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声がデカいはなし

今日の労働は疲れた。
月曜日の労働が一週間で一番疲れる。
昨日見たガクヅケのコントでコンビニ店員が「疲れたああああ!!!」って始終叫ぶネタがあった。今日は疲れ過ぎてしまっていたので真似して叫んでみたらビックリするくらい大声になってビクッとなって思い出した。

もう何年も前になるけれど、お友達の親御さんが山梨のキャンプ場を営んでいて、結婚式をそこで挙げるという事で呑助連中みんなで向かった。

キャンプ場は貸切で嫁の友達と婿の友達みんなで結婚式会場にするべく本格的に飾り付けをしたり、店やバンドをやっている連中が多いのでドリンクバーの準備をしたり、小さいステージを作って演奏が出来るようにしたり、手作りで素敵で朝からウッキウキだった。最初からテンションは上がっていた。

結婚式は始まり、ハックルベリーフィンの様な木の上の小屋から新郎新婦が登場。友達のバンド演奏がいくつもあったり、謎のアジア舞踊が披露されたり、餅を全員で搗いたりした。とっても幸せだった。いや、幸せのお裾分けを十分に戴いていた。嬉しすぎて新婦の好きだというコーヒー泡盛を真似して盛大に呑んでしまった上でバンド演奏の時にとってもとっても踊ってしまった。
コーヒー泡盛とは、沖縄の強い酒である泡盛の中に深く焙煎した珈琲豆を漬けたものなのです。珈琲好きの私にとっては美味しすぎてロックでガンガン呑んでいた。
大酔っ払いの完成です。

私は耳が悪い。
聴覚検査では引っかからなかったけれど、子供の時から「えっ?」と聞き直すたびに顔が近くなるから(耳が近くなるから)「近い!近い!」とよく言われたりした。その上、馬鹿みたいな音量の音楽ライブによく通っていたので後天的にも耳が悪くなっているはずである。

耳が悪い人は声が大きい。
自分の声が聞こえないからね!
おばあちゃんが聞き直す時に大きな声になるのもその理由だと勝手に思っている。
お酒を嗜むとそれが顕著で、だいたいの人の声は聞こえていないし、自分の声も聞こえていないから声が大きくなってしまう。
聞こえていないけれど、友達と一緒にお酒を呑むだけで楽しいよね!お話を聞きたい時は凄い近くで呑んだりしてしまってそれもまた「近い!近い!」って言われるのだ。

結婚式は嬉しくてテンションも高いし、大酔っ払いで大笑いしてみんなでお話をしていた。友達が作った豚汁がとっても美味しくて、知らない人もいたけどあちこちのテントに行って「豚汁美味しいから食べる?」って自分が作ったのでもないのに誘って、「とーんじる♪とーんじる♪」ってゾロゾロみんなで歌いながら連れてきたりした。

程なくして、パトカーが一台キャンプ場に乗り入れてきて警官2人が何やらお話をしていた。山の向こうから通報があったから少し大人しくするように!という事だった。
ひと山超えて声が届いていた。

リーダー格の友達が、「お前だああああ!」と私を指差した。みんながゲラゲラ笑っていた。「声もデカいし、声が通るんだよ。ほら、店でたいして大きい声だしてなくても苦情がきたでしょ?」と言われる。そうだった…。

デカい上に遠くまで通る。
これは中学3年間演劇部で培った発声練習の賜物であると思うけれども、舞台に立つ事も全く無い今、役に立つといえば居酒屋の喧騒に負けずにすぐオーダーが取れるくらいのもんで無用なのだ。
ひと山超えて声を届けるために私は発声練習をしていた訳ではないのだ。あの時の少女に伝えたい。北島マヤには成れないから発声練習は程々で良いよと…。

警官に謝って反省してその後はずっと小さい声で話すように頑張ったけれど、自分の声は聞こえなかったし、みんなの声も聞きづらかった。
だけど、本当に楽しかった。
あの日、楽しかったなーー!

楽しかったのはいいけれども、やっぱり、声が大きいのは宜しくないと思っている。調節がなかなか難しいんだけど、最近は自分の声が聞こえないくらいが丁度良いと気が付いてだいぶ小さくなった(はず…)。

うるさいなー!!って寝れなかったかも知れないあの時の山の向こうの人ごめんなさい。態々パトカーでひと山超えて注意に来た警官2人ごめんなさい。

声がデカい話。
声がデカいはナシ!

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