《休憩室+終末漏》 考えない日記:なぐり書き 大福 ジェラート ピノキオランド
親戚の叔母の家へ挨拶に行く。低層の古いマンションで、扉を開けた右手に集合郵便受けの開錠パスワードがシールで貼られている。
右に五回 4
左に二回 B
というような。
帰りに無人の販売所で蜜柑を買う。
一度帰ってから横須賀の某飲食店へ顔を出す。金と水と火を使用しないという古い習わしをその日は行うという。
蜜柑とワインを持って行くが、ワインはスクリュー式の金具があるものだ。違反だろうか。
辿り着くとシャッターは閉じていた。
酒が終わったので閉めました
と、サインペンでなぐり書きされた紙が貼られている。その字面が全てを語っていてほくそ笑む。ぶらぶらと歩いて喫茶店へ行く。席へついて座っていると、鐘が鳴り、
おめでとうございます、大福が当たりました!
と店主がいう。そこにいた皆んなで、といっても私と店主を入れて四人だけど、が拍手をする。
わー、
といって大福を受け取る。
空いた椅子の上に置いた鞄がガサっとずれる。拍手で蜜柑が移動したのだ。
数軒巡った後で、酔い覚ましにジェラート屋さんに寄る。ミリオンダラーアイスクリームという横須賀の目抜き通りにあるお店。
店内は八割アメリカ人。ダウンコートを着た子供が天井のシーリングファンに合わせて自分も周り始めた。流れるオアシスの懐かしいヒット曲に、真冬に短パンを履いたアメリカの若者がノリに乗っている。きっとお父さんが当時楽しんでいたであろう曲を口ずさみながら。
アメリカ人を快く受け入れている横須賀のお店でひと時を過ごすと、まるでブコウスキーやカーバーやブローティガンが、そこやここのカウンターにいるような、酒瓶を酌み交わしているような気持ちにとらわれる。それは横須賀ならではの、もしかしたら少し傷のある宝物かも知れない。
25.01.03
終末漏へ来場してくれた方と横須賀産の蜜柑を食べながら話す。行政主導で木を切ることについて、公園について、浦賀にピノキオランドがあったらということについて。
パリのディズニーランドへ行ったという方が、パレードでピノキオが登場した瞬間にイタリア人が異様に盛り上がったことを教えてくれた。ミッキーやミニーの比ではなかったと。もし日本のディズニーなら、桃太郎が登場したような感情なんですかね、と付け加えた。
24.01.04
《休憩室+終末漏》 管理人N