#シロクマ文芸部 「逃げる夢」から、、、
「ドアの向こう」
ドンドンドンドン
家の奥にいたわたしはドアを叩く音に気づくのが遅れた。
時計を見た。
そろそろ夫が帰って来る時間だな、でも少し早い気がするとも思った
よいしょとその時やろうとしていたことを一旦置いて、立ちあがろうした。
そんな時間の猶予もくれないくらいにまたどんどんとドアを叩く音がする。
もーなによ!
ちょっとも待てないのか?
あーはいはい、今開けますから。
と、ドアに向かって歩き始めたわたしは、ふと「いゃ、自分の鍵であげればいいのに?」と頭の中をよぎらせた。
なんとなく、不安になる。
え?誰?もしかして夫ではない?
じゃあ誰?
え?ちゃんと鍵かかってる?
かかってなかったら、次の瞬間開けて入ってくるんじゃないの??
鼓動が早くなり、心臓が飛び出るかと思うくらいにグラデーション的に上がっていき、手が震える。
向かってるはずの足も進んでいるのか後ずさっているのか。
一歩手前まで来た。
ドアは目の前。
鍵はかかっていた。
一安心なんて言ってる場合ではなく、夫だとしたらこんなに時間がかかるなんてなんてことだ?って後でなりやしないか?
怖くないふりをしながら、実に全身が硬直していく。
とりあえず、確認だ!
覗き穴から見てみよう、、、
低くしていた姿勢は、きっと留守を装っていたのだろう、あくまでも夫への言い訳を考え続けているわたしがいる。
そーと、でも俊敏に覗き穴を覗いてみた。
え?誰もいない?
いや、夫だ、よかった、どこかの誰かではなかった。
でも、まだ完全に安心はしていない。
どーしょう?
ここまで数秒しかかかっていないはずだが、冷や汗な体としてはもう30分はこーやっているかのようだ。
覗き穴から離れて開けようとした瞬間、またドンドンと戸を叩いた
それも、さっきよりも激しく。
夫だよね?
なんでだろうか、もう一度覗いて確認する方がいいのだろうか?
あ、チェーンをかけて開けてみたらどうだろうか?
こんな混乱状況でも意外と冷静じゃないか?と自分を褒め、そーとチェーンをかける。
手が震えてうまくはめられない。。。
でもなんとかチェーンをかけて、鍵を開けようとした瞬間!
今度はドアノブをガチャガチャするのだ。
もーダメだ怖すぎる。
そう思ったが早いか、ガチャガチャガチャガチャとするその動きの次に起こったことは、ドアが外れてその向こうに笑顔の夫が外れたドアを片手に立っていたのだ。
そして夫は一歩進んで「ただいま」と笑顔で言った。
おかえりと言いながら逃げて逃げて、でも笑顔で追いかけてくる夫。
とうとう先のない路地に追い詰められたー
その時、目が覚めた。
目が覚めたわたしは恐ろしさのあまり、少し向こうで眠っている夫を凝視したまま固まっていた。
その後、何度もその夢を見るが、夫は何も変わらずわたしに優しい。
逃げる夢から始まってないかも?
でも、これ実際にあったもんで書きたくなったので、参加しちゃいました🥰
初めまして小牧さま。
お邪魔します😘
梅さんの記事のコメント欄のとーとさんの記事を見て、引き込まれてしまいました😌
勝手に引用失礼します。
カフェにて☕️
初めてnoteで書きたい!って思って書いた!
小さなハードル超えられたかな(笑)