REALBLADE(1st.)第2話「噂の無い街」
【ストーリー】
西暦2027年1月、太平洋沖上に新しい島が生まれたと言う新年早々嬉しいニュースで幕を開けるのだった。
国連は早速この島を最初に訪れた地理学者のブレード博士の名から取って「ブレードライン諸島」と名前が付けられた。
しかし、その位置領土と環境に目を付けた太平洋に近い各国らで島の争奪戦が始まってしまうのだった。
その時から既に本格的か第三次世界大戦が始まり恐れていた核戦争状態に陥っており、最初はブレードライン諸島の領土を手に入れる為に戦争に勝つ事だけを各国だが、最早勝つ事だけを全うするようになり、人権は存在せずに
その時代になると、かつてあった国際連合等の組織も機能せず、第二次世界大戦後に結んだ平和条約や平和協定などどこの国にも存在していなかったのだった。
そして、同年3月13日。とある国の放った衛星兵器(別名:オリュンポスの槍)の攻撃により地球上のほとんどの国は壊滅状態に陥り、第三次世界大戦はこの攻撃を最後に徐々に鎮火し、戦争は終結するのだった。中にはオリュンポスの槍攻撃により海の底へと沈んだ国も存在した。
母国が海に沈み行く様を背に、国外脱出する人を乗せた船舶もあったが、海上で残党軍からの無慈悲な攻撃により命を落とす者がいる一方、命からがら海に飛び込み漂流し、奇跡的に助かった人もいた。
三度新しく設立された国際連合の決議の結果により各国内部で残された者や、助かった人達は優先的にブレードライン諸島で生活を送る事が許可され後日、移住船に乗り希望する者は安寧の地であるブレードラインに向け出航した。
そして、同年4月1日。
その頃には第三次世界大戦も事実上終わっていたが、別の課題が残っていたのだった。
その課題とは「核の冬」である。ちなみに核の冬とはしばらくの間は粉塵等により地球は太陽の光が届かず暗く寒く、植物も育たない暗黒期を迎える事である。
即ち、核兵器や大量殺戮兵器等使用をしてきたツケを払う時が来たと言う意味である。
しかし、現人類には核の冬や俗に言う「灰が降ってくる現象」等を解決出来る様な機械は無かったのだった。
刻々と近付く人類社会崩壊までのタイムリミットはもうすぐそこまで来ており、各国の科学者達は悩んだ末、遂にコールドスリープマシンを完成させるのだった。
だが肝心の被験者を誰にするのかと言う問題があり、今ここで眠れば核の冬による影響を比較的受けず助かるが目覚めた先の未来で人間社会や文明の再建に尽さなければならない重大なミッションが課せられており、興味本位で出来る事ではなかった。
そんな時、とある人物が参加する事になった。その人物とはなんとブレードライン諸島を初めて研究した「ブレード博士」その人である。
21世紀に生きる現代人が核の冬に苦しめられる一方で、ブレード博士や、託された者達はコールドスリープマシンに入り、それから長い年月の間眠りにつく事となる……。
そして舞台は遥か未来まで進み、時は西暦2160年頃。
ブレード博士は、コールドスリープマシンから目を覚ましマシン外に出ると他の被験者達と久しぶりの再会を分かち合い、人類の増殖とインフラの整備を始めるだった。
ブレード博士達の働きにより、地球人類は瞬く間に増加の傾向にあったが、同時に人類達の肉体に変化が見られ始める症例がその頃増えつつあった。
その症例とは肉体(腕や足だけでなく一部の者は頭部をも矛先に出来る)を強靭な剣に変換させられる事が可能になっているという驚きのものであり、研究班による見解としては「赤血球…即ち血液中のFe=鉄分(金属)が、人が本来持つ喜怒哀楽の感情(精神)と結合する事によって武器にも盾にも変化出来る様に変換できる様に突然変異が起きている状態と確認」と言うものだった。
後にその変質的肉体内刃状変換血液は「B=Type・Blood(通称:ブレーディブロッド)」と呼ばれ、AやB等の型の区別が無く本来人間が持つ血液とは違う為に、人間が進化では無く「変化」しただけとの報告がされ、それを機に血液も型からタイプと位置付けられる様に言われる事となっていき血液Bタイプの人は一時期絶対的な力を有する剣力者(剣を保持する権力者)と周りのものから恐れられる一方、街のボディーガード的な立ち位置に留まる存在が多かった。
