フランス語日記❿:複数の「過去」
「美女と野獣」を読んでいる時に、気になっていたことがある。
「複合過去」が出てこない。出てこないのだ。
ちなみにこの「複合過去」とは、フランス語文法で履修する、過去を表す時制のこと。「半過去」とは異なる。
となると、あの過去を表していた時制は何だ?ということになる。
複合過去でもない。半過去でもない。なのに「過去」を表現している。
そんな折、興味深い記述を見つけた。
単純過去は、歴史・小説・物語などでもっぱら用いられ、発話時t₀と断絶した世界の時制です。(東郷雄二、2011、75)
引用にある「発話時t₀」とは現在のことです。
つまり、複合過去でも、半過去でもないこの「単純過去」は、現実世界では使用することのできない過去時制なのだと思います。
これで納得がゆきました。
「美女と野獣」に、なぜ複合過去が出てこなかったのか?
それは物語の世界が”発話時t₀”とは関係のない、現実から断絶された世界だから。
でも不思議です。
現実かそうでないかによって、過去時制を使い分ける要素があるとは!
今私が知っている過去時制を書くと・・・
複合過去、半過去、単純過去、前過去、条件法過去、接続法過去、大過去。
くらいですかね。
これ、全部違う時間の捉え方です。
はい、エグイです。
よく言えば、表現方法がべらぼうに多彩。悪く言えば、まぁ、多すぎだろ・・・。
と
今日も大学生は四苦八苦している・・・。
参考文献:東郷雄二. (2011). 中級フランス語. 株式会社白水社
サポートするお金があるのなら、本当に必要としている人に贈ってくだせぇ。