわっていますので、原価率は6割を超えるものと思われます。

 モスの一連の動きは、安価なパティが入手困難になることが想像できます。その事態が起きる前に、肉牛飼育農家と直接取引に踏み切ったとも読み取れます。

 令和5年は大変なことが起きると予想されています。私はそれが「食糧不足」だと思います。昨年11月から、生産者との交流が増えました。2ヶ月で100人と交流しました。皆さんが口々に言うのが、米農家の離農がものすごい勢いで進んでいるということです。米相場の低迷と化学肥料の高騰で農協に出荷しても赤字だそうです。年齢も高齢化し、農機具が壊れたら離農する人が増えているそうです。

 日本の食料自給率は38%と言われていますが、国際金融連合の思惑で日本に化学飼料が入ってこなくなったら、自給率は一気に10%まで下がると言われています。

 日本人はマスコミの言うことをあまりにも信じすぎます。本来マスコミは、良いニュースと悪いニュースを同じ割合で流さなければなりません。ニュースを掘り下げて真実をあぶりだすのもマスコミの本来の仕事です。ところが、現在は、ニュースを捏造し、恐怖を煽るのがほとんどです。

 昨年末から鳥インフルエンザが大流行して1,000万羽が殺処分されたといいます。殺処分は養鶏場で行われているそうですが、以前のように殺処分されたニワトリを重機で穴を掘って埋めたとか、焼却炉で燃やしたとか報道されることがありません。鳥インフルエンザに罹った鶏を食べても人間に被害はないそうです。殺処分された鶏はどこに行ったのでしょうか。また、鳥インフルエンザに罹った鶏の9割が採卵鶏というのも謎です。

 思い出してください。2001年(平成13年)に狂牛病騒動がありました。輸入牛を和牛として国に買い取らせてぼろ儲けした「食肉利権者」の一部は一掃されました。アメリカ産の牛肉は全面輸入禁止になり、牛丼チェーン𠮷野家は2004年2月11日牛丼の販売を休止しました。1年後1日だけ再開したときの大騒動を私は今でも鮮明に覚えています。
  
 狂牛病騒動で、牛肉の卸売価格はkg1,130円からkg351円に下がったそうです。そのとき私が尊敬してやまないスーパーの社長は、畜産公社から和牛を20頭購入したそうです。社長曰く「和牛を飼育している農家は牛骨粉が混じった飼料は絶対に使わない」と読み切っていたのです。和牛サーロインを5枚入れて1,000円ぐらいで売ったら、すぐに売れたそうです。

 その後、2013年頃、空前と呼ばれる肉ブームがはじまり、とりわけ牛赤身希少部位(イチボ、シンシン、トモサンカクなど)と牛熟成肉が人気を集めました。スペイン産イベリコ豚が普及し始めたのもこのころです。交雑種を止めA4、5和牛一本に絞った私たちの仲間は大躍進しました。

 さかのぼること、1993年(平成5年)秋には、平成の「米騒動」が起きました。記録的な冷夏で米の作況指数は74まで下がりました。政府はタイや中国から米を輸入しました。輸入米を販売した米販売店はその後ほとんどが潰れました。

 「食糧危機」が起きたらどうなるのか。私は、今のうちに「S級商品」を扱う知識と技術を身に着けること、「A級商品」は取り合いになりますから、直取引できる生産者を徐々に増やし、生産者の言い値で買うことです。間違っても「A級商品」の不足を「B級商品」で穴埋めしないことです。平成の「米騒動」のとき、海外米を売った米販売店と同じ運命をたどりますよ。

生産物のピラミッドと楕円理論


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