芝居しかやったことがない役者が団体を立ち上げてとりあえず映像作品を作ることにした話②
前回の続き、立ち上げのきっかけについて。
そもそも「相談ダイヤル」は違う企画で映像作品のアイデアの一つとして書いたものでした。その時求められていたことは「演技経験が少ない俳優を魅力的に見せたい」というものだったので、演者が純粋な力量を見てもらえるように一人語り形式の台本を書きました。それにはいろんな理由があるのですが、編集に頼れないという理由が一番大きいです。文字数も少ないわけではないので、ある程度の稽古も求められるし、作品を通して若い演者が成長できればというイメージでした。
しばらくして、上野くんと一緒に飲んでいるときに「稽古用の台本なにかないですか?」という話になり、携帯に入っていた今作の台本を読んでもらいました。即答で「やりたいです!」ということだったので、次回から稽古することに。それからコツコツと稽古を重ねていくうちに、10人いれば3人くらいには届くようなとても素直な作品が出来ました。(この割合が僕はとても好きです。)
ちょうど上野くんが俳優活動を本格的に始めたいという時期も重なり、資料映像をどうしたらいいかという相談もあったので「なら撮ってみよう!」と思い立ち、今回の「相談ダイヤル」を実際に撮影することにしました。
製作の経緯はざっくりこんな感じです。
まだ団体の立ち上げの理由にはならないですね。
団体の立ち上げ・維持は本当に大変な作業です。やりたい気持ちは何年も前からあったのですが、正直に言うと、自分のためにハードルを越える作業は20代で劇団を始めたときにやっていたので、もう一度同じようにやることには抵抗がありました。あの頃、劇団は成功していたのに、自分はかなり疲弊していて。これもまたどこかで書きますね。
なので、自分のために作品を作るなら、きっと団体は出来ませんでした。今回、立ち上げが出来たのは、上野くんのために作るというきっかけがあったからだと思います。「誰かと自分」という視点ならスタート出来る。そう確信したので、VACANCY(ベイカンシー)=「空っぽ」という言葉を背負って立ち上げました。
「相談ダイヤル」は上野一稀くんのため、もちろん自分は演出・編集などを勉強するため、いろんな目的・要素が詰まっています。そして、これで終わる訳ではなくて、ここから始まります。
次回はこれからのことについて触れたいと思います。
もし、これを読んでくださっている中に、映像や舞台の製作に関わっている方、各セクションのスタッフワークをやられている方、俳優として活動されている方、作品を観て今後に期待を持ってくださった未来の観客の方がいらっしゃったら、どこかでお会いできることを心から楽しみにしています。
さあ、いよいよ今夜!!
20時~下記のYouTubeで公開致します。
短く、シンプルな作品ですが、ぜひご覧ください。
観終わった後に、皆さんの心が少しでも揺れていたらと願っています。
よかったら、また近いうちに、ここにいらしてください。
鬼塚俊秀