日記28
夏が好きだ。だから夏の終わりを感じると寂しくなる。一人で過ごせない。家の中にいても、植物に水をやっていても、熱帯魚の世話をしていても、アフリカヤマネを観察していても、物足りない。
だから、アホみたいに予定を詰め込んでしまう。女と会う予定。4日連続で違う女性と会っている。とんでもない阿呆だ。帰るべきアパートを持ちながら、ホテルに行くなんて間違っている。間違っていることがわかっていながらやめられない。だからこそ、本当の阿呆だ。自覚しているのにやめられないことほど、辛いことはない。僕は一体、何歳になるまで、こんなことを続けるのだろうか。本当に会いたい人には会えない。
夕方の風の匂いが明らかに変わった。全身を貫く郷愁的な感情。長崎にいたときよりも、名古屋にいたときよりも、山梨にいたときよりも、長野にいる今のほうが、強くそれを感じる。アパートのドアを開けて、駐車場まで向かう。そのわずかな時間で、僕の心はすぐにノスタルジーでいっぱいになってしまう。
髪の毛が肩甲骨まで伸びた。実に二ーティ(※造語:ニートを連想させるような様をいう)だ。久しぶりに会う人にはもれなく「仕事辞めたの?」と聞かれる。正直、これまでの人生の中で最も気に入っている。そう聞かれるような風貌の自分が。初対面の人に「頭おかしいヤツだ」と瞬間的に思ってもらえることが、本当に楽ちんであることを知った。何をしてもそんなに驚かれない。わずらわしいのは、同僚諸氏から「髪切らないの?」と頻繁に聞かれることくらいなもんだ。コスパは相当良い。髪の毛が長くなってから、髪型を変えるのが楽しくなった。今日はポニーテールにしようか、下の方で結ぼうか、それともお団子にしようか、など。
実家から送られてきた、たくさんの素麺はまだ全然減っていないのに、夏が終わってしまう。
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