しかし、その力は人類にとってあまりにも危険な変異の力であった。その為にその変換が悪意ある人が前の戦争等を始めない様に、無効化させる医薬品も開発されていく様になり、段々とこの問題については解決の見通しが見られる様になったのも実に西暦2271年頃の事であった。
ブレードライン諸島を発見したブレード博士らが始めた地球人類文明社会再建計画が始まって何十年と言う年月が過ぎその間、核の冬による灰の為に病気を患い幾許かの犠牲が払われた末にようやくブレードラインが独立国となり、この栄誉とそこに住む人達の強い要望でここに1代目ブレードライン国国王としてブレード博士が即位宣言する事となり、そのブレードラインで生まれた者をブレード人と言われるようになったのはその頃からだった。
それからしばらくの間、地球人達はせっせと経済と文明をゼロから作り出して行き新しい船出に上手く乗り出せたかの様に思われた…だが、一難去ってまた一難か。今度は創作物ではお馴染みの敵として出てきた所謂「怪獣」と呼ばれる存在が地球地上より現れると言った以上現象が全世界を騒がせるのだった。
人間はこの危機を脱する為に、一時は危険だとされてきたブレーディブロッド(Bタイプ血液)の本来の力を利用して、本格的に怪獣から国を守る防衛組織を作る事となり翌年、特殊軍務機構S.T.I(Special Military Service Organizationの略)を結成。その部署は(3つ)に分けられており、地上では剣で闘う剣闘士をモチーフにしたソルジャー部隊「ブレイダーズ」、
空中では主に銀翼の戦闘機に搭乗した狙撃手が活躍する狩人スナイパー部隊「ハンター・ナイト」、
そして絶対的な権力者を相手に闘う賢者をモチーフにしたエリート集団「レイアル・ブラッド」である。
ブレードラインに現れた怪獣を倒す為にSTI隊員は今日も己の職務を全うする為に出動して行く-・・・。
【登場人物】
☆エノメ・ルナ/本作の主人公であり、現在フリーランスの騎士になる為に毎日奔走中の女性。
☆ケビン・スコルニッチ/本作のヒロイン枠で、ルナの右腕的存在。担当は分析で、オープンマインドな性格をしている男性。
☆萩原 理(はぎわら・おさむ)/本作のキーパーソンキャラ。今は亡き日本国出身の純粋な日本人男性で、担当は怪獣細胞の調査研究。
※この話は「オリジナル作品」です。登場人物、事件等は架空の内容である。しかし、当然著作権はありますので何卒ご了承下さい。
《前回までのあらすじ》
西暦2027年1月、太平洋沖上に新大陸が生まれた。国連によりブレードラインと言う名前が付いた。しかし、ブレードラインを独占しようとする国があまりにも多く出た為に第三次世界大戦が始まり、人類は愚かにも核兵器や衛星兵器を使い惨劇が日夜繰り広げられた末に、無意味な事だが勝った国もあり、当然負けた国もあった。やがて地球人類は三度人類文明社会の再建をする為にしばらくの間コールドスリープ状態になり長い年月を機械の中で過ごし、実に西暦2871年のブレードラインまで時は進むのだった。そこで軍人(仮初の形ではあるが一応は軍)としてブレードラインを守る1人の女性隊員が居た。その人こそ、本作の主人公であり、語り口でもあるこの私「エノメ・ルナ」である。
私は周りの人がフリーランス(各部門の専門知識を持った学者傭兵)であるので、自分も早く専門知識を身に付けて何か一つのテーマを担当出来るナイト(騎士)になれる様に、相棒の「ケビン・スコルニッチ」と共に、出現する怪獣や諸問題に対応に当たっていた。そして、そんな私達の前に新しい仲間「萩原 理(通称:オサム)」がやって来るのだった。
--第2話:「噂の無い街」--
〜S.T.I.軍本部基地内・ブレイダーズ部署〜
咲子:「はいルナ。あなたにお助け要請が来ているよ」
ルナ:「ありがとうサッちゃん。(……ふむふむ、ブレードライン北部のブロチェックからね。…って、途中途中なんだか虫喰い部分なのか読めない所があるな。検閲でもされていないか心配だけど)」
