外資コンサルのOBからみて今外資コンサルに就職することはヤバいのか?
まぁまぁの頻度で、「今外コンいくのはヤバいからやめた方がいいよ(笑)」「行くなら、D社はやめた方がいいよ」みたいな感じのポストがバズっている。
これは果たして本当なのか、就活中の学生諸君、中途で第二のキャリアをコンサルとしてはじめてみようかと検討中の諸君は気になってしまっていることであろう、ということで自分なりのアンサーソングを書いてみようと思う。
お前はいったいいつまで辞めた業界のご意見版やるんや、という批判は甘んじで受けよう。無論、死ぬまでである。
過去つけられなかった残業代は生涯を通して業界から回収させていただく所存である。
議論のおさらい
コンサル業界にあまり馴染みがない読者の方向けに補足をすると、コンサルティング業界はここ10年くらい、とにかく膨張の一途を辿ってきた経緯がある。理由はシンプルで、コンサル会社の売り上げは売った人月工数に依存する。
そのため、売上を上げるにはクライアントに売る人間、社員を増やさなければお話にならない。
会社のグローバルのお偉いさんが「おい、日本、もっと売れるやろ。調子ええし来年1.1倍な(笑)」みたいなノリで、トップダウンの圧力をかけた場合、まずはとにかく人を採用してクライアントに売らなければならない。
この大量採用のトリガーを引いたのはおそらく業界最大手のアクセンチュアさんで、10年前は数千人規模の会社だったのが、今年は公式情報で25,000人くらいになっている。
新卒・中途もゴリゴリとるし、M&Aも仕掛けるしでとにかく右肩上がりで拡張してきた。昔ながらのストラテジー領域だけではなく、システム開発・運用、BPO、クリエイティブなんかの領域も、顧客に売れる専門性はなんでも食う、くらいの勢いででかくなり、業界シェア・トータルの売り上げの上がり方だなんだの結果を見るとその方針は成功だったのではないかと思える。
これに続き、BIG4と呼ばれるPwC、EY、デロイト、KMPGなんかもでかくなってきているし、MBBと呼ばれる業界最古参で伝統ある戦略系のファームもデジタルだベンチャーだに手を出し始めて、なんだかんだデカくなってきている。
加えて、私が就活していた頃から徐々に勢いをつけてきたベイカレントさんなんかもガンガンでかくなってきていて、もはや業界そのものがありえないくらいデカくなってきている。
という背景がある。
詳しくは俺の本を読んでくれ。サンプルで読める部分にも書いてある。
さて、コンサルティング会社が売ってるのは基本的には専門性だ。貴重な情報とナレッジを持った専門性の高い人間だから、わざわざ高いフィーを払ってクライアントはコンサルタントを雇う。
専門性自体はなんでも良いのだが、経営一般に関する専門性、ITに関する専門性、クリエイティブに関する専門性、そういった武器を持っているのが一般的なコンサルタントだ。
そんなコンサルタントを業界が大量採用をすると当然疑問が出てくる。
「大量採用した社員って、専門性、本当にあるの?」「そんな誰でも入れる会社にいて本当に大丈夫なの?」
当業界は、日本の一般的な企業の給与体系と比較すると高級取りであることに加えて、一部のアホな自称コンサルタントがクライアントであるJTC(日本の歴史ある企業様)に対してリスペクトのない発言をSNS上でまぁまぁすることもあって、ヘイトを買いがちである。
そんでもってそこの業界品質が実はボロボロである、というのはなんともSNS映えする話題であり、この疑問に関する投稿は真偽に関わらずバズるのである。
ヤバいって、何が、どう?
さて、タイトルに戻ろう。
「コンサルティング企業に今入社するのはヤバい」のか?
コンサルタントであればこう答える。
「ヤバいというのは、誰から見て、何がどれだけ?」
ヤバい、というからには、本来到達しなければならない目標があり、乖離した実態があるからヤバいのであり、予定がないところにヤバいもなにもありゃしない。
なので、ヤバいの実態について具体的な言及がなされていないこの手のポストについては正直陰謀論とやっていることは変わらないと思って無視した方が良いというのが私のスタンスである。
以下、あえて「ヤバい」の具体を脳内で補いつつパターン化してシナリオを作って答えてみようと思う。完全に暇人の所業である。
将来、経済的な安定が望めないのでヤバい
本来コンサルタントになった目的が果たせずに終わってしまうのでヤバい
業界全体が失速していってヤバい
ホワイトな職場環境で働けなくなってヤバい
1.将来、経済的な安定が望めないのでヤバい
つまり、将来コンサルタントという職業は今ほど稼げなくなるのではないか?これは大いにあり得るシナリオである。
そもそもコンサルタントに人月単価は発注側の感覚で言えばちょっと異常である。だいたい日系のSIerが100万円のところ、コンサルタントの新卒であれば1.5-2倍近くの金額を取る。
この価格差を発注サイドが相見積もりして社内の稟議で説明するには相当タフな社内調整が必要になる。
こういう桁違いの価格の稟議を通すためには決裁権を持っている役員クラスに相当入り込んでいるか、あまりにも専門的すぎる領域で他にやれるところがない(実質的に選択肢がない)くらいの案件規模に営業活動段階で仕込めているか、この2パターンくらいしかクライアント先の社内の反対を押さえつける方法がない。お客さんと仲良くしていると稀に、年内の予算が余ったからなんかやってよ(笑)見たいなラッキースケベ案件が発生するが、これはまぁ前者のパターンに含まれるだろう。
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