団栗の己が落葉に埋れけり   渡邊水巴

団栗が足元のそこかしこに落ちている。拾ってみたくなるほどに愛らしい。春に花が咲き、受粉したのちに太陽の恵みをあますところなく受け、風雨にさらされながら、ついに実りの秋を迎えた団栗たち。硬い殻に身を包み外敵から身を守るが、ビタミンやミネラルが豊富なため、団栗を餌にする動物たちにとっては冬を越すための貴重な食料となる。親が子を守るようにして降り落とす葉で身を隠す団栗の姿に、暖かい日差しが見守っている。