のんびり読書記録1〜紫姫の国(上)(下)

こんにちは!ばいそんです。
あけましておめでとうございます。
新年早々バタバタしてしまって、すっかり投稿時期が空いてしまいました(汗)

とはいえ、年末からのゆったりした時間を使って読み進めた本があるので、その感想を残しておこうと思っています!

今回の本はこちら!

沢村凛「紫姫の国(上)(下)」(新潮社)




こんな人におすすめ!

・ハラハラする冒険譚が読みたい!
上橋菜穂子さんのファンタジー作品が好きな方はきっと楽しめると思います。物語を通して読者へ問題提起をしっかりと行いながらも、展開が巧みで、ラストを予想できない圧巻の作品でした。
・愛の力を感じたい!
主人公が自身の根底から湧き出るような愛情に突き動かされる少しずつ変化していく姿は本当にたくましく、胸が熱くなりました。


ザクっとあらすじ

ある日船旅で遭難し、辿り着いた崖で不思議な少女と出会った青年ソナン。
一年後にまたここで会おうという約束だけを頼りに、彼は異国での過酷な日々を生き抜いていきます。
そして旅を続ける中で、ソナンは彼女が背負う宿命の重さと、一見幸せに満ちている「紫姫の国」の残酷な事実を知っていくことになるのです。
それでも、全ては彼女と平和な日々をともに送るため。ソナンは暗く苦しい世界の中で足掻いていく決意を固めます。


感想(ネタバレあり)

序盤、岩棚で出会ったウミに自分のことをぽつぽつと語っていくソナンの姿から、誰がのちにあんなに勇敢な男になることを想像できたでしょうか。
彼は元来、愛情深い男だったのだと思います。
家族のことを語るときも、死別してしまった仲間を語るときも、彼がどれだけ周りの人物を大切に思ってきたかが伝わり、胸が苦しくなりました。
そんな彼は、岩棚でウミと出会い、凄まじい勢いで彼女を追いかけ、守ろうともがきます。

一体どこからそんな力が出てきたのでしょう。

私は、時間をかけて語られた彼の人生譚にその答えが詰まっているのかもしれないと思いました。
彼は尊敬する人物にたくさん出会ってきたからこそ、自分の中に愛の原資があり、それをエネルギーに変えられたんじゃないでしょうか。
彼は現実世界で孤独になってもなお、貧しい生活の中で培ってきた思い出で胸をいっぱいにしていました。それどころか、孤独な状況を強いられたことによって彼の真の力が解き放たれたようにも見えます。
一方のウミは、本当の愛情を知らず、幸福な国民の陰で鬱々と生きていた人物でした。裕福な生活のなかの、うちに秘めた孤独。それをときどき覗かせます。

孤独とは何なのか。
それを考えずにはいられない物語でした。

ひとりになった時、目を瞑れば自分が大好きな人の顔が浮かんでくる。それってすごく幸せなことなんだろうと、改めて感じました。


心に残った言葉

名前を呼ぶのは、手を握るのに似ているかもしれない。ウミと呼べば、あなたを感じた。心の中にあなたが灯った。/ソナン

沢村凛「紫姫の国(下)」新潮社(令和7年1月)p164


最後に

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
初めて読書記録を書いてみました。
年始はまだゆっくり過ごせる時間があるので、今のうちに興味がある長編作品をどんどん読んでいきたいなと思います。

ぜひまた立ち寄ってくださいー!


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