繰り返し
なにものでもない2年目。
一緒に浪人する友達が1人いた。それだけで、心の支えだった。
1番最初の模試。点数や判定を見せ合った。
全部A判定と全部E判定。
去年と同じ。何にも変わっていない。
まだ、始まったばかり。ここから伸ばすぞ!
そうやな!頑張るわ!
また、嘘をついた。
自分はやっぱり諦めていた。こんなんどうやって追いつくんや?何をどう頑張るん?
友達は去年行っていた都会の予備校のテキストを惜しげもなく、コピーさせてくれたし、質問にも答えてくれて、すごくよくしてくれた。
惨めだった。
頑張り方がわからない。机に向かっても人の半分以下しか覚えられない。ただ座って一日が過ぎるのを待つ日々。
後輩も同じ予備校にいて、話をしたりもしたが、目が見れない。友達は志望校の話を楽しくしていたが、自分は会話にも混ざれない。
本当に惨めだった。
自分が生きている意味ってあるのかな?そんなことを一日中考えるようになった。
だいぶハンデをつけたスタート地点から出発した亀とウサギのレース。もちろん誰もが知っている話とは全く異なる設定。ハンデを逆につけられた亀と、はるか先からスタートしたウサギ。この亀は1年経ってもゴールさえ見えない。ウサギはとうの昔にゴールしているのに。
この年、初めて足切りをくらった。ゴールを探すことも許されなかった。
俺は亀だから、ゆっくりしか前に進めないんだよ。
最低な言い訳を親にしてしまった。
そうか、たしかにゆっくりでも伸ばして頑張ってるもんね。
優しさが逆に苦しかった。でも、自分を正当化するには十分だった。
なんの成長もない繰り返しの1年。