その「みんな」って、いったい誰と誰?
かの有名な大前研一さんが過去の取材の中で語り、「これは」と彼のスタッフが感動した言葉だけを集めた本に、『大前研一洞察力の原点』(日経BP社刊)があります。そして、その中の一つのタイトルが”「みんなと同じ」をやめる”があり、次のようなものです。
「みんなと同じでいい」という態度をやめた途端、脳はフル活動を強いられることになる。これはたいへん苦しいが、それでも頑張って一週間一ヵ月、一年と続けていると、自分の頭で考えるクセがつき、思考力もどんどん高まる。(『THE 21』2009年5月号掲載)
さて、おそらくみなさんはお気づきになってないでしょうが、この「みんな」ほど曖昧な日本語表現を代表するものは他にありません。
かくゆう私も一人のコテコテの日本人である以上、「口癖のように出てくる」この言葉を、ある日特段の意識をすることなくその当時の私の外国人上司に対して発してしまい、その直後に彼女から次のようにこっぴどく注意されたことがありました。
”コウイチ、あなたは今わたしに「みんなそう言ってる」と主張したけど、あなたの言う「みんな」とはいったい誰と誰のことなの? すべて教えてちょうだい”
もちろんその時の私は「それは鈴木さん、田中さん、後藤さん…と、日本人に多くある苗字を挙げて反論した」ことが出来たわけはなく、ただ「えっと、えっと」としどろもどろになっていたのは、「みんな」のご想像の通りです。
ここでもしあなたが”「みんな」は「みんな」だよ”とチラッとでも思ったとしたら、今からジョブ型の社会に飛び込む前に気をつけておいた方がいいでしょう、その「あいまい」な表現をです。
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