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面白くなってきやがったぜ!

三浦大輔監督「そして僕は途方に暮れる」を見て、映画の感想というか、なんか、なんか、わかんないやつを。

ネタバレ含むので未見の方はそっと閉じて下さい。パンフレット買うの忘れてしまったので、セリフとか薄い記憶の中で書いているので、誤りがある場合があり〼。

裕一の逃げる理由に毎回笑ってしまって、逃げる?逃げるぞ!逃げたー!!と、毎回クスクスしてしまった。
そして、裕一が逃げるキッカケになる人が怒る感情のスイッチが入った時の顔が皆同じだった。いや、個性的な俳優ばかりなので同じな訳はないのだけど、同じに感じてしまった。意図的なのかな?逃げたくなる瞬間の顔。

すぐやればよい問題を先送りしたり、考えないように直視しないでやりすごしたり、向き合わないように振る舞ったり、裕一ほどではないけれど、管原裕一は私の中に確実にまた居やがりました。
管原裕一(三浦作品では別人設定で毎回同じ名前)は、いつでも私をちくりちくりしてくるのだけど、今回の裕一はそれほどまでしてこなかった。エンタメ作品と三浦監督が仰っていたので、少し抑えたのかな?と思ったのだけど、どうだろう。

主人公は映画が好きでおそらく映研か何かに学生時代所属していて、映画の話が随所にちりばめられている。
そして、映画=人生のように語られる。

「観ねえよ。こんな映画どうせハッピーエンドだろ?つまんねーよ」と「素晴らしき哉、人生」を指して言う父。

「どうしようもなく怖くなった時は映画の主人公にでもなった気分でこう思うんだよ「面白くなってきやがったぜ!」」
と息子に「逃げまくれ」と名言のように言う父
(カリオストロの城の次元!)

常に傍観者で深く関わろうとせず、崇拝しているようにみせて、うまくいかない裕一の人生を無責任に楽しんで煽る後輩。

後輩は映画の観客の投影でもあるのだろうな。
芸術全般の無責任な観客。
私もまた無責任な観客。
一番ちくりちくりした。
芸術はお笑いも音楽も含んでいて、そんな無責任な観客であることにしっかり自覚的でいたい。

人生に都合良い「THE END」はない。
人生は映画ではない。
映画のように、物事は劇的に進まないし、ドキュメンタリーで映されていることは、監督の意図が入っている。そして、映画的ではない無駄なことばかりが人生を占めている。
ま、無駄ではないんだけどね。
映画ではカットされる日常を愛おしみたい。

三浦監督は、「物語」を描き続けていながら、「物語」からあぶれてしまう人間や、「物語」には相応しくなさそうな人間の感情を描いてくれるので好き。

でも、自分がピンチになった時には「面白くなってきやがったぜ〜!」と面白がりたいし、映画でしかないような、キラキラした瞬間があることを大切にしたい。
それと同時に、汚いどうしようもないクズみたいな感情もヨシヨシしながら抱えて生きていきたいな。

TOHOシネマズ新宿で見るのがオススメ。
ゴジラロードに逃げこもう。

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