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外資系企業の光と闇を見てみよう

上の写真を見てみましょう。

Boss(右から2人目):
"Hey, let me check this month's revenue of Service Department again. It looks pretty good so we are probably able to achieve our yearly budget. Guys, you can look forward to your bonuses!"
Accountant 1 (一番左):
"I'm soooo glad, I'll definitely go shopping tonight."
Accountant 2 (一番右):
"Seriously? I thought you already bought a new handbag yesterday!"

外資系のオシャレなイメージで和気あいあい仕事をしている風景です。


でも実は、外資系ってオシャレなことばかりでもありません。

こんな感じだったりすることもあるし。

「ソーリー? クッジュー セイ イット アゲイン ぷりーず?」
(この部長、めっちゃ英語が中国語訛りで何言ってるかわかんないんだよな…)


或いは、こんな感じなことがあるかも。


左「オレ外資ってもっとこう… リッチだと思ってたんだけどな」
右「だよな。なんでこれ水道水なんだ。」


「外資」ってリッチでオシャレでスマートなイメージばかりが先行していますが、正直、会社によってまちまちです。

そもそも、「外資」って、外国資本の会社を表すものであり、別に欧米だけでなく、アジアの会社も、南米もアフリカも外資なのですが、どうにも「外資」というとアメリカの企業を想像する人が多いように思います。

日本人が海外=アメリカという先入観が強いためでしょうか。


ということで、本記事では、勝手気ままに、外資の特徴を、いい所も悪い所も余す所なく、列挙したいと思います。あまりキレイに整理された記事になっていないですが、ご容赦を。

大きく分けて言うと、以下について書いています。

・外資の給与がいい理由や裏側について
・外資の人間関係について
・外資で活躍するUSCPAについて

ちなみに、みんな興味深々の外資でのクビについては、別で記事にしていますので、そちらをご覧ください。以下リンクを貼っておきます。

1点、本記事は僕自身の経験や、知人から聞いた話などを総合して書いています。会社によっても細かい点は異なるため、大きな傾向としてこういうことがある、という参考情報として読んで下さい。

それでは、いきましょう。



外資系企業の給与が高い仕組みの裏側

一般的に、同じ仕事であっても、外資系企業の方が日系企業よりも高いことが多いです。

人によっては2倍程度違うことも。なぜでしょうか?

実はこれ、同じ「会社」という組織でありながら、制度が全く違うことによるものだと思っています。

外資系企業の給与が高い理由:

・特定分野の専門家として、質の高い仕事を求められる(提供価値大)
・実力主義で、高い実績に対しては高い報酬が支払われる(報酬大)
・実績が伴わなければ、クビにできる(リスク大)

従業員はそれぞれが選んだ分野で最大限の力を発揮するように努力しますどの分野を選ぶかは、その人の自由であり、責任でもあります。会社から頼まれてそれをやるわけではありません。ある意味、個別最適を求める考え方が徹底しているんですね。

従って日系企業のように一定期間でローテーションがあったりとか、年次で給与が決まっているようなことは通常、外資ではあり得ません。


ヘッドカウント

そして、ヘッドカウントの充実度も違います。

一般的に外資の企業のヘッドカウントは、本国が権限を持ってコントロールしています。ローカル(この場合日本側)で、自由に採用できるのは、欠員補充だけであり、人員を純増させるのは、好景気で業績が相当いい時に本国が許可した時だけです。

基本的には、業績が良い時は増やし、悪くなった途端に人員削減を行う、というスタンスは共通です。

人員は割とぎりぎりでやっていることも多く、当然に一人一人が戦力であることが求められます。必然的に、レベルの高い人を求める傾向が出て来て、給与は高い傾向にあります。


クビにできる人事体制

もう一つ言える、大きな違いがこれ。

クビと聞くとビビる日本人が後を絶たないですが、悪い話だけが独り歩きして、全貌を理解している人が意外に少ないので、まずここで触れておきます。

外資企業は業績ありきです。
従って、経済が下向きで業績が悪化した場合には、パフォーマンスの悪い人や、上司との相性の悪い人から順にクビにするし、業績が上向けば、ヘッドハンターに多額のフィーを払って人員を補充します。