咲子:「チラッ(…何だろう、記号とか文字が不規則に並んでる。何かの暗号かな?…イタズラで要請したとは思えないし。まさか…地域ぐるみで隠蔽でもしてるの?!)」
ケビン:「お、出動要請来たのか。なら俺も同行するよ」
ルナ:「へ〜。で、それはどっちの意味でかしら?」
ケビン:「無論騎士は貴女を守るのが使命ですからして。」
ルナ:「ケビンにも任務が…って、今日は生憎…運良く無いか」
ケビン:「今ちっさくだが運良くって聞こえたぞ」
ルナ:「聞こえる様に言ったのよ」
ケビン:「ふんッ、僕が必要な程の問題が無いならそれでいいじゃ無いか。さ、お呼びなんだ早く行こう。」
萩原:「二人ともお気を付けてね」
ルナ/ケビン:「ありがとう。それでは行ってきます。」
ー・・・、私達はブレードラインの北部・ブロチェックという街へ向けて移動していた。そして、自動運転機能車に乗せられたまま約2時間程度するとブロチェックの入り口に到着するのだった。
ルナ:「ここからがブロチェックなのね。それで…どんな街なのかな?」
ケビン:「え、事前に調べたんじゃなかったの?」
ルナ:「うーん、どんな街なのか名前しか知らなくって…」
ケビン:「そうか。実はね、僕の方も移動中に調べてみたんだけど情報が全く出てこないんだよ。変だね」
自動車AI:「こちらがブレードラインの北部・ブロチェックです。………」
ルナ:「…そ、それから…??」
自動車AI:「以上です(キッパリ)」
ルナ:「(ドッ)情報ないんかーい!!」
ケビン:「百聞は一見にしかず、街の情報だけを見たり聞いたりしただけでその街の事を知った気でいるのは騎士の名折れだ。早速行ってみようよ」
ルナ:「待って。ケビン…私、ここの街には検閲が貼られているんじゃ無いだろうかと睨んでいるの。」
ケビン:「まだ確たる証拠は無い。でも街に入ってから冷たい空気が肌を刺激している…。出直すかい?」
ルナ:「…そうしたいけど、困っている人を見過ごす訳にはいかない。だって…検閲を掻い潜ってやっと私達に届いたSOSだと私は思うから。」
ケビン:「そうか。なら僕は騎士として君の盾になるよ。」
自動車AI:「乗ってく〜??」
ルナ:「ここから先、車両通行禁止だって。はい、収納。」
自動車AI:「また好きな時にお呼び下さい〜。それでは」
"《はいここで、ルナちゃんのリアブレ事情のお時間!今、私が収納したのは皆が知っている様なあの自動車です。あんな鉄の塊が衣類の中に収納出来ると思えないよね。これは私が生まれるずっと前、西暦2700年代頃には既に出来ていた技術で、車のボディーに使われる部品が縮小・拡大は勿論、風船の様に膨らませたり、反対に壁の隙間に収納出来る様にペラペラな壁紙上に出来たりと「車の変形が可能」になっているんです。トランスフォーーーーーームッ!ってね。で、今のが縮小させて服のポケットに収納したという訳。》"
…やっとブロチェック街に入った私達は、一刻も早く自分達に助けを求めて来た人(大事な名前の部分が消されてて分からない…)を手当たり次第に探す事にした。
驚いた事にここは人通りが少なく、ゴーストタウンと言った方が近く、ブロチェックは初めて足を踏み入れた為にその街がどんな所かも知らず、異国を旅する時の心境に近いハートで初めの一歩を踏み出すのだった。
ルナ:「同じ国だと言うのになんで知らない場所があるんだろう…勉強不足だわ。自分が情け無い…」
ケビン:「それを言うなら僕も同じ心境さ。まあ、いずれ分かる真実をこの目で見届けるまでは悲観的になるな」
ルナ:「ありがとう。」
ケビン:「そう言えばこの事は本部にはもう伝えた?」
ルナ:「自動車AIのネットワークを通じて本部の方に連絡は済ませたから、あとは有事の際に人を撃てる勇気」
ケビン:「そうか、ありがとう。でもね、本音を言うとさその連絡関連は僕の役目だったんだけどな(泣)」
ルナ:「あら、それはごめんなさいね。今日のケビンの活躍の場は終わってしまったかもしれないわね」
ケビン:「ムッ…何でこうも他人にキツくあたれるかな」
ルナ:「そうじゃないと私らはやっていられないから」
ケビン:「僕はルナのサンドバッグじゃねえっての(笑)」
