
《休憩室+終末漏》 考えない日記:カセット 小説 チュロスと映画 2025.02023-26
開店前の空き時間にマイケルジャクソンのビリージーンをかけた。それは数年前に古道具屋さんで買ったか貰ったかしたカセットテープだった。見知らぬ誰かが録音して曲名とアルバム名をペンで記入して、'87・10・31と日付を書き込んでいた。
少しブコウスキーも読んだ。適当にページを開いて目についた行から始め、数枚捲った。安宿でポーカーをしているらしく、隣の部屋から声が聞こえる場面を読んで、これは日本昔話だと思った。爺さんと婆さんが来客の寝ている隣の部屋で、小豆をどう炊くか話している。漏れ聞こえるそれを旅人は殺害の方法と早とちりして戦慄する。
2025.02.23
ララフネさんの本を引き続き読んでいる。ミッシェル・レリス『幻のアフリカ』を引用した箇所に時化の場面で流れる曲として『シェヘラザード』が登場したので、レコードをのせた棚の上をのぞき、そこにしまったはずのシェヘラザードを探した。しかしどうにもみつからないので、かわりに古物屋さんでジャケットの絵が美しくて購入したレコードをかけた。他にももう一二枚、同じシリーズのレコードが売っていたのに買わなかったことを思い出した。
前後は聞こえなかったけれど、店の前を通り過ぎた人が、「◯◯でしょ」と言うのが聞こえた。その「しょ」と言う音がとても好ましい響きだったので、いっとき読んでいた本から顔を上げ、また戻した。

灯油ストーブの燃料がほぼなくなっていると目盛が伝えていた。試しに今日は無くなるまで消さず、実際灯油はどれくらいもつものなのか確かめてみるつもりだった。ところが閉店まで灯油はもってしまい、しっかりと火を灯し続けた。
ララフネさんの本が永遠に終わらなければ良いのにと思った。紙の上で雹ではなく霰が降っていて、主人公の私は大声で歌っている。

数十年気にせずに使っていて、いつのまにか溜まっていたカードのポイント。そのポイントで支払えばいいやと思っていたまあまあ大きな金額の支払いが、一ヶ月前に申請しないとポイントでは払えないと知って、それは期限が来週中だった。誰かが鞄でも買いに来てくれたら良いのにと思いながら本の続きを読んだ。
2025.02.24
古書店の汀線さんへ行き展示をみて小島信夫を二冊買った。
帰って『小島信夫の話をしたいのだけれど』の続きを読んだ。終わりが見え始めていた。寝る準備をしてストーブを消した。腹痛があった。トイレへ本を連れていった。残りは十ページか二十ページほどになっていた。部屋へ戻り、湯たんぽを抱いて最後まで読んだ。『小島信夫の話をしたいのだけど』が終わってしまった。
2025.02.25
映画を観にいった。長い映画で3時間半を超えた。相方は油で揚げたものが食べたくてしょうがないといい、最初はやだといっていた売店へいやいや連れていくと、しかたなくチュロスを買った。それはなかなか長かった。相方はチュロスを真ん中にまっすぐ持って食べた。
帰り道、つまらなかったという意見で話がはずんだ。時代のものを適当にかいつまんだような薄い取り上げ方で、内容の焦点がぼやけていた。そして、自分達はドイツやアメリカに虐められたので、今我々がしていることは仕方のないことなのだ、といって現実の虐殺を正当化する言い訳のように見えてしまった。確かに美しいシーンやアングルもあり、演技はうまかった。けれど、一番よかったのは途中で十五分休憩があることだった。
2025.02.26