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人生で初めて救急車を呼んだ話

自己紹介の次に何を書こうか血迷った私はごく最近に起こった話を書くことに。
前職のことを書き始めたら未練たらたららしく3分割できそうなボリュームになり収拾がつかなくなったのでこの話をチョイスした。

もしこういう場面に遭遇したらただ黙って素通りしたり、最悪スマホで撮影し始めるとかしてほしくないので、ここにあげます。


経緯

ある土曜日、いろいろ用事を足して自分の買い物もしてホクホクな状態だった。職業訓練校の友人から飲みの誘いが急にきて更に浮かれている状態だった。
その電話を切り目的地に向かおうと、その時にいたお店から目的地に向かうべく一歩踏み出した瞬間だった。

私のすぐ隣にいた人が倒れたのだ。

その方(以降Aさん)には連れの人(Bさん)がいて、倒れるAさんを必死に抱き留めようとしていたし、呼びかけをしていた。
間に合わずゴツ、と音がした。血は出ていないようだったがAさんがかけていたサングラスが隣に落ちた。
Aさんは目を見開いたままぐったりしている。
ただならない状態に私はその場で急停止した。
そのサングラスを取り急ぎ拾い、様子をうかがった。

Bさんは倒れた人の呼びかけに必死で、どう見ても救急車を呼べる状況ではない。
Aさんは以前呼びかけに応じる様子は見られない。
気付いたお店の人も出てきたが、どうしたらよいか戸惑っている状況だった。

「私 救急車呼びましょうか?」

転がったサングラスを片手に、その場に居合わせたお店の人に半分一方的に伝え、私は救急車を呼ぶことにした。

過去に倒れた私のこと

実は私も過去に電車内で倒れたことがある。

倒れている自分を見ることができないので実際どのくらいの間気を失っていたのか分からないが、割とすぐに起き上がったらしい。
電車に間に合わなきゃ、とダッシュで電車に乗り込んだ私は息を整えたかったので深呼吸して。ついでにちょっと息苦しかったので目をほんのちょっとつぶったつもりだった。

それが目を開けると床だし何事!?がまず第一だった。

?をたくさん浮かべながら立ち上がって(なんで床に寝てたんだ???)、周囲の人の心配そうな目線が私に集中していて余計によくわからなかった。

「大丈夫ですか?」「駅に連絡しましたから」

周囲の人から言われた言葉でようやく自分が倒れたことを理解した。

まず口をついて出たのが「すいません」だった。
過去に急病人対応で電車が止まってしまったときに、それを知らせるアナウンスを聞いた後に「ふざけんなよ」と罵詈雑言を吐く人を見たことがあった。
私もこんな風に思われているんじゃないかと頭によぎり、真っ先に出た言葉だった。

とても幸運なことに私が倒れた時にそんな言葉を面と向かって言ってくる人はいなかった。
それどころか、私よりも圧倒的に年配の方に席を譲られ温かい言葉をかけてくださった。
別の方が「私も降りるから」と電車から降りる際、駅の救護所までエスコートしてくださった方もいた。

人ってこんなに温かいんだ、優しいんだ。

本当にそのことを思い出すとその場の対応してくださった方々に感謝してもしきれないし、同じような場面に立ち会ったら何か私も役立とうと強く思った。

それを実践する機会が思っていたよりも早く来た。

実際にやったこと

少し震える指先で119と入力し、電話をかける。
しばらくして火事ですか、救急ですか?とオペレーターに繋がった。

「救急です、人が気を失って倒れています」

もっと詳細に伝えるべきだったと正直反省しているが、初めて電話をかけて急ぎの対応だったので、キャパカツカツな脳みそからひねり出せた言葉がこれだった。
頭を打っているかもしれないことも加えて、Bさんが確認する限り頭部の出血は見られなかったことも伝える。

「では救急車を手配します。住所を教えてください」

ここでしまった、と思った。

さすがに今いる場所の住所は分からないし、これから調べると時間がかかる。

ヒントになりそうなもの、と周囲を見たとき様子をうかがっていた店員さんと目が合った。
このままパスしよう。
私と目が合った店員さんは察して前に出てきてくれた。スマホをスピーカーにし店員さんに向けた。

「住所は○○○○、以降の連絡先は…」

バトンタッチした店員さんが住所と連絡先を伝え、救急車の手配も無事に完了し、電話を切った。
その場面をそのお店の副店長含むスタッフの方々が見ていてくれて、私からそのお店の方への引継ぎの証人になってくれた。

通話の最後のあたりでAさんが目を覚ましたようだった。
ただ立ち上がれない状況には変わりなく、119番通報してよかったと思った。

また別のしっかり動いてくれそうな店員さんが来て、電話を途中で代わってくれた方に状況を聞いていた。
ただバトンタッチされた方がうまく説明できないようで(突然のことでうまく説明できなくなる気持ちもよくわかる)、私から起こったことを簡潔に伝えた。

私も飲みの誘いがあったので、大丈夫かなと思いながらAさんのサングラスを介抱していたスタッフさんに託しその場を後にした。

思ったこと

通報しているうちに思い出したことがある。

  • スマホはスピーカーに

  • 住所を伝える

今回みたく誰かに頼むときなど、オペレーターの方の指示を受ける際はスピーカーにすること。
片手にスマホを持ちながらでは難しい場面もあるし、別の人から状況説明をするときに動作がスムーズだから。

救急車を手配する際は当たり前だが、手配する場所を伝えなければならない。
もし一人で対応する場合、住所を伝え不明な場合目印となる建物を伝えたり、スマホのGPSを設定するなどする。
今回お店の人に頼ったが、今後分かるようにしなきゃな、とちょっと反省している。

対応している間に数人、わざわざ介抱しているAさんBさんのそばを通る人たちがいた。
周りが見えていないのか、野次馬をしたかったのか。正直何もしないならここを通ることはないのに、と頭の端で思ったりした。

その後のことは分からないが、Aさんが快方に向かうことを祈っている。

目を見開いたままピクリとも動かないAさんが頭にまだ残っている。
私が倒れたときはどうだったのかな、と少し気になった。

おわりに

いつかそんなケースに出会うかもしれないし、そんなことはないかもしれない。
けれどいつ起こるか分からない、当事者になるかもしれない、そうなったときの行動の仕方はシミュレーションしていてもいいと私は思う。
ほんの些細なことでも構わない、AEDの場所をチェックしておくとか、救急車呼ぶときの手順を検索してみるとか。
私が書き記した一連の行動が100点満点とは言えない部分もあるだろうし。

ただとにかく、私が倒れた時にしてくださった恩は別の場所だけれども少しは返せたのかな、とは思う。
今後そういった場面に立ち会った際は極力何かできることはないか探して実行したい所存…。


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