クリエイティブのレベルアップをやめた方が仕事を取れる
ある動画の事業で直近行った映像クリエイターと有識者10人ほどへのヒアリングで、クリエイティブはそこそこでよいと言われて、そんなことないだろうと思いつつも彼らのインサイトを調査していました。
すると、今の市場に思考と行動を最適化した結果だと分かりました。
ある時点でクリエイティブのレベルアップをやめた方が仕事を取れるみたいなんです。
作れるものやスキルのレベルに比例して人気になるんじゃないんですか…? とショックに思いつつも、映像以外の業界でも通じる気づきにも思いました。
なので今回は、そのヒアリング結果をまとめました。自分は映像に関してはYouTuberレベルの簡単な編集しか出来ない素人なので、映像業界にいる人からすれば今更すぎる話な可能性もあります。
あるいは違う意見などもあれば、ぜひコメントやTwitterのリプライなどで教えてくださると幸いです。
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1. クリエイティブはそこそこに、
企業に脈を作るのを優先すべし
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これは聞いていた感じほぼ全員のインサイトにあり実践されていることだったのですが、ポジティブに感じている人もネガティブに感じている人もいました。
作る映像のクオリティやクリエイティブとしてのレベルを上げるのは、もちろんある程度は必要です。ですが仕事を獲得する目的ならある一定以上のレベルは不要なんだそうです。
例えばAfterEffectで複雑なアニメーションやモーションを作れるスキルはいらない。
肝心なように思えるクリエイティブを差し置いてそれよりも重要なのは、依頼主となる企業との安定した繋がりを持つこと。それも出来るだけ複数。
今の映像・動画業界はまだまだ企業ニーズに牽引されていて、その波の大きい場所を見つけて乗るのがまず考えるべきことなんだとか。
知り合いを辿ったりSNSを辿って仕事を受けたり、制作代理店と繋がったり。制作を24時間体制にしたり土日も可にしたり。また、作り方動画やカメラ等の機材レビュー・ブログ記事を書いたりといったマーケティング寄りのメディア投稿・運営も。
この根底には、技術や機材は仕事を獲得した後に揃えればOKという、ある種の攻めの姿勢が見受けられました。
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2. 高いレベルのクリエイティブより
早いスピードの方が企業は喜ぶ
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クオリティを突き詰めない理由は、企業に脈を作るのに忙しいからというだけではなく、実は多くの場合依頼主自身がクオリティのレベルの高さをあまり求めていないという事情があります。
たとえば高いレベル・凝った表現・クリエイティブで通常通り納品した時と、それなりでも少し早く納品した時では、後者の方がリピートされることが多く、仕事として合理的に考えると、いかに上手に手を抜くかを考えることに。
そのため、スピードを上げるためのスキル向上や環境整備には力を入れますが、クオリティを高めるとか新しい表現力を磨くことに集中する理由はほぼありません。
というより、むしろ積極的に「やるべきでないことリスト」に並びます。
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3.確実に実になるもの
以外は作らない・引き受けない
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仕事を獲得するために必要なのは、スキルやレベルよりもスピードと企業との脈に加えて、選ぶ仕事によってそれらを引きつけることだそうです。
ただ仕事になればいいのではなく、その仕事が次の仕事への実となるかどうかに気につけて仕事を選んだり取り組んだりするということです。
「実」というのは売上か金脈・人脈のことで、人脈というのは制作の仕事を生み出す人たちとのコネクション、機材屋やスタジオといった制作のツテも含まれています。
逆に、実にならなかったり実が小さい、個人からの依頼やクラウドソーシングでの受託制作にはかなりネガティブ。よほど困らない限り選択肢に入りません。
それから、クリエイターたちは結構スレていて、人の夢に乗るのには消極的。たとえば実になるか分からないけど見返りもあり得るレベニューシェアや、ステルス状態のスタートアップ企業からの依頼は出来るだけ受けないみたいです。
また、このインサイトは、例えば関係する会社の多い企画やプロジェクトなら優先的に飛びつき、値段も少しは融通してもよいと考えるような作用を持っています。
これは単純に次や将来にまた自分に依頼してくれる可能性のある人数を一気に増やせることと、逆に自分たちから仕事をお願いできる相手を増やしておくことで、今後受けられる仕事の幅を増やせるためです。
このインサイトはかなり上位レイヤーに存在しているため、自分だけで出来る仕事の優先順位が低くなるようです。例えば自分のポートフォリオを作る作業などは「やるべきでないことリスト」に並びやすい傾向にあります。
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⒋ まとめ
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今回の調査からは、人気映像クリエイターになるための方針の1つが見つかりました。
💡人気クリエイターになるための3ポイント
- スキルアップや表現の追求はさておき、企業との脈を優先すべし。
- スキルアップや表現の追求よりも、速度重視!
- 多くの人・多くの会社と連携して行う仕事を積極的に選ぶ。
PCや脳内で閉じこもりがちな思考を捨て去り、クリエイティブのレベルアップは一旦忘れて、仕事を取るためのアクションを優先するということです。
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⒌ 調査結果への雑感
市場原理へのアンチテーゼ
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さて、今回の調査の結果は市場が受け入れやすいのは良いものを作る人よりマーケティング上手な人と見ることも出来ます。
これは映像・動画に限らず他の業界でも似た傾向がまま見られるのですが、自分の中で、そうでない業界なんじゃないかと期待していた1つが映像・動画の世界でした。
テレビの制作や代理店の発信するクリエイティブはどれもレベルが高く、遠巻きにはクリエイティブの粋が集まった、浮世の世界のように見えていたんです。
しかしエキスパートたちの中でクリエイティブを高めることの優先順位はかなり低く、このクリエイティブの軽視とも言える市場原理を受け入れている人も受け入れ難く思っている人もいて、両方に深く共感しました。
もちろん今もクリエイティブに集中している人はいるんですが、多くは賢く市場に最適化している人の陰に埋もれています。
いち起業家としては正直、これはどうにか解決したい問題に感じています。
マーケティングや仕事・人脈づくりが大切なのはその通りですが、クリエイティブの向上との二律背反ではないはず。
賢い人ばかりの市場はクリエイティブとは思えないですし、「賢い」クリエイティブはテクノロジーによってリプレイスされやすい脆弱さを持ちます。
変人や天才がもっと表立ってはびこって、人を圧倒するような変態クオリティを作る人たちがどんどん活躍する世界があってもいいじゃないですか。
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⒍ おっと、ここからは宣伝です。
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いま僕の居るSUIHEI社で先日、映像・動画領域の新しいサービスを開始しました。
新サービスの名前はNestといいます。
完全招待制のポートフォリオSNSで、機能はシンプル。企業・個人が、やばいクリエイティブを作れる尖った映像・動画クリエイターとマッチングできます。
目下の目標は、ヤバいクリエイティブを作れるヤバいクリエイターとその力を欲するヤバい企業の、ヤバいマッチングをたくさん生み出すことです。
中期のミッションは、調査結果にあるような市場原理を変え、クリエイターがクリエイティブ以外に集中する流れを変えることです。
SNSと謳いながら実はまだプロダクト自体は完成していないのですが笑、ヤバいクリエイターとのマッチング自体は既に可能です。
皆さん、ぜひ応援いただければ幸いです。ご利用お待ちしております。ヤバい動画作りましょう!笑
また、一緒にこの事業を成長させたい!という人がいたら、ぜひ下記に連絡をください。たくさん話しましょう。お問い合わせや要望も受け付けています。
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