きつぷ買う硬貨の音の冬隣  西内孝一

時とともに変化する。伴って現象を捉える俳句も姿を変える。その神髄を捉えれば、時代とともに波に乗り、アウトプットに応用できる。昨今自動化が進み、切符を買うのに硬貨を使う機会が少なくなってきた。ものの輪郭がくっきりと浮かび上がってくる時季になると、人の五感も鋭く反応して、音に敏感になる。硬貨が落ちて当たる音が冷たく響き、冬がもうすぐそこにきていることを知る。身のまわりの音が尖って心に突き刺さってくる。