キャラクターを形作る(1) 〜エノメ・ルナ編〜
私の執筆中でもある大事な作品、「REALBLADE」。
その作品では実は主人公を1人にはしていません。
これには理由はあります。今ここで知っても別に差し支え無い内容なので話します。
まず、REALBLADE(以後、現剣と略します)には様々な学問の専門家たるフリーランス騎士が登場しています。
以前の記事でも話した事があります(↓)
彼らはそれぞれの理由で国に雇われている学者騎士という設定です。
しかし、「エノメ・ルナ」は作中当初より専門家でも騎士のライセンスを持ったものではなく、正規軍人枠の立ち位置にいる女性です。
ルナは10代の頃に、祖国が近隣諸国とのエネルギー争奪での戦争により失われています。
彼女の友人、家族らも忌々しいエゴと生物としての本能が起こした戦火によりその命を失われ天涯孤独のまま、逃げ延びたものの自分の命をどう消化しようかを迷っていた時、その頃から現れ始めていた怪獣などの異生物に対処する為に祖国を守る組織を設立したとの情報を聞き、新大陸ブレードライン帝国(表記上では剣都)へとルナは一世一代の賭けのつもりで行くのでした。
ルナの直属の上司でもある「タツジ隊長」とは、剣都に来てまだ日の浅い頃、人生初の怪獣との遭遇(ファーストコンタクト)をした時に出会いました。
そのタツジ隊長には以前、ルナの祖国を守るために戦っていたという過去がありました。
彼はルナが失ったものを忘れまいと、「今度は守る。だから私の傘に入っていて欲しい」と言い、自分達軍に命を預けてさせて欲しいと頼むのでした。
しかし、これにルナは乗らずに「自分がこんな悲しい思いをしたのは自分たちの世代で終わらせます。あなたの助けを借りてまで今更相手国への復讐は考えていないし、亡くなった家族たちが眠る土を核で汚染させる者からこの国を守るのが生き残った私の使命」と自分なりのメッセージを返した事がルナの軍人生命の始まりであり、きっかけとなった事柄なのです。
さて、そんな彼女には「ケビン・スコルニッチ」という分析屋がおります。
詳しくはまた別の機会でやりますが、彼にも戦争ではないものの生まれた地域では住めない理由が出来たために、彼もまた訳アリの人を守る力があると言うブレードラインへと藁をにも縋る思いで駆け込み、その能力を軍に買われて、フリーランス騎士資格試験を見事にパスしたのだった。
ルナもケビンも、今居る環境では住めなくなったという訳アリではありながらも「誰かの為…自分の使命がある」といった局所的な理由がブレードラインという地で、それぞれの使命と今日を生き抜くために、祖国には戻れない悲しみを背負いながらも自分によく似た人達がこの「現剣」によく出しますが、それは昨今の居場所の無い…だから世界と向き合う事が出来ない人が世の中には溢れている、作者である自分もその1人だよと読む人や見る人に伝えたいメッセージが含まれているからです。
なので、登場するキャラクター達は自分の分身とでも言いましょうか。そんな自分の感情や思念が入っている存在が多く、その一人一人が別々の人生を歩む「主人公」なのは色んな見方をしてみれば自分が出会う人、これから出会う人も皆がそれぞれに悲しい過去を背負っていたりするから、寄り添える事が出来ないだろうか…と言う事から「エノメ・ルナ」という騎士になりきれない、無力だけど思いだけは一丁前なそんなひょっこさん=自分に重ね合わせて生み出した。それが誕生理由であり、彼女だけではなく登場する人々全てがこの作品の主人公と言うわけです。以上、説明終わり。