どもる体/伊藤亜紗
奇奇怪怪明解事典を最近よく聞いてます。
Dos monosのタイタンとMONONOAWAREの玉置さんでやってるpodcastです。
spotfyで聞けます。有料じゃないでいけます。きっかけは忘れました。
たぶんtwitterで情報が流れてきたんだと。
暇なとき、不意に携帯を触ってtiktokみたり、twitterみたり、youtube漁ったり無意味な時間が増えてきているなあという、しばらく前からの明確な自覚に苛まれてましたので、考えながら流し聞きできる最適解を見つけたような気分です。
そのとある回でタイタンさんがどもる体と言う著書の話を。
タイタンさんはラッパーですが吃音持ちとのこと。
podcastのような何かを通した行為においては吃音症状は出ないらしいです。(この場合は電波?ラップなども何か形式的な行為に乗っかる事であれば問題ないと言うことのなのかしら)
そんな話から著書の話になって、非常に面白いとのことでした。
自分と異なる(言い方すみません)能力や性質を持っている人にはやたらと惹かれるので、吃音はどういう症状なのか知る良いきっかけだなと思いまして、早速著書を買って読んでみたところです。
昔、青い鳥と言う重松清さんの小説が元となっている映画作品に感銘を受けまして、それ以来なんとなく、吃音という症状についてが、心の奥底に沈殿しているような感覚でありました。
青い鳥は吃音を持った教師の阿部寛が、とある問題を抱えたクラスを任され、吃音症状を馬鹿にされながらも、信念と明確な言葉を持って生徒に向かうことで問題に立ち向かう勇気を生徒たちに与えると言うハートフルストーリーです。私の語彙力ではこれが限界。
まきちゃんぐというアーティストの鋼の心という曲がとにかく素晴らしい。
最近聞かないけど活動しているのだろうか。
と、話それましたが、心の奥底に沈殿していた気になる事物を拾い上げる良いきっかけに恵まれまして、読んでみました。
吃音という現象はどうしたメカニズムで起きるのか、と言った構造的な話から、
実際の吃音症状を抱えた人の吃音症状や対処法などから吃音が出やすい環境や状況などを解き明かしていきます。
解き明かすというより、ありのままを伝えてくれているような感じでしょうか。
内容は読んでみてくださいという他ないんですが、
「吃音は言葉を出そうとして、肉体が出てしまった感覚」
という一説があり、非常に面白いなと思いました。
不謹慎に思われたらすみません。
通常、話すときは言葉を相手に伝えようとしますが、
吃音を持っている方は言葉が何らかの原因によってうまく発せず、
代わりに身体のエラー症状が相手に伝わってしまう、
いわゆる肉体が伝わってしまう状況に陥ることがあるんだとか。
肉体が相手に伝わってしまうこと。
何だか、言葉よりも誠実な気がします。
そのほかにも、吃音はリズムにのせて言葉を発すると解消することがあるようですが、その感覚が言葉が乗っ取られるという感覚に陥る方もいるようで、
自分の言葉だけど、自分の意志で発した言葉ではないというような。
音は出ているけど意味は、意思は乗っかっていないような。
この話も非常に興味深かったです。
音楽好きの私としては、ではラップの韻踏みやメロディー先行の歌詞は意志ののった言葉なのかな、なんて考えちゃいました。
私にはない感覚を持ち合わせている方々の言葉、
それをまとめる伊藤さんの言葉にとても感銘を受けました。
久々に本にマーカー引きながら読みました。
吃音という現象はどういったメカニズムで発されるものか、
吃音を持っている人はどういった感覚で吃音を捉えているのか、
吃音ということを知ること以上に、人体の面白さ、表現の面白さ、
著書として非常に面白い作品だと思います。
最後に、帯の言葉がとてもよかったので。
「楽に話せば連発だ。意志を通せば難発だ。
言い換えれば自分じゃない。リズムに乗れば乗っ取られる
とかくしゃべりは窮屈だ。」
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