ルナ:「(ふふ、不安が少し紛れて来た)……ねえ、怖い?」
ケビン:「怖い訳ないだろ。僕は金剛皇陛下に命を捧げているのだから」
ルナ:「ねえ、それも一種の宗教なの?」
ケビン:「そうだ。毎朝、金剛皇陛下に祈りを捧げている」
ルナ:「へえ。そういうものもあるんだね。」
ケビン:「……ルナ、僕なんかじゃ心細いだろうけれど…」
ルナ:「…!!待って!今、人の存在を確認出来たよ」
ケビン:「ああ、こちらの機器でも僕ら以外に1〜3人居ると分かっている。だけれども…」
ルナ:「変ね…その人達のデータが出て来ない。」
ケビン:「まさかとは思うけど、この街では人が人として扱われていないんじゃ無いのかな…」
ルナ:「(国民のデータは生まれた時に作成される。でも、それが無いのなら益々、この街を牛耳ってるボスから外部にデータを出さない様に検閲している可能性が濃厚。)…だとしたら早く助けに行かないとねナイト君。」
ケビン:「おお、騎士(ナイト)だと呼んでくれるのか!!」
???:「・・・・」
ルナ:「喜んでいるのもここまでの様よ。ケビン…!!」
ケビン:「僕達の声で招かれざるオトモダチも来た様だ」
???:「・・・・」
ルナ:「私は特殊軍務機構S.T.Iのブレイダーズ隊員、エノメ・ルナです。要請を受けたので参りました。」
???:「……ああ!そうだったのですか。これは失礼を致しました(にっこり)」
ケビン:「(ドッ)…って、話せるんかい!!」
トゥール:「私、この街で旅館を営んでおります。トゥールです、以後お見知り置きを(サッと名刺を差し出す)」
ルナ:「ああ、それはどうもご丁寧に(……ん?この時代で名刺?それに、こちらのディスプレイにはこの人のデータが表されないけれど?)」
トゥール:「ブレイダーズのエノメさん…でしたね。そちらさんは?」
ケビン:「何に見えます?」
ルナ:「何逆に聞いてんだ!質問された側だろお前は!!!」
トゥール:「まあまあ…。どうです、こんな寒い所で態々立ち話するのも何ですから私らの旅館の方へお越しになりませんか?」
ルナ:「そうですね、それではそうさせて下さい。こっちの助手であるケビン君も同伴ですけれど」
ケビン:「ケビン・スコルニッチです。どうぞよろしく。」
トゥール:「はい、こちらこそ…。ささ、旅館はすぐ近くですからね」
ケビン:「(…おい、相手は地球人に化けた宇宙人かも知れないから油断は禁物だからなルナ)」
ルナ:「(宇宙人ね…。地球人の脳に寄生して人達を操るって可能性もあるし、宇宙生物のリーダー格が自分らのコロニーを密かに形成していたのかも知れない。…でもさ、この手の殺伐とした空気の街で調査するのは初めてだから緊張しちゃうんだよね🤩)」
ケビン:「(緊張してるって言っときながら、なんで興味のある物を発見した時の子供の様な目をしてるんだ)」
ルナ:「(…さっきから街を歩いていて気づいたけれども不気味なのは車が全く通らないわね。本当に人が居るのかなこの街)」
ケビン:「(過疎化…、と言う可能性もある。さっき言っていた宇宙人による人間をこの街に監禁したり外部に出させない様に検閲しているのでは無いかと言う可能性だけど、僕らの思い過ごしならばいいけどさ…)」
トゥール:「お二方、着きましたよ。」
ケビン:「おお〜。ここが今日泊まれる旅館ですか。(…オサム、こちらの装備されているスコープから見えているだろう?この建物を全体的にそちらでスキャンして欲しい)」
ケビン:「(……って、あれ?……応答無しだと!?妨害電波でも出てんのかこの街には)」
ルナ:「(どうしたケビン?)」
ケビン:「(まずいぞルナ。この街はやはり外部と通信行為が行えない様になっているぞ)」
ルナ:「(妨害されている…!?ここに来てから機器のノイズが酷くなった理由はそれかも知れないわね)」
トゥール:「お二方…どうかなさいましたか?」
ルナ:「率直に聞きます。この街、何か秘密がありますね?」
トゥール:「素直に話しましょう。実は、この街はですね…」
ルナ:「おお〜。そ、それでこの街は…?(ゴクリッ)」
トゥール:「素直に話しましょう。実は、この街はですね…」
ルナ:「おお〜。そ、それでこの街は…?(ゴクリッ)」
