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スペシャルイベント『人間ばんえい』【債務者が非人道的なゲームをやらされる雰囲気】

ここは娯楽都市ルピナス、賭博の街。 山ほど人間がやってきては身の丈に合わない勝負を挑んで破産していく。 そして巨額の借金を負った敗者たちは労働施設で奴隷のようにこき使われる。 ちょうど、今の俺みたいに 半年前くらいに俺はこの労働施設に堕ちてきた。ろくに努力もせず、一攫千金なんて夢見たツケが回ってきたんだ。 堕ちてきた俺はまず衣服と名前を奪われた。代わりに至急されたのが薄汚れた作業着と“管理番号”だった。 『B-032』、それが俺の今の名前で、もとの名前なんて半分忘れかけ

    • 血に濡れた日記

      ■月■日 やはり今日も駄目だった どれだけ上質な素材を使おうと出来上がるのは鉄屑同然のなまくらばかり もっと研究せねば ■月■日 火の温度、鉄の打ち方、どれも完璧のはずだ なのになぜだ?私の打った刀は名刀とは程遠いものばかり 一体何が足りないというのか ■月■日 妻と喧嘩をしてしまった 満足な刀を打てないために妻にあたってしまったのだ なんて情けないのだろう、私をここまで支えてきてくれたのは妻だけだというのに ■月■日 また駄目だ やはり私には才能がないのだろう

      • 欲望と欺瞞【後編】

        「嘘の極み…『偽りだらけの理想郷(フェイク・パラダイス)』…」 ーー嘘の極み…聞いたことのない極みだ…少し様子を見るか 「ここだと少し狭いですね、場所を変えましょうか…“場面転換”」 そう言うとヘルメスは指をパチンと鳴らす。 その瞬間、周りの風景が路地裏からだだっ広い荒野へと変化する。 ーー瞬間移動したのか…これが奴の能力か…? 「場所を変えたところで、そんなボロボロの状態じゃ戦えないんじゃないか?」 ファブナーは警戒を続けながらヘルメスに問いかける。 「“修復

        • 欲望と欺瞞【前編】

          「ったく、今月何回目だよ…」 ルピナスの総支配人室でファブナーは目の前の土下座する男を見ながら呟く。 「なぁ、おっさん。最近アンタと似たようなイカサマする輩が増えてんだが、流行ってるのか、その手口?」 「す、すみません…」 「謝罪はいいから質問に答えろ。流行ってるのか、イカサマするのが」 「…わ、わかりません、ただあのイカサマは人に教えてもらったもので…」 「人に教えてもらった?」 「はい…カジノで楽に勝つ方法を教えやるって…」 「どんな奴だ」 「顔みたいな

        スペシャルイベント『人間ばんえい』【債務者が非人道的なゲームをやらされる雰囲気】

          娯楽都市の饗宴【ルピナス編①】

          これは、灰色と閃光【カイナ外伝】のその後の物語になります。 部下からの報告を受けたカイナはようやくルピナス南部の酒場に到着した。 店の中では報告の通り、男が暴れている。 「オラオラァ!!全部ブッ壊してやらぁ!!」 筋骨隆々とした身体に首もとにタトゥーの入ったその男は、BLACK JUNKETの隊員たちをたった一人で圧倒している。 カイナは腰に携えたレイピアを抜き、店の中に入る。 「お前たちは下がっていろ、ここから先は僕が対処する。」 「カイナ様…申し訳ありません…」

          娯楽都市の饗宴【ルピナス編①】

          灰色と閃光【カイナ外伝】

           僕の目にはこの世界が灰色に見えていた。 僕の故郷は長年紛争の絶えない地域だった。毎日のように銃声や怒号が響きわたり、目の前で親を含めた多くの人間が死んでいった。 戦闘員たちによる略奪や陵辱も行われ、そこはまさしくこの世の地獄であった。 その地獄に長くいすぎた代償だろうか、僕は次第に何も感じなくなっていった。 死んだ家族の体が蝿に食い荒らされるのを見たときも、戦闘員を名乗る男に殴られ、体を弄ばれた時も、涙の一滴すら流れなかった。 この色の無い地獄でただ枯れるように死を迎

          灰色と閃光【カイナ外伝】