手記7

そんな私を躍らせたのは九つ下の彼女からの一報であった。「キカ、トンカンセシム。サヨウニ」読んだ時の私は鳩に豆鉄砲ようであったが、それも束の間の事であり三度読み返す頃には両膝を揃えて起立し、溢れんばかりの拍手を打ち鳴らし、「好!好!」と大粒の涙を垂れながら拍子よく連呼していた。
そんな様子を日暮れまで続けていた私は漸く腰を下ろし机に横たわる画用紙を三つ折りにした。喉を焼き、強烈な唾飛沫と共に赤黒い血液までも周囲に散らかしていることに気がついてからの事であった。唾飛沫に濡れ湿け、この上なく柔になっている紙を目の前にした私はそれがこの世の何とも表せないその懐かしさに、またも涙を垂らしながら叫び始めるのであった。

統括、揺ぎの響いている嘆願すること。

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