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自分がピアスを開けた理由

私は子供の頃、ピアスというものの意味がわからなかった。

「なんで体に穴を空けるの?」
「痛くなかったの?」
「なんでピアスを着けようとしたの?」

母親にも祖母にも尋ねた事がある。
答えは2人共「忘れた」だった。
さすが親子というものであるだろうか。

私は母親より祖父母に育てられたと思う。
小学6年まで金土日は毎週祖父母の家に泊まり、
夏休み冬休みは必ず登校日まで連泊。

月曜日まで泊まる時は祖父が学校まで送ってくれた。
仕事があるのにそれよりも早く起きて、朝早いのにだ。わざわざそこまでしてくれる。

そんな中、祖母は毎日化粧をした後、ピアスを着けていた。
「あれ?入らないなあ」
「今日はなんだか上手く入らないの」
私はそれを文字通りドレッサーの隣で見ていた。

結局小学6年までピアスは祖母くらいしか身近になかった。

中学生になる。
私はバレーの強豪校のバレー部に入った。
360日はバレーだった。
祖父母に会えるのは正月だけになった。

しかし、ピアスはそばにあった。
周りの友人が開け始めたのである。
安全ピンで痛々しく開ける者もいれば、
ピアッサーで開けたという者もいた。

「お前も開ければいいのにー」
「絶対似合うよ!」

誘惑だらけだった。
脱線するがタバコもだ。

私は両方共断った。
学生のピアス=ネガティヴなイメージ
それがあった。
校則にも進学にも影響が出ると思った。
そのまま高校生になっても誘惑だらけ。
その都度断ってきた。


大学生になるとピアスを開けている人が多くなった。
誘惑もあった。
しかし、今度は就職に影響が出ると思って開けなかった。

社会人になった。
理不尽な世界だった。
"大人"は子供だったとわかった。

仕事は真面目にやるが、学生の頃のように、

いい子ぶるのはもう辞めた。


その時に出会ったのが、

ジョジョの奇妙な冒険

である。

マンガは読み漁った。
アニメは観まくった。
フィギュアや一番くじを買ったり、
ヲタと言われる部類になっていた。

そこである事に気が付いた。

ピアスである。

3部からの主人公、"ジョジョ"は
全員ピアスを着けている。

これは運命だと捉えた。
自分を変えるチャンスだと思った。
自分の一生を変える覚悟が出来た。

痛みの恐怖、一生残る跡に躊躇いはあった。

しかし、それをも克服する覚悟が出来た。

過去の自分に決別する覚悟が出来た。

他人からどう思われてもいいという覚悟が出来た。



私はピアスを開けた。

「結局マンガの影響かよ!」
「あんだけ誘惑断ち切ってたのに」
「くだらな!」「ダサ!」

そう思われてもいい。

自分にはそんな批判をも受容する覚悟をしたから。

こう思った。

仕事での自分を偽る事が出来るが、
本当の自分を偽る事は出来ない。



ここでまたアホだなと思われる事を話そう。

私は金属アレルギーだ。

着けるピアスの材質には気を付けなければいけない。

一つ目のピアスはなんの問題もなかった。
しかし、そのピアスは何故かある日、着けたまま片方だけ無くなったのである。

マズイ。

全く同じピアスを買った、着けた。

金属アレルギーが出始めた。
今もそのピアスを着けている。


耳は腫れたり、アレルギー反応の組織液が硬化してカサブタになったりしている。
開けたピアスの周りはクレーターになっている。

でも、それも覚悟のうちだ。


全て覚悟したうえでピアスを開けたのだ。
このまま溶解して耳に風穴が開いても厭わない。

他人にとっては気軽に出来る事は、
自分にとっては覚悟がいる事だった。


他人にとっては
"そんな理由で"という理由でも、
自分にとっては
"そのきっかけと覚悟で"という意志。

たとえアレルギーで耳がなくなってもという、
覚悟を持ってピアスを開けた。


貴方は何故ピアスを開けましたか??


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