トゥール:「"何も"ありません。」
ルナ:「"何も"って事は無いんじゃないですか?」
ケビン:「ルナ。トゥールさんに聞いても仕方ない」
ルナ:「(…そうね。確かに依頼主に聞かないと分からない…でもその肝心の依頼主の名前もデータも虫食い状態で何が伝えたかったか分からないよ…)」
トゥール:「…では、ごゆっくりとお寛ぎ下さい」
ルナ:「連絡も通じない…。通信局も衛星電波なんかも使い物にならない。こうなったら…」
ケビン:「町長にはコンタクト取れない?」
ルナ:「行こうとしていたら、旅館に連れて行かされたんだもの。でも休む為の部屋は確保出来た。じゃあ、これから行こうか」
ケビン:「だがなルナ、その前にやる事があるぞ…」
ルナ:「ああ…そうだな…」
トゥール:「(👂ん、ナニナニ…??)」
ルナ:「旅館来てせっかくご飯用意して貰ってるのよ!!食べなきゃ、身体が動かん!!腹が減っては戦はできぬ!!」
ケビン:「いっただっきまーす🙏」
トゥール:「(ドッ!!!)」
(どうやら今の私達の会話をドア越しに盗み聞きしていたトゥールが部屋の外でズッコケたようだった。)
トゥール:「(まあいい…奴らが用意した食事をとっている間に面倒事に巻き込まれる前に街の外へ逃げるか…)」
暗殺者:「今、国の外へ逃げようと考えてはいなかったか?」
トゥール:「…!!」
暗殺者:「(🔪)何人たりともこの国から出る事は出来ん…」
トゥール:「う、うわぁぁあ!!!お助けぇええ」
暗殺者:「逃さん…!!」
ルナ:「待て!!」
暗殺者:「珍しく客人がいらしていたか…。だが見られたからには死んで貰おう」
ケビン:「僕達が居ながらむざむざ見殺しにはさせない。プロテクトコート弾!!(💎====💥🔫)」
トゥール:「こ、これは一体!?なんだこの分厚い壁みたいな空間は!?」
ルナ:「トゥールさん!私達はあなたを守ります!!町長が雇った暗殺者に殺させはしない!!」
ケビン:「トゥールさん。その壁の中でなら思う存分、この街の秘密を洗いざらい吐いてもokです。」
トゥール:「何故私なんかを信用しようと言うのです!?」
ルナ:「この状況を見れば、あなたが黒幕一派から消されようとしているのは察せます。私達は弱い人を守るのが使命としているブレイダーズですから!!」
暗殺者:「(コイツらが…。ブレードラインを守っている奴らと言うのはお前達だったのか。しかし無駄足だったな)話されては困る。今、この壁を壊せば無かった事に出来るだけだッ!!」
トゥール:「ひぃいい〜〜!!殺される!!……って、アレ?」
暗殺者:「(剣攻撃が跳ね返される)…チッ…。予想以上に奴の周りにあるあの壁は硬い。だが俺の持つ剣の硬度では分が悪い。こうなれば玉砕覚悟で…!!」
ケビン:「遅いぜ・・・!!君はデータを取るまでも無い」
暗殺者:「……!!…っ、奴の剣捌き、見切れなかったか…」
ルナ:「正に"向かって来るのならその力を奪うまで"か…。さて、邪魔者は消えました。もう、話してくれますねトゥールさん。」
トゥール:「……あなた達に要請を送ったのは私の妻なのです。妻は数日前に街の外へ逃げると言い今生きているか、どうかさえ分からない状況にあります。」
ルナ:「この街では町長からの検閲を受けていますね?」
トゥール:「…ええ、そうです。それもずっと前からね」
ルナ:「そうだったのですね。トゥールさん、この街を守る事が出来ず申し訳ございませんでした。あなたの仰るように町長がこの事件の黒幕なら、私達の出番です」
トゥール:「だが、いずれ私も部外者に街の秘密をバラした罪で消されます」
ケビン:「いや。生きている証…存在を消させない。私達はブレイダーズの隊員であり、現代の騎士でもあるのです。(…とにかく、町庁に連れて行っても精々殺されるのがオチだろう。しばらくプロテクトコート空間の中に居て貰おう)」
ルナ:「では行きましょうかトゥールさん!!」
ケビン:「ば、ばかぁ!町庁にトゥールさんを連れて行けば
そこに居る数十名の雑魚兵士に呆気に取られている間にザクっと一刺しされ任務失敗に終わるのがオチだ」
ルナ:「そ、そうよね。でもね、それじゃ町庁の場所分からないじゃない!!」
