よくわからないこと(2)
英語教育・英語学習について,「定説」になっているけれど,個人的に納得がいっていないというか,よくわからないこと。
その2は,「単語は文脈の中で覚えろ」。
これ,「リテリング」と同じで,「そうだったらいいよね~」くらいの,ほわっとした考え方が,いつの間にか「そうでなければならない!」と変質してしまった部分があるのではないかと思っています。
語学をするのに,単語帳などでリスト学習をガリガリやるのは言葉との付き合い方として自然ではない,というのは,たしかに理解できるのです。いろいろな目的・場面・状況に応じて言葉を使いながら,必要に合わせて自然と語彙を拡張していく,というのは,ある意味で語学の理想形と言えるのかもしれません。
ですから,「やっぱり,文脈の中で未知語に触れながら自然と覚えていけたらいいよね~」という「ロマン」はあってよいと思います。
それに,じっさい,単語帳で英単語と日本語訳の対連合学習だけを行った場合,個々の語彙項目に関する知識は,文脈の中で習得した場合に比べて,広がりや深さに欠けるものになりがちだ,というのもわかります。
しかし,それが「単語は文脈の中で覚えなければいけない!」という主張になってしまうと,いささか飛躍があるように思うのです。
語学を生涯の趣味として楽しむならいざしらず,入試や資格試験を含め何らかの実用性を求める場合,必ず「タイムリミット」があります。一定の期間に一定の成果をあげなければならない以上,費用対効果の観点はどうしても必要になります。
たとえ浅い知識であろうと,ともかくある語の第一義ぐらいは知っている,という状態をさっさと作ってしまわなければ実用に供する英語力にならない場合,リスト学習は決して唾棄されるものではないと思うのです。リスト学習で浅い知識だけでも先に仕入れておいて,それを文脈とすり合わせながら拡張・深化させていくやり方もあるでしょう。
語彙習得のことだけを考え,時間軸を無視してよいのであれば,「理想的」な語彙学習のやり方はいろいろあるのだと思います。
が,発音も,文法も,読解も,数学も,理科も,部活も,兄弟の世話も,時間的制約の中でこなさなければならない現実的諸条件の中では,「それもアリだよね」ぐらいの考え方をしないと,とてもやっていけないのではないでしょうか。
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