ホグワーツレガシーで見る英国食文化①
ホグワーツレガシーというゲームをご存知でしょうか?
ポートキー・ゲームズから発売されているJ・K・ローリング著作ハリーポッターの約100年前を舞台にした、オープンワールドアクションロールプレイングゲーム。それがホグワーツレガシー。
最近、steamでセールがあり、お求めやすい価格で手に入るかと思いますので、気になった方はぜひ遊んでみてください。
さて。そのホグワーツレガシー、主要な場所がスコットランドのハイランド地方。故にハリーポッターの世界観を楽しめるだけではなく、十九世紀の雄大なハイランドの自然を味わえる素晴らしいゲームなのです。
細かな作り込みや設定が魅力的な作品ですが、今回はゲームの中に出てくる英国食文化に注目して遊んでいこうかと思います。【ゲーム内の進行はED手前】
第一回は大麦とオーツです。
また最後にオーツビスケットのレシピを載せています。ぜひホグレガを楽しみながら、スコットランドの食文化を味わっていただければ幸いです。
*記事の内容は全て個人の知識と意見からなるものです。史実と違う点などがありましたらそれとなく教えていただけますと幸いです*
◯魔法族も常食するオーツ麦◯
冷涼なスコットランドは土地柄、大麦やオーツ麦がよく育ちました。
とある有名な話では、イングランド人が「スコットランド人は馬の餌を食べている」といったことに対して、「だからスコットランドは人が優秀で、イングランドでは馬が優秀」と言い返したというものがあります。それほどスコットランドでは大麦とオーツ麦がよく食べられ、重宝されているのです。
そんなオーツ麦はオートミールに加工され、食事やお菓子と様々な調理方法で食卓に上がっています。
英国でメジャーなオートミールの食べ方といえば、やはりポリッジでしょう。ポリッジとは簡単にいうと、オートミールを牛乳で煮てふやかしたもの。見た目の雰囲気としてはリゾットや雑炊と言った感じでしょうか。シリアルに並んで英国の朝の定番朝食です。
見出しに戻りましょう。魔法族と明記した通り、マグルであろうと魔法族であろうと、彼らはオーツ麦を常食しているようです。原作ハリーポッターではたびたびポリッジが出てきます。ホグワーツではもちろん、ウィーズリー一家が住む隠れ穴でも。魔法界ではたびたび不可思議な食事が出てきますが、こういったシンプルで伝統的なメニューが見られるとつい嬉しくなってしまいますね。魔法族も、マグルと同じ食生活。魔法界は存外、身近かもしれません。
ところで、ホグワーツレガシーの方ではどうでしょうか?
残念ながら、ゲーム内でこれ!と言ったものは見つけられませんでした。(もしお見かけした方がいらっしゃいましたら教えていただけると嬉しいです…)
ポリッジは見つけられませんでしたが、オーツ麦を使用しているであろうパンは見つけました。
同じような見た目のものが並んでいますが、普段、食べるのであれば納得のいくラインナップだなぁと思いました。
まずトーストラックに刺さっているパンたちは英国らしくてとてもいいですね。雰囲気というか、予想でしかないですし、この生活環境であるなら彼らは自分で作っている可能性が高いですが、ラックに刺さっているパンはHOVISのものに似ている気がします。HOVISとは1886年創業の英国を代表する食パンブランドです。詳細はぜひBRITISH MADEさんの記事をご覧ください。
大きい白い方のパンは小麦だけのものでしょうか?山型のものを英国ではティンブレッドと言いますが、もともと小麦が育ちにくい&魔法界の貿易が未知数(*英の穀物法について)なので、小麦だけのふわふわとした口当たりのいいパンとは言い難いかも知れません。
(*当時の英国では1815年に穀物法という法律が成立されました。これは要約すると、ナポレオン戦争後、穀物輸入が激増したおかげで国内での穀物価格が下落し、その影響を受けて農業不況に。政府はこのままではいけない!地主を守るぞ!と考え、この法律を作りました。しかし、そうなってくると今度は消費者側に問題が出てきます。まだまだ貧しいものが多かったこの時代、安く買えていた小麦がお値打ちで買えなくなるというのは大きなショックでした。のちに穀物法は労働者たちによる反対デモや、食糧不足から起きた飢饉によって1846に廃止となりましたが。そのことも含めて、魔法界の貿易事情がなかなか興味深いところではあります。もしかしたらわざわざマグルの村落まで行って買い物をしている可能性もあるかも。実際にホグレガの時代のホグワーツ周辺、ハイランドあたりにはおそらくマグルはいないでしょう。裏付けまでは行きませんが、ディリゴールという魔法動物が魔法界にはいます。その魔法動物はマグルから『ドードー』だと思われていたらしく、更に彼らはその動物はすでに絶滅したと認識しているそうです。そうなると、あんなに魔法動物がうろつくハイランド地方にマグルがいたら絶対に「ドードーいたが!?!?」と大騒ぎになっていることでしょう。ネッシーを今でもなお追い続ける国民です。ドードー(ディリゴール)見たさにツアーが組まれるのが目に見えます。なのでホグワーツ周辺の魔法使いはマグルの元へたびたび小麦を買いに出ていた可能性もあるのではないかと思いました)
色の濃い方は全粒粉、またはライ麦やシード、オーツが入ったもののように見えます。棚の上に乗った一斤サイズのパンも同じ系統?トップに穀物系のものがふりかけられているのが見えます。このタイプのパンは素朴で味わい深く、食感が非常に楽しい種類なので、私はとても大好きです。当店でもたまにお出ししたりしています。
次に丸皿に乗っているパンですが、こちらはイーストで膨らませたものというより、重曹、ベーキングソーダで膨らませたソーダブレッドの類な気がします。イーストと違って大きく膨らみ、ふんわり焼き上がらないのがソーダブレッド。配合によってはフワフワに仕立てることも出来ますが、基本はみちっと、フランスのバケットに似たような食感です。しかし、発酵不十分で成形も特にされていないただただ平たいイーストパン、という可能性も充分にありえるので難しいところです。
ソーダブレッドにもオーツ麦を混ぜ込んだり、上にトッピングしたりなどレシピは様々。個人的にですが、オーツ麦とソーダブレッドは生地感なども含め、とても相性の良い食べ方だなぁと感じております。ハードなガリガリ食感の外側と、フワフワ粒々、食べ応え抜群の中生地。これを半分に割ってバターをつけるとたまらなく美味しいのです。
ぜひ一度、ソーダブレッドが売られているお店、または自宅にてオーツ入りソーダブレッドを試してみてくださいませ。
さて、長くなりましたが今回はここまでとさせていただきます。まだまだ英国にはいろんな種類のパンと歴史があるので、今後お話しできていければいいなぁと思っております。
次回は「ホグワーツのおやつ事情」です。
お楽しみに!
◯ゴールデンシロップたっぷり!オーツビスケット◯
溶かして混ぜて焼くだけ。簡単でお茶のお供にぴったりです。
【ingredients】
◯preheat:180℃
115g butter
115g brown sugar
80g golden syrup
40g honey
150g self-raising flour
150g rolled porridge oats
【Method】
1.粉は振るい、オーツと合わせる
2.1以外の材料を全て鍋に入れ、溶かし混ぜる
3.程よく冷めたら粉類を入れ、粉気が無くなるまで混ぜる
4.お好きなグラムで計りとり、天板に並べる(ドロップしても、手で丸めても)
5.約12〜15分焼成。こんがり焼けたら完成
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