幽麗塔を読んだ!
乃木坂太郎の幽麗塔を実に高校生ぶりに読んだ。
昔 BOOKOFF で全九巻を一千円でまとめ買いし、名作だ! と感銘を受けた。その後実家の本棚の奥深くへ沈み、紛失した。
そして今回 Kindle で電子版を購入。相変わらず衝動で買い物をしてしまう。悪癖だ。これは持論だが本にはいくら金を使ってもいいと思う。決して無駄にならない買い物だから。まあその辺りはどうでもいい。
そんなこんなで実に十年ぶり? くらいに幽麗塔を読み返した。オチや物語の大筋は覚えていたが、細かいところはかなり忘れていて新鮮な気持ちで楽しめた。
一応幽麗塔を知らない人に向けてあらすじを貼っておく。
wiki にはこう書かれている。ジャンルとしてはミステリーになるのだが、この作品のポイントはそれだけではない。この作品は変態だらけなのである。
ここで私が使う「変態」という言葉はそのまま性的倒錯者のことを指す。しかし決して変態はそれらを貶す意味ではない。それらを便宜上そう呼ばざるを得ないのだ。昨今では LGBTQ だの便利な言葉もあるがこれは個人的な好みで使わない。これはおためごかしだからだ。この辺の持論を展開すると話が逸れるのでここで止めておく。
この作品には、女の身体で生まれたが心が女でない者、猟奇趣味のアブノーマルなエロ本ばかり読んでいる童貞、少年期に死んだ幼馴染を忘れられないホモ、因習村生贄系少女、想像妊娠アヘン婆、共産主義者、差別主義面食い異性愛者、何だかんだよく分からない殺人鬼、命を数でしか見れないマシーン、愛の化け物。このようなラインナップが取り揃えられている。どいつもこいつもそこそこイカれていて共感できて苦しんで葛藤している。むちゃくちゃ人間が描かれていて素晴らしい。
これは超個人的な解釈なのだが、女の身体で生まれたが心が女じゃなかったウーマンは作中では男になりたいと言っているがそれは少し違うと思う。もちろん女らしさを強制される事は苦痛であるのだろうが、それは心が男であることには繋がらない。たまたま戦車や冒険活劇、カッコいい男の子が好きなそうなものを好きだった。強い男性の肉体に憧れがあった。女じゃない自分は男なんだと思ってしまっただけだと思う。
別に男同士でセックスしてもいいし、気の乗らない相手に身体を許すのは不快だろう。性を気にしない友情を欲しがるだろうし、自分の胸を削ごうだとか陰核を焼いてしまおうだとか思わないだろう。
本作は男女の友情を描く側面もあるが、それは決して友人同士が恋愛してはいけないことではないし、劣情は友情を汚さないし、愛情は友情を貶めないのだ。 本作は紛れもなく愛の物語であり、現代の私の価値観を形成している彼らの闘争の勝利の証なのだ。
あともうすぐ完結する同作者の夏目アラタの結婚も読もう!
脳味噌おっことすくらい面白いぞ!
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