REALBLADE(1st.)第4話「肉を喰らう怪奇花」(つづき)

※この話は「オリジナル作品」です。登場人物、事件等は架空の内容である。しかし、当然著作権はありますので何卒ご了承下さい。

中央公園の入り口では、報告通りに看板を出して大っぴらに花の皮を被った恐ろしい怪獣がファンシーグッズの様に売られていた。

ルナ:「ブレイダーズの者です。そのお花、巷を騒がせている怪獣の仮の姿ですので人の命を最優先にする為にここの全てを押収します。文句なら軍にお願いします」

販売店員:「え?これ(花)って、怪獣だったんですか?」

客A:「お花の怪獣が、こんな物だと言うの!?」

客B:「お、おい!それじゃあ、今買ったら俺たちこの花に食べられるのかよ!?」

ルナ:「(仕方ない)この花を処分するかしないかは研究が終わってからにします。問題がなければ各ご家庭に後でお送りしますので」

客C:「まあ、ブレイダーズが言うなら仕方ないよな」

客D:「仕方ないかも知れないけど、ちょっと強引…」

ケビン:「怪獣被害をなくす為だ。静かにしろ」

萩原:「押収はしますが、軍の中で怪獣が暴れないといいけど」

ルナ:「無論その時は私とケビンの力で一刀両断させる」

ケビン:「おのれ植物型怪獣め…こんな可愛らしい花に化けて、本当は何が目的なんだ!?」

その後、軍の研究施設より特務派遣研究員らがやって来て調べたのだった。そして、衝撃的な事が判明するのだった。

研究員:「萩原先生、研究の結果です」

萩原:「・・・こ、これは!!」

ケビン:「どうしたオサム」

研究員:「この植物には人の感情を食べれる習性があったのです」

ルナ:「それで?」

研究員:「驚いた事に水を栄養源にしているのではなく、人の感情をエサに生きてきた花なのです。」

ケビン:「人のポジティブな感情もネガティブな感情も食べてたらキリがないだろうに」

ルナ:「そんな複雑なものをこの花は食べて来たのね」

萩原:「でもそれだけじゃありません。この花は感情だけに飽き足らず、人の血…やがては肉の味を知ってしまった存在なのです」

ケビン:「それでこの花を育てていた人らはこの花に喰われて、栄養源にされてしまった…と言う事だな」

ルナ:「花・・・と言う事は、種子が飛んだりすれば…」

萩原:「そうです!風に乗って色んな国にこの怪奇花の種が飛んでいってしまえば忽ち人々だけでなく動物達も食べられてしまうかも知れませんよ!」

ルナ:「よし・・・こんごぉ・・・」

???:「ま、待ってーー!!!」

ケビン:「君は……さっきの!」

萩原:「どうなさったのです!?またどこかで花が怪獣になったのですか?」

???:「違うわ。その花はね…実は私の友達でもあるの…」

ルナ:「え、どう言う事?この花が友達って…?」

???:「私は子供の頃に、この花と一度出会っていたんです。」

???:「申し遅れました。私の名前はゼフィール。この近くの家で美術教室を営んでいる者です。実は私、この街にはここ最近やって来たのですが、以前住んでいた国で不思議な男性からその花を渡されて以来ずっと肌身離さず生活を送って来ていたんです。」

ケビン:「はなみはなさず」

ルナ:「(ケビン、やかましいわ)なるほどね。ずっと居ると例え話せる存在でなくても親近感湧いたりして友達の様な関係になる事だってありますよね。」

ゼフィール:「いえ、驚くかも知れませんがその花が私に話かけて来た事があって…」

萩原:「この花、人を食べるだけではなく会話もできたんですか!?」

ケビン:「恐ろしい花もあったものだ…」

ゼフィール:「確かあの時は……子供の頃、私が誰とも仲良くできなかったから独りぼっちの時間を過ごしていたら不思議な男性に鉢植えと共に花をプレゼントされて」

ゼフィール:「それで、その男性はこう言ったの(独りぼっちは辛いだろうからこの魔法のお花を君にプレゼントする)って。疑心暗鬼にその花を見ていると、いきなりお花の方から私に語りかけて来たのよ。確か…」

