人と人は繋がる。助け合える。
2月4日、ブラインドサッカーの体験会OFFTIMEに参加した。
僕がおっさんになったからなのか、
人で絶望するような経験をしてきたからなのか、
ブラインドサッカーの体験会が素晴らしかったからなのか、
心に何かがグッと刺さって
涙腺が刺激される感覚。
それが参加したあとの感想
ブラインドサッカーは視覚が0の状態でサッカーをする競技。体験会ではマスクをつけた状態で、色々なアクティビティーに挑戦します。
体験会では「コミュニケーションの重要性」を教えてくれるようなアクティビティーもあります。ペアをつくって視覚がONの状態の人と、OFFの状態の人をつくる。その状態で先生がする運動を、視覚ONの人がOFFの人に言葉だけで同じ動きをさせるというもの。
これが意外と難しい
普段どれだけ視覚情報に頼り切っているのかが自分でもわかりました。ちなみに膝をまげてグルグルまわす運動を、私のパートナーは「としさん、グルコサミンです!!グルコサミン!」と表現していました。
目が見えない私はパニック。
「えっ、グルコサミン?? そんな動きあったっけ?」
動けない私を見てパートナーもパニック。
「グルコサミンのCMみたことないですか? グルコサミン運動ですよ!」
終わった後に彼女と振り返りのコミュニケーションをする。グルコサミンのCMは結構有名らしく、CM内で膝をグルグルまわした体操をするらしい。普段あまりテレビを見ない私には全く伝わらなかった。
文章にしてしまえば当たり前の事ですが、仕事に置き換えて考えると悩ましい問題である。部下と前提知識ありきのコミュニケーションをとってないかな? と疑問が生まれてくる。
目を閉じる事で発見した事①
視覚に頼り過ぎたコミュニケーションをしている事の自覚
目を閉じた状態でコミュニケーションをとると、余計な事を考えなくなるという発見もあった。
目が見える状態だと、
・相手は自分の事をどう見ているんだろう
・とりあえず傾聴するために、相槌をしとこう(聞き手)
・目を見て話を聞かなきゃ(聞き手)
・目を見て話をしなきゃ(話し手)
・この話は興味がないのかな(話し手)
など、色んな事を考えながら他人とコミュニケーションをとっている。
目を閉じる事で上記の項目を考えながらコミュニケーションをとる必要がなくなる。相手に伝わっているか? どうしたら伝わるか? だけに集中してコミュニケーションできるようになります。
相手の事を考える時間が増える
優しい時間が増える
目を閉じる事で発見した事②
相手からどう見られているのかを考えなくなる。その代わりに、相手に伝わっているかを考える時間が増える。
その後も色んなアクティビティーに挑戦しますが、途中でチーム分けすることに。ここから個人戦ではなく、チーム戦になります。
まあ競い合うので、当然勝ち負けがはっきりします。効率を考えたチーム・ミスを削減できたチームと、そうでないチームの差が数字で明確になっていきます。
ここで驚いたのは、みんながびっくりするぐらいポジティブ星人になっていること。仲間のミスに対して文句を言う人が一人も出てこない。むしろ、次にどうしたら上手くいくか考えようとコミュニケーションをする人ばかり。
えっ、なんでこんなことがおこるの?
全員が熱量高く目標を追い掛け、仲間の失敗に対してどうしたら上手くいくかを本気で考えてコミュニケーションする組織。そんな理想的なチームが、体験会はじまって40分ぐらいで完成する。しかも全員初対面...
多分色んな要素が複合的に絡んで、こういった結果になるのだと思う。ただそれでは何も伝わらないので、あえて1点に絞って結論を出すことにした。
「視界を閉ざす事で生まれるコミュニケーションの成立」
視界がある世界の中ではコミュニケーションが成立しないケースが多い。例えば大勢のグループLINEで誰かの発言に対して、全員がリアクションすることはほとんどない。これは悪気があるとかではなく、全員がリアクションすると他人に迷惑が掛かってしまうかもしれないというブレーキがかかるからだ。
仕事が忙しい時に部下から話しかけられたりすると、パソコンの画面を見ながら返事をしたりする事もある。最近だと多いのはスマホを見ながら返事をするケースじゃないだろうか?
聞き手に悪意があるわけじゃないが、間違いなくコミュニケーションが成立していない。この小さな積み重ねが人と人の間に壁をつくっていく。
ブラインドサッカー体験会では視界を閉ざしているからこそ、きちんと相手の言葉に対してリアクションする必要がある。誰かの発言に対して「聞こえたよ」「そうだね」「俺はこう思うよ」と全員がリアクションを取る必要があるのだ。
たかが40分という時間の中にも、多くのコミュニケーションが発生し、成立していく。短期間でコミュニケーションが連続的に成立することで、組織の中に心理的安全性が生まれ、各個人が組織に必要とされている実感が生まれる。
目を閉じる事で発見した事③
コミュニケーション成立の連続が組織の中に関係性をつくりだす。
ブラインドサッカーの体験会では実際に選手として活躍している方が参加してくれる。今回は「駒さん」という方が体験会に講師として参加。駒さんは私の中にある「障がい者」のイメージを良い意味でぶち壊してくれた。
私は障がい者の方に対して「目が見えないなんてかわいそう」という感情をもっていた。そんな風に相手を見てはいけないと頭の中でわかっているのに、そういう目で見てしまう。
ブラインドサッカー体験会では視界を0にした状態でボールを蹴って、コーンに当てるというアクティビティーがある。これが鬼のように難しい。
駒さんが手本を見せてくれるのだが、「こんなの出来て当然」みたいなテンションでボールをコーンに当てる。
「うおーーー!!すげーーー!!」
全員が駒さんを見て感動する
多分この瞬間からだ。
駒さんが僕の中で「障がい者の人」から、「凄い人」に変わったのは。
多分この瞬間からだ。
自分が障がい者の方をどこか見下していたんだと、本当の意味で気づくことができたのは。
多分この瞬間からだ。
駒さんの事がもっと知りたいと思うようになったのは。
もちろん全ての障がい者の方が駒さんのような人間ではない事はわかってる。だけど自分が「助ける側」だと思っていた障がい者の人に対して、「教えてもらう側(助けてもらう側)」になるとは夢にも思っていなかった。
目を閉じる事で発見した事④
どんな人からでも学ぶ、貪欲で謙虚な姿勢の重要性。誰かを見下した瞬間に学びは激減する。
その後...
ブラインドサッカーの体験が終わってから、みんなで懇親会に参加しました。懇親会では駒さんと色んな話をしました。
※こんなくだらない話で盛り上がれるぐらい仲良くなりました。
中村
「駒さんは視覚を失ってから、女性の好みが変わったりしましたか?例えば見た目を気にしなくなる事で、相手の内面を気にするようになったりとか」
駒さん
「人それぞれだとは思いますが、僕は変わらなかったです。やっぱり相手の容姿は大事ですね」
中村
「えっ!! どうやってチェックするんですか??」
駒さん
「そりゃ、友達に誰に似ているか教えてもらったり、実際に顔を手で触ったりすると骨格でわかるもんです。」
中村
「なんと!! でもそれって友達が嘘ついたらヤバくないですか?」
駒さん
「そしたら一生そいつを恨みますね(笑)」
二人で爆笑
話を聞いてたみんなで爆笑
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本当に面白かったです。