見出し画像

2月10日(夜中)

おぉ、思ってたよりいい部屋。

―と思ったが。

やっぱり、こういう田舎のソファというのは、破れているものなのか?
この近くにもう一か所あるのだが、あそこも破れてるっていうか、穴が開いてる。
「飲み物とりにいこ、」
「なにのむー」
そのソファの上に、鞄と上着を放り、受付で渡されたコップを持つ。
ドリンクはご自由にとのことだったので、適当に淹れに行こうとしよう。
とは言え、悩むことはほぼない。
「結局それじゃん」
「いいじゃん」
結局毎回、ソフトドリンクはウーロン茶になる私である。
あまり、ジュースとか好きではないし。炭酸がそもそも飲めないので、必然、水かお茶に限られる。緑茶というのを案外見たことないので、大抵はウーロン茶になる。
「先戻るー」
「あーい」
未だに悩んでいる相方を置き、部屋に戻る。
ありがたいことにドリンクバーの近くに部屋を貸してくれたので、そこまで歩くこともなく戻る。
「……」
さて、何を入れるかな。

とりあえず、いつも一発目に入れる曲を適当に打つ。
「採点入れた?」
「あ、入れてない」
曲を送信する前に、一度ホーム画面に戻り、採点を押す。
まぁ、ぶっちゃけ入れなくてもいいのだが。あればあるので、楽しくはある。うまいも下手も気にはしないが、純粋に点数を付けられるのは、あまり悪い気はしない。
「なんか食べる?」
「んーポテトとかでいんじゃない」
さっそく、一曲目のイントロが始まりだしたタイミングで、声を掛けられる。
あまりこういう所では、食べ物は食べないので、何でもいい。
飲み物さえあれば、どうでも。
ここは、歌う場所であって、食べる場所ではない―という私個人のこだわりというか、そんなのもあって。
「――♪」
「あ、すいませーん」
ん、結局何を頼んだんだ。
……ポテトと、ピザ。ピザ?そんなのあるのかここ。
歌いながら、タブレットを操作しながら、相方の電話を聞く。
一曲目は、慣らし目的だし、ちゃんと歌ったりしない。
「……」
なんか、うざい人みたいでいやだな。
ちゃんと歌いはするけど、点数取りに行かないみたいな……そいうわけでもない。なんか、まぁ、ほどほどの感じで歌う。
もう二曲目も入れてるし、ほどほどで。
「かしてー」
「――♪」
せがまれ、相方にタブレットを渡す。あと一個あそこにあるが?
歌いながら、画面を見ていると、何を入れたのかがわかる。
おぁ、好きだなその曲。


「「ありがうございましたー」」
夜中のこんな時間まで、働いているカラオケ店のスタッフにお礼を伝え、店を出る。
「楽しかったー」
「ひさしぶりで、喉つぶした」
「どんまいw」
その上、久しぶりにオールというのを、したせいか。体力が底をつきかけている。
時間は夜中。
外は真っ暗。
車は走っていない。
街灯は光っているみたいだが。
見せはほとんどが、電気を落としている。
「コンビニ行く?」
「んーなんかあれば」
車に乗り込みながら、この後の予定を立てる。
もちろん飲酒はしていない。そも、あまり酒を飲まないし。歌うのにアルコールはNGだ。
「行くかぁ」
エンジンをかけ、車を走らせる。
あ、対向車。
意外と車いるんだな。
てか、ライト眩し。ハイビームにでもしてんのか?
「眩しくない?」
「眩しいよ」
車を走らせながら、目的のコンビニへと向かう。
あのカラオケ店の近くには、青と緑の店があるのだが。目的は赤なので。
家がある場所を通り越したところにある、赤いコンビニへと入る。
「なんかあるかな、」
「なんかはあるでしょ」
中には人は居ない。
店員が一人、暇そうにレジにいた。
「……」
んー。なんか腹に入れたいんだよな。
あったかいスープとかあればいんだが……。
お気に入りは豚汁。
が、今回はないようだ。
お、鶏飯があるじゃないか。ゆずが入ってるので、あまり好みではないが仕方ない。これでいいか。
「なんかあった?」
「ん?決めたの?」
相方は、ラーメンを持っていた。
太るぞ。
こんな夜中に食ってる時点で、私も同罪か。
「おねがいしまーす」
ぼーっとしていた店員に声を掛け、お会計を頼む。ついでに温めも頼んだ。
支払い…バーコードで良いか。
「……」
「……」
「……あの、」
「あ、あぁ、ごめんなさいね、ぼーっとしちゃって」
携帯を差し出し、バーコードを読んでもらう。
人が居ないからと言って、気を抜きすぎじゃないかこの人。
ま、こんな夜中に来るようなとこでもないな。田舎だし。
「ありがうございましたー」

さー、さっさと帰って。ごはん食べて。寝るとしよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?