一方で、日系企業のようにクビがない代わりに全員一律賃金〇%カット、みたいなことはありません。
ただし、ボーナスだけは、会社の業績連動なので、大きく上下します。

これだけを見れば、当然にネガティブです。

しかし、実はこの制度は、外資の高給の裏返しでもあります。
なぜかって、使えないのに会社に居座る、いわゆる「窓際族」を駆逐できるからです。

日系企業との対比で話すとわかりやすいのですが、
日系企業は、一度就職してしまえば、よっぽど悪いことをして懲戒免職にでもならない限りクビにならないため、他でやって行く実力も気力もない人が会社にしがみつきます。
それでも、給与は年功序列で上がって行きます。つまり、戦力にならない人の給与まで毎年増額しながら、多額の費用を垂れ流し続ける仕組みなのです。

その結果として、使えないオッサンも多く抱えながら(もちろん優秀な社員もたくさんいますが)、若い非正規社員を使い倒して辻褄を合わせる、なんていうおぞましいことが行われているのです。

その点、外資はクビを切れます。
つまり、会社の戦力にならない人には給与を払わずに、きちんと戦力になってくれる人に対してのみ還元される仕組みになっているんです。だから、より多くのお金が払えるわけです。

(最も、トップに大きな権限を与えている外資にも、その人の使いやすいゴマすり野郎を部下に据えたり、愛人を秘書に雇っているなどという例がないわけではないのですが…。とはいえ、人数が違いますかね)

そう考えると、日系企業で働くというのは、使えないオッサンたちを食べさせるために、みんな連帯責任で損をしていると言っても過言ではありません。

なお、実際に外資系企業が従業員をクビにする時の詳細については、後述します。


日本人の「英語できない問題」

もう一つ、外資の給与がいい要素として挙げられるのが「英語」です。

ポジションにもよりますが、業務で英語を使うことは日系よりは断然多いです。

単純に、日本人に英語ができない人が多く、必然的に外資で働ける人の数が少ないため、給与を多く支払ってでも戦力になる人を募集します。

他の記事でもあちこちで書いていますが、英語ができると、給与が断然違ってきます。

英語ができる人にとっては別に普通の事でしかなないですが、今の日本ではまだまだ戦力になっているのが現実です。




外資系はドライと言うが、人間関係は…

以前より、職場の人たちで飲みに行くこと自体が減っているため、以前ほどこの点がクローズアップされることは減った気がします。

しかし、実際にこの点における違いは存在する、というのが実感です。

僕自身は純然たる日系企業(いわゆるJTC)で働いたことはありませんが、クライアント先にM&AのPMIなどで常駐した経験から言うと、日系企業にありがちな以下2つについては、外資ではほとんどありません。

・上司が帰宅するまで帰れない
・仕事後に、毎晩赤ちょうちんや安居酒屋で飲んで帰る

付き合いが仕事の内、という概念は基本的にない、と考えて差し支えありません。


ねちねちした人間関係の恐怖

ドライとは言え、結局は人同士の集まりです。ねちねちした嫌な関係がないとは言いません。

外資において、特にバックオフィスに多いのですが、
長く居座りたい人は、自分しかできない仕事を作りたがります。
それはもう、聖域さながら。そこに触れようものなら全力で抹殺されそうになるので、注意が必要です。

外資の場合、クビになるリスクがあるため、
「ほら、私がいないとこの業務が回らないでしょう?」
といつでもドヤ顔で言えるように、自分の聖域を作り上げる人が時々、いらっしゃるわけですよ。

上司としては、誰かが休んだ時に他の人ができるようにと、業務を色々な人に経験させておきていのですが、こういう聖域を作り上げた人が部署にいると、必死にそのエリアを守って引継ぎをしてくれないため、引継ぎを命じられた後任者には地獄が待っています。