販売店員&怪奇花:「…こんにちはお嬢ちゃん…ってね」

一同:「!?!」

販売店員&怪奇花:「何を驚いているんだい皆は。私はこの人間とは一心同体の身だ。」

ルナ:「た、た…確かにお話ししてるよこのお花…って、販売店員を操ってこれまで自分の仲間を各地へと売り広げていたのね!!」

販売店員:「・・・うぅ、この花だ!!こ、この花が俺の意思を・・・く、ぐわぁぉぁぁぁぉあ!!」

怪奇花:「お前はもう用済みだ。食べる価値もないな…」

ケビン:「人の肉を食べたり会話のできる花だと…!?」

萩原:「ええ。確かに我々の目の前で話している。まさに我々の常識を超えた存在…怪獣!!」

怪奇花:「失礼だな君は。私は会話出来ないお嬢ちゃんの友達になる存在なんだよ。」

ゼフィール:「そうです皆さん。この花は悪い存在ではありません。私の唯一無二のお友達となる存在なの!」

萩原:「しかし、人を食べる花は残せないよ!」

怪奇花:「ほほう。では、牛や馬を肉に加工して食べてるのは誰かな?」

ルナ:「それはもちろん、食物連鎖上では人間や牛や馬よりも強い存在と言えます…が、この事を理解出来ますかお花さん」

怪奇花:「勿論分かるとも。なんせ昔、勉強好きなそこのゼフィールちゃんから教えてもらったからね。」

ケビン:「(こいつ、人並みの知能指数があるだと…!?)では、単刀直入に聞く。お前はその恩人でもあり、友達であるゼフィールを食べたいと思った事はあるのか?」

怪奇花:「・・・ああ、あるよ…。もちろん…今もだけどなぁ!!!」

ゼフィール:「きゃぁっ!!」

ルナ:「ぜ、ゼフィール!!・・・・たった今より軍務規定により私達が貴女の盾になります!!」

ケビン:「友達だったら食べていいのか!?」

怪奇花:「友達なら何処かへ行かず、ずっとわたしの腹の中で取っておけるだろう?」

萩原:「そんな事、させるものか!!植物には・・・熱だ!!」

怪奇花:「う、うがぁぁあ!?!!ね、熱はい…いやだぁぁあ!!」

ルナ:「お花さんと言えども、やはり植物。火や熱には弱い存在ね」

ゼフィール:「お花さん…私なんか食べても…」

怪奇花:「ぜ、ゼフィール!!熱い!!あ、あつぃぃい!!水をかけてくれぇえっ!焼け死んでしまう!!」

ケビン:「ルナ!!この怪奇花の元を断つぞ!!」

ルナ:「ゼフィール。最後に聞いておくわ。このお花さんとの悪い関係は私達が断たせます。良いですね…?」

ゼフィール:「・・・・はい。(友達だった…でも、また独りぼっちになってしまうのね私は…)」

ルナ/ケビン:「(ゼフィール、すまない)金剛剣ッ!!・・・いっとぉおお、りょおおおうだぁぁあああんんっ!!!」

怪奇花:「う、うぎゃぁあ・・・・!!!!」

ゼフィール:「・・・ち、散っていった・・・」

萩原:「この花弁も・・・」

ゼフィール:「・・・ううん。違うわ。この花弁からは悪意なんて感じられないから。それに…」

ケビン:「ゼフィールさん。お友達の件ですが・・」

ゼフィール:「お友達が居なくなった事に関しては、もう向き合う決心がつきましたから。それに・・・」

ケビン:「それに?」

ゼフィール:「以前もあの花から食べたい趣旨、気持ちが伝わって来ていましたから。いつかはこうなる日が来るのではと薄々勘付いてはいました」

ゼフィール:「どこにでもあるようなお花。でも、一つ一つのお花には出会って来た人との記憶や思いがあるんですね。今回の件であの花から教わりましたから」

ルナ:「ゼフィールさん…。お気の毒ですが」

ゼフィール:「良いんです。取り敢えず友達との別れは終わりましたから、次は出会いが来るって事ですよね」

萩原:「僕が…あなたの友達になる。と言うのはいけませんか?」

ゼフィール:「え?」

萩原:「僕も好きな事以外だとあまり人と話しませんし、なんなら話せない。そんな弱い部分があるけれども僕は貴女にどこか自分と似た様な顔を見ました。」

ゼフィール:「ふふ。なんだかプロポーズにも聞こえる…。でも、私もあなたがどこか自分と似た様にも見て取れるのはなんでだろう。不思議だ。でも、友達になってくれますか…?」

萩原:「はい、それは勿論。こちらこそと言いたいです」

ルナ:「良かった良かった。一先ずは、決着がついた」

ケビン:「(オサム…)まあ、色んな意味で決着がついたよね。でもさ、僕たちもこの先誰かを失う事が分かっているならここで別れていた方が…」

ルナ:「何言ってるの!その一日一日を親密に関わっていれば怖くないって!」

ルナ:「あのお花さんが言っていた言葉…私達は自分の友達や愛する人をずっと取っておくなんて事出来るわけがないでしょ。彼らと私達人間が違うって事は、自ずと分かるはずよ。そうでしょう、ねえケビン?」

ケビン:「…そうだね。じゃあ、本部へと戻ろう」

その後、本部へと戻った私達は隊長より「この事件が起こった事の発端」を知らされるのでした。

隊長:「この事件の発端となったもの…。それらは被害者が皆、友達となる存在が居らず本人が望まず孤独な生活を強いられていた事が背景に浮かんでいた。」

隊長:「そんな被害者らが、ネガティブな感情をエサにすると言う花があると聞いて飼育し始めた頃と同時に飼い主の人の血の味を知り、そこから負の感情や想いを知り尽くしたのだそうだ。そう、君たちの報告にあった様に、あの花達は自分がこの人を食べれば私たちはずっと一緒にいられるに決まっている…のだと」

この事を聞いた私達は恐ろしい花が世の中にもあったものだなと肝を冷やすのだったー・・・。

ルナ:「(今回の怪奇花の事件は人間の弱い部分が植物達に悪い影響を及ぼしたものだと考える。昨今の、弱い人と強い人との隔たりを無くす動きも全世界で見られてはいるものの、やはりどこかまだ人間はお互いの信頼関係さえも見ておらず、尚且つ人間社会の中で孤独という問題と向き合うにはまだまだ時間がかかるテーマ性と今回の事件で判明しました。私もいち早く、彼らを守れるナイトにならなければね。)」

≫第5話に続く

【次回予告】
ルナ:「私の憧れの人…それは私がまだ少女だった頃のお話」

ケビン:「どんな人に憧れていたの?」

ルナ:「そりゃ勿論、お金いっぱい、夢いっぱい、愛も重すぎず軽すぎず、かと言って束縛するわけでもなく…」

萩原:「止まらないよこれ」

ケビン:「ルナは欲が深すぎる。強欲すぎるのも罪だぜ」

萩原:「てなわけで、次回リアルブレード第5話:「鏡の中の王子さま」です。」

ルナ:「さあ、次回もリアルを掴め、ブレードの名の下に!!!」