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やはりバカンスは必要だろ。

バカラボ 所長の欧州日記 ④ ドイツ/フランクフルト編
バカンス研究所·2020年2月17日

本日はドイツ、フランクフルトから。
創業350年の老舗プライベートバンク メッツラーのパートナー(共同経営者)であり、日独産業協会(DJW)の理事長を務めていらっしゃる、Gerhard Wiesheu氏のオフィスを訪ねる機会をいただき、いろいろお話を伺いました。
ドイツでは3週間程度のバカンスは当然。日本人の皆さんを見ていて、休みが本当に短いな、と感じていると。ヴィースホイ氏は日本の温泉の大ファンでもありますが、温泉に入ると通常の3倍とか休みの効果があるのかな、と思えると。日本人は、温泉に入るから休みが短くて済んじゃうんじゃないの!?と冗談めいておっしゃっていたのが印象的でした。(因みに、全部日本語でした。本当に堪能なのです。)
それでは、ヴィースホイ氏の語ってくださったインタビュー内容です。


会社として考えないといけないことがある

まずは経営的な視点から、バカンスでの3週間程度の休暇はとても重要であるというお話し。
・しっかり休んで、従業員が元気になり、リフレッシュして、活力旺盛になること(実際、休暇を終えて帰ってくる社員からそういう元気を感じている)
・疲れてリフレッシュできてない人から、いいアイデアなんて出ないから。
→ イテテ、って感じです。が、まさにバカンス研究所のメインテーマです!
・コンプライアンス的な観点からの「リスク管理」という側面;
休暇に入っている社員がいなくても、業務が回っているのかどうか?ということをチェックするにはこの機会しかない。さらに、特に金融業界では不正や癒着等がないか、そういったことを把握するためにも必要かつ大切な時間。
会社にとって、業務プロセスや不正等の有無をチェックすることができる上に、帰ってくる社員が元気になって、いろいろなアイデアに溢れるわけだから、バカンスは「一粒で二度どころでないくらい美味しい機会」なわけです。
→ 日本の場合は、「いなかったら仕事回らないだろう!」とか、「いなくても回るなら、いらないってこと?暇なの?」みたいな感覚がありますが、組織論的にはこれは間違え。近年、かなり改善が進んでいるけど、まだまだこの手の経営者や管理職の方、多いですよね。ここは払拭したいところです。

バカンスは、やはり3週間は必要


1週間はクールダウンに必要。バカンスはやはり3週間は必要だと思う。
この話はいろいろなところで聞く話です。ヴィースホイ氏も同じコメント。
休暇に入って最初の1週間は、まだ仕事から離れられない。頭の中も仕事が残り、メールチェックしてみたり、気になってイライラしてみたり、等。クールダウンする時間が必要なので、最初の1週間はそういう時間。
その時間を経過すると、不思議と自分のことを客観視できるようにるといつも感じるそうです。(実証が難しい点。でもそうなるんだそうです!)
「あれは、こうやればいいかな?」とか、少し違った見方や考え方をできるようになったり。はたまた、自分のキャリアプランそのものを客観的に考える機会ともなる。自分の適性とか、将来へのプランとか。そんな中で、「バカンスが明けたら、上司に将来像を説明してキャリア上の相談をしてみよう」というように、未来のプランを考える機会となるそうです。
自分を離れて見つめ、自分の時間を使って考える、すべての人に絶対に必要なものだし、これは毎年必ず持つべき時間。年に一度は自分を客観的に見直す・考え直すような時間を自分に与える。
→ それが実はバカンスの効能かもしれませんね。(ジョージ感想)

お金がない、人が足りない、は「言い訳」

計画性がキーワード。
まず、休む計画を事前に組む。これがポイント。
バカンスを前もって決めて、早割で安く旅費を抑える。
休みを目指して、効率的に業務を進める。
仕事もバカンスもそうやって計画的に進めている。
→ 夏のバカンスについていえば、大抵の人は前の年に日程を決めて、飛行機やホテル等を早割で購入する。そうすることで、高額なシーズンプライスを負担しないように工夫している、等。
以下は、ヴィースホイ氏のコメント:
なぜみんな休めるか。
これは”お互い様”だから。
私が休むことで、周りも休むことができる。
予定は、休むことを基準にして決めてゆけばよい。
人手不足のことを気にする日本人の方も多いですが、これも言い訳に聞こえます。
計画的に進めることで、生産性は自ずと上がります。
だらだらなんて、絶対にやりません。
休みを前提として効率的に業務をして、きちんと休む、これを組織として、個人として、共通のゴールとしてやっているのです。


バカンスの過ごし方


過ごし方は人それぞれ。お金持ちの高級リゾートだけがバカンスではない。ドイツではバカンスは金持ちの特権ではなく、あらゆる所得層で大切にされていると思います。期間的にも2〜3週間は休暇を取る。


