調査嘱託書を読み解く
深田萌絵氏は、民事訴訟(令和4年ワ13347、損害賠償請求)の中で、「背乗り」について裁判所を通じて厚労省に調査嘱託書を提出しています。
その回答書を本人が公開し、被告が中国人であるという事を証明したと動画やSNSで発信しています。
その見立てが本当かどうかを読み解いていきます。
※質問状は公開されていません。
→2024年7月2日の弁論準備手続きにて質問状の内容が一部判明しました。追記2にて記載します。
➀深田氏が動画で上げた書類
②文面
令和5年12月1日
東京地方裁判所民事第16部乙合議B係 裁判所書記官 川上 陽子殿
厚生労働省社会・援護局援護企画課 中国残留邦人等支援室長
調查嘱託書(回答)
令和5年10月26日付け調査嘱託書(令和4年(ワ) 第13347号損害賠償請求 事件関連)について、下記のとおり回答します。
1.調査対象者
(1)藤井一良 昭和59(1984)年9月2日生)、
性別:男、中国名:吳思国
(2)藤井健夫 昭和28(1953)年7月7日生)、
性別:男、中国名:呉也凡
2.回答
上記1の者については、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成6年4月6日法律 第30号)(以下、支援法という)に基づく支援を実施した記録はありません。
なお、提出された甲第8号証及び甲第9号証によれば、上記1の者は「藤井治」氏が昭和27年に婚姻した中国人妻との間の子孫であり、昭和20年9月2日において日本国民として本邦に本籍を有していた者を両親としていないことから、支援法第2条に規定する中国残留邦人等に該当しません。
また、当室保管資料により、「藤井治」氏については支援法に規定する中国残留邦人に該当すると判断できますが、上記1の者と「藤井治」氏との親族関係の有無を確認できる記録はありません。
③回答要約と解説
文面で質問に答えたと思われるものを前項で太字にしました。太字部分を解説します。
➊支援室には、上記1の人物に対して支援法に基づく支援を実施した記録は無い
→支援法に該当する中国残留邦人ではなく、個別支援にて就籍している。
❷提出された書類によると、上記1の者と「藤井治氏」と子孫の関係である
→子孫の関係が証明されています
しかし、なぜかこの部分はスルーしています
❸上記1の者は、昭和20年9月2日において日本国民として本邦に本籍を有していた者を両親としていないことから、支援法第2条に規定する中国残留邦人等に該当しない
→➊の補足のため、特筆するものは無し
❹支援室には上記1の者と「藤井治」氏との親族関係の有無を確認できる記録は無い
→➊で、支援法を使っていないので記録が無いのは不思議ではない
④回答から想定される質問
質問状が公開されていない為、何を厚労省に質問したのか分からないので、質問事項を回答から推測してみました。
➊上記1の人物は、支援法を使ったか?
❷上記1の人物は、「藤井治氏」の子孫であるか?
❸上記1の人物は、支援法に該当するか?
❹上記1の人物が支援法を使っていた場合、その記録は残っているかどうか?
という様な質問であったと想定されます。
深田氏は血縁関係を証明する書類はあるか?と質問をし、公式にありませんという回答を貰ったと動画で言っています。
役所は、基本的に聞かれた事しか答えないのですが、厚労省は血縁に関する事は答えていない事から、下の動画は誤情報であると考えられます。また、深田氏が提出した書類により藤井治氏との子孫の関係が認定されているという厚労省の回答には触れていない事が分かります。
以下は、深田氏が調査嘱託書の回答を公表した時の視聴者側の考査です。
追記 深田萌絵氏の言い分
2024年4月26日、足立議員による「背乗り」の追加質疑がありました。
その動画に、深田萌絵氏が直接コメントしています。
このコメントも読み解いてみましょう。
➀個別の支援自体は支援法の施行前から行われている事が今回の質疑で明らかになっています。動画を見ていないのでしょうか?
➁藤井治さんは、その時点で日本国籍を喪失していません。
③血縁関係の事は触れられていません。
➃就籍しています。
深田氏の反論は反論になっていないと思います。
解説欄のリンクを踏むと、足立議員による調査嘱託書の解説のポストが表示されました。
https://twitter.com/adachiyasushi/status/1784069143911977012?t=yZybH7MRqZqUu9FGKdk6Hw&s=19
引用で、別のポストが表示されています。
深田氏の反論の中で、YouTubeでは血縁関係を立証する記録が無いと書いていますが、一つ上のポストでは、親族関係を示す書類は無いと書いています。
調査嘱託の回答書では、親族関係と書かれていますが、血縁関係とは書かれてません。
最近の動画では、血縁関係の記録が無いと言っている事を先程書きました。
微妙に事実関係や論点をすり替えている事が分かると思います。
追記2 申立書の一部判明
2024年7月2日の弁論準備手続きにて、想定される質問❷が判明しました。
2024/08/22追加👇
被告の反論とともにご覧ください
「被告藤井一良及び藤井健夫が、中国残留邦人である藤井治の子孫であるか否か?」という問いに対し、提出された甲8号証及び甲9号証によれば、上記1の者は「藤井治」氏が昭和27年に婚姻した中国人妻との間の子孫であり、となっています。
この回答が全てであり、他の質問に対する答えがどうであっても、厚労省が正式に子孫関係を認めたという事実には勝てないと思います。また、深田氏の提出した書類は、支持者に向けても配布していましたが、背乗り・なりすましの証拠ではなく、藤井氏が日本人であるという証拠だったという事が判明しました。
以上
関連資料
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