僕たちは、低予算の仕事を放棄しない。
私たちは、「デザラボ」というフリーランスのUXデザイナーチームを運営しています。
仕事やクライアントさんの規模にはもちろん大小がありますが、小さい規模のお仕事、特にスタートアップさんのお仕事は積極的に引き受けていました。
しかし徐々にクライアントさんから頂く額が大きくなっていく中で、次第に生まれた悩みと葛藤があります。
端的に言うと、低予算のお仕事をこれ以上受けるべきでないのでは? という悩みでした。
今回はその経緯と、ひとまずたどり着いた結論・解決策についてお話します。
コミット量とスピードのトレードオフ
私たちは面白いプロダクトが好きで、スタートアップさんや予算が潤沢でないプロジェクトにも積極的にご一緒することにしていました。
もちろん無償というわけではなく、毎月抑えめの予算の中でのみコミットすることを条件に。
最初は喜んでもらえるのですが、このやり方には問題がありました。
それは、毎月の予算の上限に達した瞬間から次の月に変わるまでの間、それ以上コミットできなくなるということです。
つまり、ハイスピードにプロジェクトを進めることが出来なくなります。
(ひどい時は、ユーザーインタビューを2件行うともうその月は動けなくなることも...)
スタートアップやベンチャーをはじめ、お金が無いチームでは多くの場合、スピードが命です。
誰よりも先に仮説を構築し、検証し、プロダクトを作り、ユーザーに触れ、フィードバックを集め、改善しなければなりません。
これらの多くに、UXデザインは密接に関わっています。
不充分な報酬とクライアントの不満足
しかし予算に縛られた私たちは、決められた量以上のコミットができず、持ち前のスピードをクライアントに提供できなくなっていました。
(これが原因で離脱されるクライアントさんもいらっしゃいました。)
私たちは本来、誰よりもハイスピードにUXデザインをこなすチーム。1ヶ月あれば、プロダクトと仮説を4回転させることが出来るチームです。
しかし一度プロジェクトが始まってしまえば、予算の縛りに抗うことは出来ません。
少ない予算の場合、普通のやり方ではスピードとコミットを保証できないことを学びました。
それでも私たちは、低予算の案件を放棄しない
予算の潤沢なプロジェクトからのご依頼が売上の大半を占める中、私たちは悩みました。
良い体験をクライアントに提供できないのなら、低予算の案件はお断りする方針にすべきなのではないか? と。
しかし、、、私たちは知っています。
今のクライアントの姿や規模がすべてではないことを。
未来の大企業・未来のユニコーン・未来のスーパーブランドが、現時点でも裕福とは限らないことを。
彼らにこそ、私たちのUXデザインが必要だということを。
…私たちは、低予算の案件を放棄しない道を選ぶことにしました。
これまでの反省と、普通じゃないアイデア
まず私たちは、これまでに行った低予算案件、特に契約を解除されたクライアントとのお仕事を反省しなければなりません。
振り返ってみると、多くの場合、UXデザインにおいてさほど重要でない作業が予算をムダに食い、コミット量を圧迫していることが分かりました。
例えば、ユーザーインタビューの日程・場所の調整。リサーチ結果の資料作成、ワークショップの準備、利用するツールの費用。それから、交通費も。
私たちが本質的な仕事に充てるための時間とお金が、そういった微妙な作業や費用によって奪われていたのです。
私たちは思いました。
「UXデザインの本質・大事なところだけを抜き取って、もっと効率的に、予算内で最大限パフォーマンスを出せるはず」と。
私たちは、重要でない仕事を排除し、UXデザインを最も効率よく実施する方法を、あるいは最も喜んでもらえる方法を、考え始めました。
そして私たちは、自分たちが作業を行わないこと、プロジェクトの進行に伴い発生する作業や課題・悩みについて、完全オーダーメイドのアドバイスを行うことを思いつきました。
私たちの結論
先日「相談し放題プラン」という名前でリリースしたこの方法は、公開から数時間後にご連絡をいただき、現在既に2つのクライアントさんとご一緒しています。(そして、うち1つがスタートアップさん。嬉しい!)
本当に24時間365日、定額で相談に乗っています。どれだけの数の会社さんをお相手出来るか分からないのですが、まだ少し余裕があるなと感じています。
相談の内容はUIデザインや仮説検証、定性リサーチやMVP構築の方法、UXデザインの進め方やプロダクト開発における様々なことについてなど…。
少し前のように予算上限に悩まされることは無くなり、クライアントと蜜にコミュニケーションを行うことが出来ており、月末近くなっても満足度を高く保てています。
このやり方が、低予算のお仕事を諦めたくなかった私たちの、ひとまずの結論になりました。
同活動の経過は、今後またご報告のエントリーを書こうかと思います。
この記事は、相談し放題プランをリリースするまでをnote向けにリライトした内容になっています。