のんびり読書記録2〜手のひらの音符
こんにちは!ばいそんです。
冷え込む夜が続いていますね。一度布団にくるまるともう出られません泣
ごろごろしていると、突然なんてことない思い出が頭に浮かんできたりします。
給食のうずまき形のココアパンとか、友だちと作った顔なしの雪だるまとか、作ったけど小さすぎて入れなかったかまくらとか……。
その頃はどうでも良かったのに、思い出してみるとなんだかどれも眩しいなぁと思う今日この頃です。
さて、今回の本はこちら!
藤岡陽子「手のひらの音符」(新潮社)
帯のコメントを見て、思わず買ってしまったんです。
というのも、このようなことが書かれていたから。
「SNSで好きだった人の名前を検索してみたことがある人、必読!」
う、ばれた……?
手に取らずにはいられませんでした笑
こんな人におすすめ!
・今、会いたい人がいる人
再会を描いたこの物語を読むと、懐かしい人のことをたくさん思い出します。そしてそれとともに、自分のことを見つめ直す機会をもくれました。
・がむしゃらに頑張ることにちょっと疲れてしまった人
物語の主人公は、デザイナー。しかし勤め先から服飾業から撤退すると告げられてしまいます。そこから悩み、自分の道を考える主人公を追っていくうちに、すこし立ち止まって一息つく心の余裕が生まれます。
ザクっとあらすじ
45歳独身、デザイナーの水樹。ある日上司から自社が服飾業から撤退することを告げられる。辞めていく仲間をひきとめ、必死にあがいていたものの、自分がそこまでしてしがみつく理由がわからなくなっていく。
そんな彼女の元に届いたのは、恩師の入院を知らせる電話。
彼女は先生や旧友との再会を通して、自分が胸の奥にしまっていた思い出を、大切な人を、すこしずつ思い出していく……。
感想(ネタバレあり)
大人になっても、誰もが子どもの頃の記憶を糧にして生きているんだと感じました。
ある時、色鉛筆アートの講師の方がテレビでかぼちゃの絵を描いていた時を思い出します。
かぼちゃの色は、深い緑色。それは既存の緑だけではどうしても出せない色なのだそうです。
だからこそ、下地に黒を塗る。
黒の上から緑や黄色、橙を塗り重ねることで、生の重みを感じさせる色になります。
幼い頃に感じたものは、決して消えるわけではなくて、一枚のかぼちゃの絵に塗られている黒のように、じんわりと私たちをあたためてくれているのかもしれません。
私にも本作の水樹のようにしばらく会っていない恩師や旧友がいます。
彼らは私をさまざまなものに出会わせてくれました。
真新しいものへ、というよりは、「ずっと憧れていたけれど踏み出せない場所」へと背中を押してくれる人たちでした。
誰かに認められたいがために自分を変えようとしてしまう経験は、私にもあります。
けれど同時に、大切な人に応援してもらったあのときの自分を見失いたくない。そんなふうにも思います。
これからも自分のペースで、日々を過ごせたらと思います。
心に残った言葉
最後に
最後まで読んでいただきありがとうございます。
連続での読書記録でした。
回想シーンが多いのにとてもよくまとまった素敵な小説で、人生の節目で読み返したい本が増えました。
次回は映画の鑑賞記録です!また読んでください♪