有名楽曲でもアドリブ部分なら著作権セーフ?!
今回はちょっと変化球的な著作権のお話しです。
今のところ(2022年1月現在)ツイッターでは音楽利用の面で合法的な著作権処理が行われていないため、権利者からの許諾が無いままで歌詞をツイートしたり演奏や歌唱をツイートしてしまうのは著作権侵害=違法行為です。
そんな中でツイッター上にて、とある有名楽曲のタイトルを明示した上で「この動画の演奏部分は○○楽曲のアドリブ部分なので俺の作曲だから著作権的にセーフだ」と主張するツイートを見かけました。
まずは「セーフとかアウトとかゲーム感覚で考えるのをやめろ」と言いたいですね。
百歩譲ってアドリブ分のメロディー演奏に限り、その奏者の作曲だとの主張は納得することにしましょう。 けれども、そのツイートでは「○○楽曲だ」と明示しているので、その楽曲を演奏利用しているという依拠性※には疑いのないところでしょう。
※依拠性(いきょせい):他人が創作した著作物であることを認識した上で演奏・歌唱利用している状況。
有名楽曲の知名度を利用して自らの演奏投稿を注目させているのですから、例えアドリブ部分であったとしても「その有名楽曲」を(最初の前提を根拠に)無許諾で投稿=著作権侵害となることは間違いないでしょう。
また、依拠性をもって有名楽曲の一部分だけを勝手に切り抜き、独自にメロディーを改変したのであれば同一性保持権の侵害とも解釈される可能性があります。
今回見かけたツイートでは具体的な楽曲名を掲げた上での演奏投稿であったにも関わらず、その曲のアドリブ部分だから原曲とは無関係であり、俺の作曲だからセーフだという身勝手な解釈でした。
有名楽曲であることを認識した上での依拠性に加えて法の網目をすり抜けてやろうという強い悪意も感じたので、こうしてnoteの話題として取り上げてみることにしました。
有名曲の知名度を利用して人の注目を集め、自己顕示欲を満たすのですから、その人にとっての利益となることでしょう。
公衆に向けての演奏や歌唱の投稿を行う場合には、表現に利用する楽曲の著作者に対するリスペクトを忘れず、きちんと著作権処理を行う、もしくは侵害とならないよう適法に扱うように心がけていただきたいと思います。
例えばカラオケ音源はカラオケ利用客が歌って楽しめるように作られた音源ですが、カラオケ音源に併せてメロディーを崩して歌ってしまう(故意であっても単に下手であっても)のであれば、別の楽曲だと認識されて著作権侵害状態は解消され楽曲使用料もかからないようになると考えているのと同じレベルであるように感じました。
もはや屁理屈を捏ねながらの脱法行為でしょうね。
「俺の作曲だ」と言いたいなら、自分で1から作曲した自作曲でどうぞ。