元旦の話〜決意の朝に〜


2020.2.2(SUN)

昨年末、今年の元旦にご来光を拝もうと決意した僕は、枕木山の華蔵寺に行くことにした。

周りからは「元旦何すんの?」「どっか行くの?」とか訊かれて、「枕木山の華蔵寺にご来光を拝みに行く」と答えた。
「俺らも行っていい?」とか「参加していい?」と返ってきたが、全てお断りした。

それはなぜか、自分1人でやりたかったから。

ただそれだけ。

自分で言ったことを自分1人で行動に移せなきゃ来年(今年)も何にも変わらない、またグダグダ悩む1年になってしまうと本気で思っていた。

加えて、ビビリの僕にとっては、枕木山は怖いところだったのだ。

でも、そんな壁を降り越えられなきゃ変わることなんてできやしない。と自分に言い聞かせていた。

だから、1人で行きたかった。

なぜこんなにも枕木山にビビっているかというと、枕木山で憑かれたことがあったからだ。
夜の枕木山に星を見に行ってから寝ても疲れが取れず、身体は気怠いという日々が続くことがあった。

そんな時に仲の良かった霊感のある先輩に会ってすぐに

「お前どっか危ないとこ行っただろ。よくない何かがお前に憑いてる」と言われ、

「今日から毎日朝早く起きて朝日をきちんと浴びて3食ご飯を食べる規則正しい生活しろ」とのアドバイスももらった。

(絶対に枕木山だ・・・)

そこから僕は先輩のアドバイスを徹底するように心がけ、なんとか事無き?を得た。

こういう経験があったので、僕は枕木山に対して恐怖の念を抱きまくっていた。

そんなこんなで迎えた元旦当日、朝6:30。

「よし、行こう」

車を運転しながら、枕木山に近づくにつれて、心臓の鼓動は早まっていった。

「大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせ、華蔵寺の入り口に到着したときには心臓はバクバク鳴っていた。他の車なんて1台もない。

華蔵寺の入り口でお邪魔しますと、一礼し、階段を登っていく。

枕木山にはしんしんと雪が降っていた。辺り一面うっすらと雪が積もっている。

薄暗いし、雪で石段から足を滑らせても危ないし、霊的なのもなんか怖いし、野生動物出てきたらどうしようとか、ビビリは最高潮だった。

そして、途中の不動明王の大きい石像にお参りし、本尊を目指す。

本尊までたどり着いた時、辺りは雪に覆われており、空気はツーンと澄み切っていた。

そこにある全てが荘厳な佇まいだった。

この空間に辿り着いただけで、生まれ変わったような感じがした。

本尊にお参りを済ませ、いざ展望台へ。こんなことやるのなんて1人だろう、でも、やり遂げた。

「やってやったぞー!!」

と、思ったのも束の間、飛び込んできた景色にはなんと…






1組の大学生くらいのカップルがいた。


普通に「寒いねー」とか言ってあの展望台に一番乗りしていた。





気合い入りまくりだった自分にはその光景が可笑し過ぎて吹き出しそうになった。

そしてご来光はというと、曇ってたので大して拝めなかった。

なんなら歩いてる時に雲の隙間から見えたあの燃えるような赤が一番綺麗だった。

展望台には僕の後に男性2人組と女性1人の計3人来た。

カップルのおかげで肩の力が抜け、気が楽になった僕は展望台から景色をボーッと眺めながらそこでふと思い出した。

(あ〜、そうだったじゃん。こんなもんだわ。そうそう。)

インドに行く前もビビり倒していた僕だったが(一番最初の記事参照)、実際に行ってみたらそこには普通の生活の営みがあって、同じように旅してる外国人がいて、日本と同じように地球は回ってた。

意気込んでた自分がバカらしく思えてきて、たぶん1人でニヤニヤしていたと思う。

(そうだ、自分の決意やチャレンジなんて、他の人からしたら”普通”のことなんだよな。勝手に決意して勝手にビビってるのは自分なんだよなって。)

決してご来光を拝むにはいい天気とはいえなかったけど、それもまたよかった。
人生そんなにいっつもうまくいくわけじゃねぇよ。って、言われている気がした。

(あー恥ずかし、でも、来て良かった。インド・ネパールに行った時のあの感覚が思い出せた。)
(今年はやったるぞ!!やらずに後悔するよりも、やって失敗した方が経験になる!ネタになる!)

そうして、今年1年、というかこれからの人生、自分に素直に生きることを決意したのであった。

ありがとう、枕木山、ありがとう、華蔵寺。


帰り道、きちんと階段を登って正々堂々辿り着いたのは俺が一番だな〜なんて思っていたら、駐車場のところに来た時にはなかったクロスバイクがあるではないか。

あ、あの女の人、ヘルメット持ってたのってチャリで来たからだったんか!!!

こんな寒くて怖い中、山のほぼ頂上までを1人でチャリで!?!?すごっ!!!!

と、改めて自分の小ささに気づかされた元旦でしたとさ。

おわり。

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