共棲の間合い -「確かさ」と共に生きるには-@東京都渋谷公園通りギャラリーに行ってきました。
こんにちは。こはるです。
渋谷公園通りギャラリーに行ってきました。その感想を綴りたいと思います。
建物は古いけれど、パルコの斜め向かいで分かりやすく、車椅子リフトもあり、入口からインクルーシブルでした。
1.熱の部屋 村上慧
村上さんと言えば、『家をせおって歩く』活動をしている方。10年以上前の展覧会で、出会い、衝撃を受けたことを覚えています。
今回の展覧会のチラシを拝見し、今も続いているのかと驚きました。
「住むことのパターン」を試しているそうです。
絵本も出版されていますので、くわしくは下記のリンクご参照ください。
今回展示されていたのは、代々木公園で拾ってきた落ち葉と米糠と水から出来る発酵熱を利用した足湯。エコロジーな視点も取り入れているのですね。
ビニールの手袋をもらって、葉っぱに手を入れると温かい。
端っこはほとんどぬるくて、真ん中はあったかい。
すぐさっきまでここにいた誰かの温もりのようでした。実際は、人ではなく、微生物の発酵熱です。
2.無題 スウィング
NPO法人スウィングの活動が作品になっています。
彼らの清掃活動「ゴミコロリ」の記録写真や映像が展示されていました。戦隊ヒーローものの全員がブルーで、インパクトを狙ったそうです。
どうやら不審者とヒーローの中庸を行く活動のようです。際どいラインを攻めています。
裏口から見えた渋谷の街が作品の延長上のようでした。
日常から生まれた、歳は大人だけれどこじらせちゃっているようなポエムが大きく印刷されており、自由に読むことができました。
子どもが笑っていました。
「そう、肩肘張らなくていい。大人だって不完全な生き物だから。」と、心で呟きました。
3.アートママ 折元立身
作家の母上は、アルツハイマーとのことですが、母上が写真を撮られることに堂々としていて、ノリノリなことが面白いです。
親子が顔を寄せた写真など、どっちがどっちか分からなくなります。
子供を産んだら母になる。母から生まれて子供になる。それだけじゃない。
生物的な繋がり以上の絆を育んだお2人なのだと伝わってきました。
愛の大きさに泣きそうでした。
うっかり感傷に浸っていたら、写真撮り忘れました。
代表作の「パン人間」(頭部にフランスパンを数本巻き付けた状態で世界を旅し、周囲の人の反応とともに写真に写る)など、表現したくてたまらない強迫観念が伝わってきます。
4.無題 酒井美穂子
作者は、ひねもす「サッポロ一番 醤油味」を握りしめているそうです。
もしかしたら、作者は、自分の日常が作品になっていくことなど関心がないのかもしれないと思いました。
この偏愛を形にしておきたいと思ったのは、周囲の人なのではないでしょうか。一つ一つに日付の付箋が貼ってありました。
毎日、福祉施設の方から、新しい「サッポロ一番 醤油味」を支給されるそうです。他の袋麵ではダメらしいです。
会場には、触れる「サッポロ一番 醤油味」がありました。
カサカサ音がしました。
赤ちゃんがレジ袋のカサカサ音で、落ち着く話を思い出しました。
作者は、体内にいた時に聞こえた音を懐かしんでいるのかもしれません。
「確かさ」と共に生きるには?
展覧会のタイトルになっている共棲の間合いー「確かさ」と共に生きるにはー、一体どうしたらよいのでしょうか。
結局、「確かさ」を具体的な言葉にすることは難しいです。共に生きる優しさに触れ、この展覧会に来てよかったと思います。
寒い時期に、ホッと温かくなるような展覧会でした。
ありがとうございました。
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