【107日目】性弱説
ご隠居からのメール:【性弱説】
「ご先祖様が秘密にしていたことをあばきだしてはいけない」といういましめについては、「尼子の落人」の続編を書こうとして、有栖川公園内の中央図書館で『神郷町史』から伝蔵さんのことを知ったとき、考えさせられたことだ。
神郷町長をつとめた家に『神郷町史』が残されていなかったのは伝蔵さんが許嫁の津弥さんをふりきって家出同然に出奔し、宗教家として成功した事実が、わが家の子孫には知られたくないと思ったのではないだろうか。
これと同じように秘密にしておきないことは他にもあったにちがいない。それを子孫がわざわざ探しだして公表していいものだろうかとオレは悩んだ。それに加えて、「先祖自慢をしている」という徹さんの評が気になって、「尼子の落人」の続編は今だに書いていない。
しかし、先日信谷さんから電話で御先祖の墓のことを聞かれたとき、これはファミリーヒストリーを書けという御先祖の声ではないかという気がした。墓参りができない今、墓地の草取りの代わりに想い出に想像をふくらまして御先祖のことを書いてもいいのではないだろうか。
性善説と性悪説、そして性弱説という前社長は納得できる。「つい魔がさして悪いことや卑怯なことをしてしまいそうな環境に部下を追い込まない」とは立派な経営態度だし、そのような方針をミドルマネージメントは心がげるべきだ。従業員の倫理観を正していこうとする現社長の方針も正しい。
問題はギリギリの決断に追い込まれたときだ。「支那朝鮮ロシアに舐められ、米国の属国で生涯を送るのが「幸せ」とはぼくにはとても思えない」とあるブログの作者が勇ましく記載しているが、それは現代においては言論の自由が保証されているからだ。現実に張家口のような状況に追い込まれたとき、自分が司令官だとして天皇陛下の命令よりも自分自身の倫理観にしたがって行動することができるだろうか。
そんな状況でこそ、人間の本性があらわれるともいえるが、権力者の言葉をそのまま受け止め、天皇陛下バンザイと言って死ぬのがふつうだと思う。それを同調圧力というらしい。
まあ、長生きをさせてもらった上にこんなことを書いていられるのも平和のおかげだ。
返信:【Re_性弱説】
「方谷塾入門」届きました。ありがとうございます。令和3年7月1日に発行と本の裏に記載があり、娘が「私の誕生日と一緒だ」と喜んでました。これから楽しく拝見させてもらいます。
実をいうと、お祖父ちゃん、輿一さんが蒙古聯合自治政府で働いていた、足跡のわかる記事を偶然みつけてしまった。
與一さんが生涯口を塞いだ戦時中の消したい記憶を、自分がズケズケと調べてしまった。家族や息子に戦時中のことを話さず、再出発を果たした輿一さんの人生を、孫の自分が伝えるというのもなぁーー。と、いたたまれない気持ちになり、悩んでしまった。知られたくないコト、隠したいコトだったはずなのでーー。
しかし、このタイミングでファミリーヒストリーを調べるようになった運命と先の大戦が「過去」と呼ばれる時代から「近代史」と呼ばれる時代になったということ。そして、自分が偶然知った情報もご先祖さまからのメッセージと受け止め後世へあやまった伝わりかたをすることも危惧し、覚悟を決めて伝えようと思う。
記事の名前は「大陸情報」筆者は「陸單獸醫大尉市川收」與一さんは、蒙彊家畜防疫處の顧問部で働いていたようだ。
仕事の内容は、家畜産業の発展のため獣医として家畜防疫の研究や予防接種
日本語の教育などをしていたと推測される。(※其の二の記事に長谷部という名が記載されている)