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なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?【読書記録#25】

25冊目の読書記録はこちら。記録していく。

営業に自分にとっての意味を見出せるか

この本は、営業のノウハウ本のように見えて、人生の生き方を説いているような面がある。

何かを売ろうとすれば、いやでも本当の自分と向き合うことになる。お金のためにどこまでならできるのか?背景も目的も違う人たちを相手に、自分をどう見せるのか?友達づきあいと仕事上の関係をどこで線引きするか?こうした問いに正解はない。ただ、その問いにどう答えるかで、自分が何者であるかが決まり、成功できるかどうかが決まるのだ。

p.21

何かを売るという行為に対して、「自分が心から良いと思えるものなら自然にセールスできる」とか「お客様がより良い未来を手に入れられるように売る」とか、綺麗な言葉で説明されるようなことがよくあるが、この本の面白いところは、そう言いたくなる人間の心理をも一歩引いて、述べているところだ。

結局のところ、何かビジネスを上手くやろうとした時には、誰しも営業をする必要が出てくる。自分がどんな人生を送ろうとしていて、そのために、営業が必要なのであればやる、というスタンスなのだ。

シェンカーに言わせると、「売ること」は自分に必要なものを手に入れるためにかせない行為である。僕たちは、ただ「売る」ために売るのではなく、人生で望むことを達成する手段として売る

p.328

本のサブタイトルにあるように、営業活動には断られることがつきものだ。だからこそ、打たれ強くなければ、継続することはできないが、コロンビア大学の心理学者ジョージ・ボナンノは、打たれ強さについてこう述べている。

人間の打たれ強さとは、「人生の意義を見つけようと努力する力。自分が環境や結果を変えられると言じる力。いい経験からも悪い経験からも学べると思う気持ち」だとボナンノは言う。

p.40

普遍的な「耐性」のようなものがあるわけではなく、自分の行為に意味づけをすることで、モチベートする力こそが「打たれ強さ」なのだ。

バウンダリーが引けるか、ゲーム性を楽しめるか

人に何かを売るということは、人を動かすことである。その時には、一定程度倫理観を見て見ぬふりする力が営業には必要であることも、この本には率直に書いてあったように思う。モロッコの絨毯売りのエピソードはあったが、駆け引きをゲームのように楽しめるかどうかは、営業をする上での素質になってくるのだろう。本質の課題を解決できるものではなく、顧客の望むもの(例えそれが、課題を解決できなかろうが)を得ることもあるという。

また、バウンダリーが引ける人であることも重要だ。結果がどうであれ、楽観的に捉えられる人の方が、30%ほど営業成績が良いという研究結果もあるそうだ。

やはり営業は、人の心を扱う仕事だけに、なかなかハードな面も多いが、そういったことも含めて、この本は赤裸々に書いてあることが面白い。
また、営業をやる機会が増えた時に、読み返したら面白そうだ。



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