YAMAOKA_Taiki

山岡大基(中学校・高等学校英語教員)

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山岡大基(中学校・高等学校英語教員)

最近の記事

部活動の「地域移行」について

学校の部活動を地域で面倒を見てもらえるようにしましょう,という話が進み始めています。 これ,なかなか複雑だなあ,というのが私の率直なところ。 部活動を外部化することによって,学校が得るものもありますが,同時に失うものもあって,賛成・反対が,そう簡単に割り切れる問題ではないなあ,と思っています。 (1)教員の労働問題として まず,教員の労働問題として見た場合は,待ったなしでしょう。ここで私が言挙げするまでもなく,土地勘のない部活を持たされたうえに生徒や保護者からの突き上げ

    • よくわからないこと(2)

      英語教育・英語学習について,「定説」になっているけれど,個人的に納得がいっていないというか,よくわからないこと。 その2は,「単語は文脈の中で覚えろ」。 これ,「リテリング」と同じで,「そうだったらいいよね~」くらいの,ほわっとした考え方が,いつの間にか「そうでなければならない!」と変質してしまった部分があるのではないかと思っています。 語学をするのに,単語帳などでリスト学習をガリガリやるのは言葉との付き合い方として自然ではない,というのは,たしかに理解できるのです。い

      • よくわからないこと(1)

        英語教育・英語学習について,「定説」になっているけれど,個人的に納得がいっていないというか,よくわからないことがあります。 1つは「音読は意味理解の後で」。 これは,本当によくわからない。 「言葉」と「意味」を結びつける作業としての音読,という位置づけだからそうなるのだと思うのですが,「音読」という学習活動自体は,それ以外にも「使い道」はあると思うのですね。 私が教育実習や英語科教育法の授業で言っているのは,「音声・文字・意味の三角形を作れ」ということです。教科書などの教

        • 「リテリング」について

          英語教育界では「リテリング」が大人気です。 私も,良い学習活動だと思います。聞いたり読んだりした教材を,「正確に暗唱しろ」ではなくて,「ところどころ自分が使える表現に置き換えてもいいから言ってごらん」という融通の利く「ほわっとした」感じが良いと思っています。 ところが,「リテリング」が広まるにつれ,妙に原理主義的な「リテリング」論がちらほら見られるのが気になっています。典型的なのは「リプロダクションではなくてリテリングを!」というもの。原文の正確な再生を意味する repro

          (非)公開授業の振り返り

          下書きはずいぶん前にしていたのだけど,なんとなく放置して仕上げていませんでした。もう年度が替わってしまうので,2020年度の1つの記録としてなんとか振り返り。 2020年12月4日(土)に勤務校の「教育研究大会」があり「公開授業」をしました。 例年であれば文字通り「公開」授業なのですが,今年度はコロナ禍の中での開催とあって,原則として非公開,つまり,校内関係者のみの実施で,同僚どうしで他教科の授業を見に行って研究協議をするスタイルでした。 外部からの参加は,連携をさせて

          (非)公開授業の振り返り

          話すこと・書くことの評価について

          研修会などで現場の教員どうしでディスカッションするときに,話すこと・書くことの指導が話題になると,だいたい決まって「評価が難しい」という話になります。 評価の公平性を保つのに苦労する,というのが定番の「お悩み」で,たいてい「難しいですよね~」という共感で終了という流れ。 一般論として,発表技能の場合,生徒のパフォーマンスが必ずしもこちらが想定している範囲におさまってくれるわけではなく,こちらの出した評点の差が,本当に生徒の力の差を表すといえるのか自信が持てない,ということ

          話すこと・書くことの評価について

          消去法のthe?

          今年度は中学1年生を担当しています。(相変わらず高2・3の英語表現は定位置ですが。) 中1で扱う内容のうち,play the pianoのような「play + the + 楽器名」という慣用は,実は,今でも one of the most 腑に落ちない英語sです。 昔からこれには悩んでいて,いろいろ調べはするのですが,これといった解説に出会ったことがありません。出所の怪しい俗説にもいくつか遭遇してきました。 曰く,「昔はピアノのような楽器は高価で,例えば村に1台,教会に

          消去法のthe?

          「ネイティブはこう言う」けど使えない

          最近,ずいぶんと自分の感覚が変わってきたと思うのは,「ネイティブはこう言う」系の,ちょっと気の利いた言い回しとして紹介される英語表現の捉え方です。 以前は,「なるほど,そんな言い方があるのか,おもしろい」という捉え方でした。「ネイティブはこう言う」系の表現には,ノン・ネイティブ・スピーカーがたどたどしい英語で言ったらさぞかし滑稽だろう,というものも珍しくありませんが,それでも,あわよくば,自分でもちょっと試しに使ってみたい,という気持ちにはなったものです。 ところが,最近

          「ネイティブはこう言う」けど使えない

          指示する実体の異なる代名詞

          長年,英語と付き合う中で,ときどき出会っては違和感を覚えるものの,「そんなもの」として流してきた英語の用法の1つに,次のような代名詞の使い方があります。 Quora の How are college students today different from college students 20 years ago? という質問に対する回答の一部です。 https://www.quora.com/How-are-college-students-today-diffe

          指示する実体の異なる代名詞