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【小型割安株】新日本建設(1879)千葉地盤の無借金建設会社

こんにちは、小型割安株リサーチマンです!!

本日は、千葉県地盤にマンション事業の建設及び開発を行っている新日本建設について分析を実施してきます!

現在の不動産マーケットは、中古も新築マンションも高止まりが続いており、この状況がいつまで続くのかわかりませんが、引き続き、駅近のタワマン人気は続いていくものでしょう。

同社は、いわゆる大型タワマンの開発又は施工は限定的ですが、地盤の千葉を中心にエクセレントブランドにて人気のマンションを供給し続けています。

今回も同様に、最初は、筆者の小型割安株の定義から解説していきますので、すでにお読みの方は3.本日の対象銘柄まで読み飛ばしてください。


1.清原達郎氏のネットキャッシュ活用術

当Noteは、清原達郎氏著書『わが投資術』に記載のネットキャッシュ比率を重要視した小型割安株式の分析と解説を行っています。

清原達郎氏の投資術では、ネットキャッシュの概念が重要な位置を占めています。以下に、ネットキャッシュについて解説します。

ネットキャッシュ比率とは?

ネットキャッシュ(Net Cash)は、企業の財務状況を評価する際に使用される指標の一つです。具体的には、以下の式で計算されます。

ネットキャッシュ=現金及び現金同等物−有利子負債

現金及び現金同等物は、企業が即座に利用できる現金や短期投資を指し、有利子負債は利子を伴う借入金や社債などを指します。

このネットキャッシュを時価総額(直近の株価に基づく市場価値)で割り引いたものが”ネットキャッシュ比率”とされており、簡単に言うと株価以上に現物資産価値を有している会社と言えます。

清原達郎氏は、企業のネットキャッシュ比率の状況を詳細に分析し、投資判断に活用しています。

2.小型割安株リサーチマンの銘柄選定基準

小型割安株を選定する際の基準として、以下の要素を考慮することが一般的です。これらの基準は、企業の財務健全性や成長ポテンシャルを評価するのに役立ちます。

1.時価総額:500億円以下

  • 基準: 小型株の定義は市場によって異なりますが、一般的には時価総額が数十億円から数百億円程度の企業が対象となります。具体的には、時価総額が500億円以下の企業を小型株とみなすことが多いです。

  • 理由: 小型株は成長の余地が大きいとされ、大企業に比べて高い成長率が期待できることがあります。

2.PER(株価収益率):10倍以下かつ次年度予想>次々年度予想

  • 基準: 一般的にはPERが15倍以下の企業を割安とみなします。特に10倍以下の場合はさらに割安感が強いとされます。当リサーチマンでは、PER10倍以下を対象に分析を行います。また、成長性に着目するため、次年度予想>次々年度予想とPERが下がること(≒利益が増加していること)を目安にしています。

  • 理由: PERは株価が企業の収益力に対してどの程度割安かを示す指標であり、低いPERは投資家がその企業の収益力を十分に評価していない可能性を示唆します。

3.PBR(株価純資産倍率):1倍以下

  • 基準: PBRが1倍以下、つまり株価が企業の純資産価値以下で取引されている企業を割安と評価します。

  • 理由: PBRは企業の資産価値に対する株価の割安感を示す指標であり、低いPBRは株価が企業の保有する資産価値に対して過小評価されている可能性を示します。

4.ネットキャッシュ比率:100%以上

  • 基準: ネットキャッシュ比率(ネットキャッシュを総資産で割った比率)が20%以上の企業は、財務の健全性が高いと評価されます。但し、当リサーチマンは、清原氏のネットキャッシュ比率を最重要視する考え方に従い、時価総額以上に現物資産を有する会社(すなわち、100%以上)を対象に分析を行っています。

  • 理由: ネットキャッシュ比率が高い企業は、借入金に依存せず、自前の資金で事業運営や成長投資が可能であるため、財務リスクが低くなります。

3.本日の対象銘柄:新日本建設(1879)