ハイキングもとても人気だし、自転車でアルプスを越えるような旅もローバジェットだけど、本当に充実した時間。
ビジネス的な観点からいえば、こういう旅を手軽に実現するためのサービスも結構整っていて、ホテルの予約をするだけでなく、荷物を車で搬送してくれるサービスなんかもきちんと整っています。
日本でいうと宅急便のようなものかな、と思いますが、もっと旅に帯同してゆくようなイメージの専門的なサービス。
こういったサービスの開発もありえそうですね。
大人と子供、それぞれの時間を作る工夫がある
もう一つの特徴は、大人と子供、それぞれが存分に楽しむための工夫。
家族で過ごすことは楽しいし大切な時間ですが、子供はやはり子供と遊びたいもの。そして、大人は自分の時間を持ってゆっくり過ごすことも大切にしています。
だから、それを両立させるためのサービスが整備されている。
いたって当たり前のようで、実は日本でなかなか進んでいないことです。
数週間子供達で過ごす、アメリカで言うところのサマーキャンプはヨーロッパにもたくさんあります。
そして、ホテルでも、子供用のアクティビティを準備しているところも多く、朝9時から夕方5時までは、子供は子供用アクティビティに出かけ、大人はリラックスして過ごしたり、大人用のアクティビティ(Excursion)の用意があったり。
スパでも、子供用と大人用を分けているところもあります。
日本では、日数が短く、多くの場所を転々と回る旅行スタイルが一般的。
バカンス的には、ゆっくり滞在して、子供は子供の時間を、大人は大人の時間を、要するに「自分の時間」をいかに創出するか、というところがポイントですかね!(ジョージ補足)

日本はバカンス天国のはずです

日本での旅経験も豊富なヴィースホイさん。
いろいろな示唆に富んだ話が。かなり熱く語ってくださいました!
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日本は、行くところ・やることがたくさんある。その上、とても安全だし、食べ物は美味しいし、皆さんとても親切。
そういう日本は、本当にたくさんのバカンスアイデアがあると思うし、バカンス天国だと思っています。
日本勤務時には、スキーにも行ったし(スキー場、特に日本のパウダースノーは世界的に有名です)、安くてご飯も美味しい上にオーナー家族とも親しくなれるペンションは大好きだった。温泉は最高だし、伊豆で別荘を借りて友人たちと過ごしたこともあった。
日本に行ったことのあるドイツ人は、みんな日本のファン。おもてなしが心に残る、京都の古民家に泊まる、瀬戸内海のアートの島「直島」のファンは本当に多くて、必ず行きますね。
観光地というより、こういうカルチャーや体験が豊富。
自分も、まだやったことないけど、チャンスがあれば中山道や四国八十八ヶ所とか、歩いたり自転車に乗ったりしながら巡ってみたいと思っています。10年ほど前には、まだあまり有名ではなかった「しまなみ海道サイクリング」にも行ったんですよ。最高でしたね。


私は仕事でドイツの政治家の方と日本を旅する機会もあります。
先日は、道後温泉に行って、松山市長と面談する機会もありました。新居浜市にも伺ったのですが、たくさんの素晴らしい自然資産に恵まれていると感心しました。瀬戸内海に面した地の利を生かして、ヨットハーバーを作ればいいのでは?という話をしましたよ。
ヨーロッパでいうと、クロアチアが新しくヨットハーバーを造成して大成功した例があるのです。ヨットといえば金持ちの道楽、というイメージがあるでしょうし、ヨーロッパでも地中海に面した南仏等は超高級高額ヨットハーバーが多いです。ですが、ヨットは多くの人が楽しむので、必ずしも金持ちばかりではない。クロアチアは、近年開発が進んできた国。アドリア海を挟んで、対岸はイタリアです。ここに低価格でも満足度の高いハーバーを作ったのです。まだまだ物価水準は低いですから、そういうことが可能なのです。


新居浜も、瀬戸内海に面し、気候的にも地理的にもとても恵まれた場所。差別化するためのアイデアや吸引力のあるコンテンツを実現してゆくことで、たくさんのビジネスチャンスにつながるでしょう。直島やしまなみ海道等、特に欧米系の外国人に人気のロケーションも近い。そういうところは、日本全国、本当にたくさんあると感じています。
ぜひ、面白い形で遊びを充実していただきたいですね。
そうしたら、ドイツのみならず、たくさんの旅行者がバカンスを過ごすために日本を目指すと思います。
冬のニセコや白馬等、既にそのようになり始めていますからね。
バカンス研究所でぜひこういう楽しいバカンス環境を実現していただきたいですね。

<ジョージ編集後記>
ありがとうございました。
今後もいろいろなアドバイスをいただきたいと思います。
フランクフルトは、今までトランジットで通過したことしかなく、空港から外へ出たのは初めてでした。
マイン川に沿ったとても過ごし良さそうな街。
川沿いにゆっくりと時間が流れていつつ、金融の中心地として現代的な開発も進んでいます。
今度はゆっくり過ごしてみたいと思いました。

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