トゥール:「町庁はですね……(上を仰ぐ)」
ルナ:「ほえ?」
トゥール:「町庁は…あの空の上です」
ケビン:「て、天空の城ですか!?」
トゥール:「いつも空の上から私達の行動を監視して居るんです。だから、お二方がやって来たのも空の上から見えて居るはずです。」
ケビン:「あら、それじゃあさっきの暗殺者は僕達も殺しに来たのかもね」
トゥール:「い、いや…そうかも知れませんが多分、外へ逃げようとしていた私の方を…」
ルナ:「町庁さん…私達を消せば済むと思って居るのね」
ケビン:「決めた。問答無用、金剛剣で一刀両断しようよルナ!!」
ルナ:「私もそのつもりだよ。…ああ、そうだトゥールさん。まだ希望は捨てないでね。」
トゥール:「希望…妻の行方さえ分からない今、私に希望なんてありませんから…」
ケビン:「…………ルナ、行こう」
ルナ:「(絶対捨てさせない。希望は…!!)」
……そして空中町庁へ繋がる軌道エレベータに乗り、今回の事件の黒幕の居る場所へと私達は向かうのだった。
ケビン:「我々は特殊軍務機構S.T.Iのブレイダーズ所属隊員である。」
セキュリティ:「データ照合………照合…………」
ケビン:「お、遅い!!早く照合せんか!!」
ルナ:「落ち着きなさいよ!機械の事となると途端にうるさくなるんだからケビンには困ったものよ…」
セキュリティ:「データ照合…出来ません」
ケビン:「何だって!?デバイスのOSは最新なのに」
セキュリティ:「データ照合照合照合………zzzz」
ルナ:「ぇえええ!!?セキュリティが寝たぁぁあ!?!」
ケビン:「ダメだ。セキュリティがお釈迦になってる」
ルナ:「(ケビンや…お釈迦って言葉は今じゃ死後よ…)」
ケビン:「こうなったら実力行使で行くしかないか。いくぞぉおおお金剛剣ッ!!!(🗡️)」
ルナ:「そうか!その手があったわね!!!(…妙に今日はやる気があるわねケビン)」
ケビン:「うぉりゃぁああーーっ!!(ドアを切り刻む)」
ルナ:「…おお。やれば出来るじゃん分析専門の騎士様」
ケビン:「一言余計だ。……開けろ!ブレイダーズ隊員だ!!」
ルナ:「ドアはもう開けたでしょ!!!(てか、どこかで聞いたフレーズよねその名乗り)」
セキュリティA:「侵入者発見!許可の無い者は町庁には入れません。建物の外へ出てください出てください」
ルナ:「ケビン…ひょっとするとこの機械もさっきのポンコツセキュリティ機器と同じかも」
ケビン:「さっきのポンコツ…?そうか。統治コンピュータのOSがアップデートされる事も自己進化させる機能も正常に動いていないだけだったのか…。そう考えれば、宇宙人説なんてとんでも無い陰謀論だったよ。」
ルナ:「てっきり私は、時代劇みたいに越後屋と悪代官みたいな奴らがこの街を乗っ取っているって思ってた…」
???:「それは…あながち間違いでは無い」
ルナ:「だ、誰だ!!?」
町長:「吾輩は第13代目ブロチェック街町長。名前はまだ無い」
ケビン:「(名前はまだ無いって…お前は猫か!!)」
ルナ:「可哀想ですね。お名前考えてあげましょうね」
ケビン:「お前はシンパシー感じるな!!」
町長:「あ、これはこれは辱(かたじけな)い☺️」
ケビン:「敵のアンタもその情を貰おうとすんな!!」
町長:「…おっと、いけないいけない。私はあなた方から見て悪代官でもあり、また越後屋でもある。」
ルナ:「ようやく話の通じる奴が出て来たか。」
ルナ:「…町長さんですね。私の隣にいるこの人、名前をケビンって言うのですけどね、コイツがまた相棒になってまだ数年しか経ってませんがまだまだ私と話が通じ合いませんものでして大変困っていましたのよ〜」
ケビン:「って、敵となに無駄話しようとしてんだお前!!」
ルナ:「それでね…そんなケビンにも数日前に可愛い仲間が1人増えたの。こんな長い間仕事上で相棒として活動してるとね命を落とす危険な場面がいくらでもあるの。例えば今の何して来るから分からないセキュリティロボットに囲まれて今にも殺されそうな状況なんていくらも潜り抜けて来たの…。」
ケビン:「(また話長くなりそうなのを察したよ僕…)」
(後編へと続く)