1.選定基準へのあてはめ

  • (▲)時価総額:986億円>500億円

  • (〇)PER:8.01倍(25/3期予想)< 7.89倍(26/3期予想)≦10倍、

  • (〇)PBR:0.83倍≦1倍

  • (▲)ネットキャッシュ比率:93%<100%

残念ながら、時価総額及びネットキャッシュ比率が条件に満たないため、私の小型割安株の定義に合致していません。但し、有利子負債(借入金・社債)残高がゼロなのは、評価ができます。

また、予想配当利回りも3.29%であるため、中長期ホルダーにも期待できます。

(参考)清原流ネットキャッシュ比率算定方法
ネットキャッシュ:現金及び預金84億円+(投資)有価証券12億円×70%ー有利子負債0億円(※)=92億円

ネットキャッシュ比率:ネットキャッシュ92億円÷時価総額98億円=93%

2.会社の概要と強み

新日本建設株式会社は、1960年に設立された日本の総合建設会社であり、建築・土木工事を中心に幅広い事業を展開しています。本社は東京都に位置し、国内外で多くのプロジェクトを手掛けています。高品質な施工と革新的な技術を駆使し、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。 

  • 建設事業(売上高 23/3期:713億円→24/3期:713億円)

3期連続の増収となっているが、労務費・資材価格の高止まりによって粗利利益率が低下している。

  • 開発事業(売上高 23/3期:502億円→24/3期:621億円)

元々の地盤である千葉県を中心に、”エクセレント”ブランドのマンションを供給し続けている。

エクセレントブランドは、新日本建設の高級住宅シリーズであり、都市の中心部に立地し、高品質な生活空間を提供することを目指しています。これから供給される住宅プロジェクトは、快適な生活環境と最新の設備を備え、住民に高い満足度を提供している。

参考:今後の供給予定と住宅数(筆者作成)

2023年度に竣工した千葉千葉市中央区のエクセレント ザ タワー(397戸)がひと段落しており、大型物件のPJは計画されていない。今後、供給予定のマンションは、200戸数と中規模マンションが中心となっており、現在の分譲マンション価格の高騰を受けると、早めに売りさばける規模感のマンションが中心となっているのでしょうか。

現在の東京および千葉での分譲マンション価格の推移は以下の通り。

  • 東京:

    • 2019年: 60万円/㎡

    • 2020年: 63万円/㎡

    • 2021年: 66万円/㎡

    • 2022年: 70万円/㎡

    • 2023年: 75万円/㎡

  • 千葉:

    • 2019年: 35万円/㎡

    • 2020年: 37万円/㎡

    • 2021年: 40万円/㎡

    • 2022年: 42万円/㎡

    • 2023年: 45万円/㎡

東京および千葉の分譲マンション価格は、過去5年間で一貫して上昇傾向にあります。特に東京は高い需要を背景に顕著な価格上昇を見せており、2023年には75万円/㎡に達しています。一方、千葉も安定した上昇を見せ、2023年には45万円/㎡に達しました。価格の上昇は、都市部への人口集中や住宅需要の高まりが影響しています。

3.次年度(2025年3月期)の業績見込み

スターツ出版は、2025年3月期において、売上高の成長を見込んでいます。これには主に、東京や大阪などの主要都市での大規模プロジェクトの進行が挙げられます。また、エコシティプロジェクトやスマートタウンプロジェクトなど、持続可能な都市開発が売上に寄与する見込みです。一方で、引き続き建設業界では、建設資材の価格が上昇しており、コスト増加の懸念が大いにあります。また、建設業界全体で労働力不足が問題となっており、人件費の上昇やプロジェクトの遅延リスクされています。

4.まとめ

  • 不動産マーケットが高騰している建設業界においては、比較的価格の柔軟性がある分譲販売事業を中心に行っている同社は、増収傾向に期待ができる。

  • 一方で、建設業界全体が悩まされている資材費の高騰については、同社ももれなく将来のリスクが見込まれ、利益率の悪化が懸念され、プロジェクトの大幅な遅延が生じないかは常にウォッチが必要となる。

  • 足元のネットキャッシュ比率は100%を下回っているため、現時点で清原氏流の投資手法として選定対象になり得えません。但し、同社の無借金経営にによる財務基盤の安全性は評価ができ、PBR1倍未満改善のための増配、自己株買いに期待されます。

最後に、投資は自己責任でお願いします。


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