VARION(バリオン)の始まりのお話。
バンドンでの出会い
私たちの活動は、ジャワ島西部のバンドンという街で飲んだ一杯のコーヒーから始まりました。
それまで何気なく飲んでいたコーヒーとは全く違う、その美味しさに驚き心を打たれた当社代表は、小さなコーヒー農園を始めることを決意します。
はじめはうまくいかない事ばかりでしたが、農園で働く農家と一緒に肥料や精製方法を工夫し、栽培管理を効率化することで品質を着実に向上させました。
同時に自社育苗した品質のよい苗を周辺農家に供給し勉強会を行うなど、精力的に周りの農家も巻き込んで生産量を増やしていきました。
インドネシアの特殊なコーヒー農園事情
しかし、取り組みが広がると同時に厳しい現実に直面しました。
インドネシアには他の国のコーヒー産地とは違う、特殊な事情があります。
インドネシアのコーヒー農園は山合いの狭小地にあり、コーヒーと他の農作物が一緒に育てられていることが多いです。コーヒー専門の農園であっても、プランテーションのように広い農地を持つ農園は多くありません。
こういった小規模な農園が、それぞれに精製し販売することは生産規模、資金、立地の面から難しく、ブローカーがコーヒーチェリーやパーチメントコーヒーを買い集めて精製所に持ち込み、産地から離れた大手業者に納品するやり方が一般的です。この流通経路が複雑で、各段階ごとにブローカーが介在するのでコストがかさみ、そのしわ寄せが立場の弱い農家に行くような仕組みになっています。
自分たちがこだわって育てた品質の良いコーヒーが、既存の商流の中で他産地、他農園の豆の中に埋もれてしまう。そんな状況下で農家にプライドと熱意を持って栽培に取り組むように説明するのは大変難しく、私たちがやりたい農業を理解し実践してくれるまでにかなりの時間がかかる状態でした。
バリオン、産地へ向かう
突破口になったのはこれまでとは異なるアプローチです。
それは、農家自身が豆を運び込める場所にバリオンの精製所を建てることでした。
これならブローカー任せにならず農家の目の届く場所で買い取りと精製を行えますし、互いに納得できる適正価格で取引することができます。
また各精製所間の輸送をブローカーに委託することで、彼らの仕事を奪うことはしませんでした。
精製所にはアグロノミスト(栽培指導員)と地域コミュニケーターが常駐し、技術の普及と農家間の調整、勉強会やカッピング会のコーディネートを行います。
これにより農家同士での情報交換・供給が活発になり、さらに自分たちのコーヒーを製品として飲んで顧客の評価をフィードバックすることで、農家が誇りをもって栽培に取り組めるようになりました。
インドネシアのスペシャルティコーヒーを世界へ
既存の産地、地域社会に溶けこんでゆくのには様々な難しさがありますが、バリオンと一緒に取り組んで良かった!と言ってくれる多くの農家に背中を押してもらい、立上げより数年でインドネシア有数のアラビカコーヒー取扱量を誇る会社に成長することができました。
現在は生豆生産からコーヒーが飲まれるところまで、いわゆる“From Seed to Cup”のすべてのプロセスに生産者であるバリオン自らが携わることを目指し、世界各国で挑戦を続けています。
日本でも、世界でも、まだ広く知られていない高品質なインドネシア産スペシャルティコーヒーを、もっともっとたくさんの人たちに味わってもらいたい。
関わる人すべてを幸せにできるサステナブルな事業モデルを目指す、私たちバリオンの挑戦に是非ご参加ください。