もっとも、こういうことをする人は、基本的に権力がある立場の人ではなく、自分に自信がないことの裏返しだったりすることが多いです。
価値がないと思われたらクビになるリスクが高い職場における、最も楽して自分の価値を高めるための常套手段なわけです。


上司の権力

外資系の場合、日系よりも上司に大きな権限が与えられています。

日本のように稟議でハンコを押していくような文化もなく、決められた決済金額以内であれば、部長やマネージャーのサイン一つで判断・実行可能です。

採用、解雇、ボーナス額の決定などは部門長に多くの権限があるので、好かれれば昇進もあり得ますが、嫌われるとボーナスの著しい減少やクビすらもあり得ます。従って、上司に反論する人は必然的に少なくなります。

上司と反りが合わなくて反論したりケンカを繰り返したりしていると、そのうちいなくなることもあり得るので、長期政権を敷いているトップの下では究極のYes Man(死語ですかね?)の一大勢力が形成されることもあります。

最も、業績へのコミットが厳しいため、そんなに長いこと君臨し続けられるケースも、多くはないかもしれません。



活躍するUSCPA合格者たち

最後に、USCPAとの絡みも少し触れておきましょう。

外資系であるためか、USCPA合格者は多いですが、監査法人や会計事務所で監査をしている人達を除いて、ライセンスまで取得している人はほとんどいません。試験合格で放置か、取得していても、Certificate / Inactive License 止まりがほとんどです。

理由としては、維持のためのCPE取得が面倒なのと、監査法人のようにそのための費用が会社から補助されないケースが多いためです。

そして、みんなライセンス取得しないが故に、ラインセンスを取りたいと思って見たところで、サインできる人も基本的にいません。

従って、名刺にUSCPAである旨を記載している人は少ないです。極稀に”INACTIVE"と主張している人がいますが、そもそも仕事で名刺交換をすることがほぼ皆無なので、全く意味はありません。

余談ですが、
経理とかの外部と接触が少ない部署の若手が名刺なくなったので追加で発注したいと申し出ると、会社によっては「合コンで配り過ぎだ」とか、イチイチどうでもいいツッコミを受けることもよくあります。

外資の経理と日系の経理の違い

どちらも「経理」としてやることの多くは共通していますが、一方で立場が異なることから、重点ポイントは多少変わってきます。

日系企業の本社の経理部は、各子会社の財務情報を吸い上げ、会社全体のレポーティングを行うわけであり、上場企業であれば開示業務などを重点的に行っています。

一方で、子会社の経理であれば(子会社上場してなければ)、親会社の指定のフォーマットでの業績のレポーティングすることがメインとなります。

外資は本国で上場している企業が多いことから、日本拠点の経理においては、日系の子会社に近いです。開示業務はあまり多くなく、当局に提出する資料などを作成する程度です(金融だとそれでも膨大ですが)。

一方で、本国へのレポーティングはとても重点的に行われるので、業績の状況は細かく質問されます。業態にもよりますが、業績の前月対比、前年同月対比、前四半期対比、前年同四半期対比など、分析項目は多岐に渡ります。

また、将来の予測については、いわゆる財務経理部門だけではなく、FP&Aにおいて行われ、計画と実績の差異、それによる当期の着地見込みの変化とその前年対比など、こちらも細かく問われることになります。


なお、外資金融、とりわけ投資銀行の経理部門で働く人の実態はあまり知られていないので、以下で記事にしてみました。個人的な話も少し書いていることから、有料記事としていますが、ご興味があればどうぞ。


外資特有の職種・FP&Aについて

FP&Aについて上記で少し触れましたが、詳細は別で記事にしています。従って、ここでは詳しくは触れませんが、一つだけ敢えて言っておくと、

外資でCFOを目指すなら絶対に避けて通れない職種が、FP&Aです。
例外はないと思って頂いて構いません。

是非、今後の参考としてみて下さい。


さて、まとまりなく外資についての特徴を列挙して来た記事ですが、疲れたのでこの辺りで終了としたいと思います。

今後も何か思い出したら追記するかもしれません。

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