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映画「どうすればよかったか?」を見に行ってみた。
どうも、しま子です。
観たい映画があったので久々に映画館へ足を運んでみました。
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観たい映画というのはタイトルにもある藤野 知明監督作品の「どうすればよかったか?」です。
かなり話題の作品なのでご存知の方も多いと思いますが、統合失調症の姉とその家族の様子を記録したドキュメンタリー映画です。
今回は、映画「どうすればよかったか?」の感想を語っていこうと思います。
8歳上の優秀な姉に突然の異変
始まりは、姉が医大生だった頃に統合失調症の症状が出始めたことでした。
救急車を呼んで一度は精神科にかかったものの、両親は精神科医の「娘さんはまったく健康です」という言葉を信じて、そこから受診させることはありませんでした。
両親とも医師免許を持っており、研究者だったこのご家庭は一般的な家庭よりも間違いなく医療知識があったはずで、なぜ当時の精神科医の言葉を信じてしまったのだろうか?と思いました。
ましてやセカンドオピニオンという選択肢もあった中で、一人の医師の言葉によって治療から遠ざけてしまったという事実がひとつ目のタイトルの「どうすればよかったか?」のという問いに私は感じました。
発症から9年経って弟は「家族」を記録し始める
姉が統合失調症を発症してから9年後、映像を学んだ監督である実弟は家族を記録し始めます。
カメラを回す口実として家族イベントを企画し、姉と両親をひたすら撮ります。
そこに写っていたのは、一見するとごくありふれた家族のイベントのように見えますが記録するごとに症状がどんどん悪化していく姉の姿でした。
家から出ない日も増えて、身なりも徐々に変貌していく姉の姿を監督である弟はどんな気持ちで撮影していたのだろうという気持ちで見ると切なくなってきます。
玄関に南京錠をかけた両親
この映画には、両親が姉を外に出さないようにと玄関に南京錠をかけてしまう衝撃的なシーンがあります。
映画を見る前は、娘を精神科にも連れて行かず、家に南京錠をかけてしまう両親なんて絶対に毒親で酷い人たちだろうと思っていた私でしたが、実際に映画を見てみると普通のご両親であることにびっくりしました。
映像には、終始穏やかで声を荒げることなく喋っている両親は、娘を溺愛しており南京錠をかけたのも娘が勝手に外出してしまうと、老いた両親が追いかけられないからという理由からでした。
一見、まともに見える両親ですが優秀な娘だっただけに病気と認めたくない気持ちもあったのだと思います。長い間治療を受けさせなかった理由も「自分たちの医学知識でなんとかいい方向にならないか」という思いもあったのでしょう。
しかし、家族だからこそ気づけない限られたコミニティでの異常性みたいなものを、この映画では感じます。
やはり、精神的な病気は家族の力だけではいい方向にいかないという見本のような作品です。
福祉や治療を受け入れることの大切さ
姉の発症から25年の月日が流れ、両親も次第に娘を支えきれなくなっていきます。
そこで、精神科医に相談し姉を入院させることに成功します。やっとです。退院したお姉さんは、私の素人目から見ても明らかに表情や、挙動も改善しているように見えました。
この家族のきっかけは悲しいことに「両親の老い」でした。よく「障害者の両親がいなくなったら…」と不安になる方も多いと思いますが、両親が老いることで、いい方向に向く可能性もあります。
きちんとした福祉や治療を受けることは、本当に大切だと気づかせてくれる作品です。
「どうすればよかったか?」タイトルに込められた想いを考察してみる
作品のタイトルにもなっている「どうすればよかったか?」の問いは、すでにこの映画の中で出ている気がするというのが私の感想です。
監督の中で答えは出ているけれども、あえて見る人にインパクトのあるタイトルとして投げかけることで嫌でも考えさせられるという狙いがあるのではないかと思いました。
あとは、もしもこの家族の出来事が「もしも自分の家族だったら…」という当事者意識を持たせることで「家族が精神的な病気になるのはどの家庭にも起こりうることで決して特別なことではない」というメッセージを投げかけているようにも見えました。
まとめ
今回は、映画「どうすればよかったか?」を見た感想について語ってきました。
この映画は、統合失調症の姉とその家族を記録したドキュメンタリー映画として、今までにはない題材で貴重な作品です。
精神疾患の当事者やその家族、また福祉に関わる人にはぜひ見て欲しい映画です。この作品を見てあなたなりの「どうすればよかったか?」を見つけ出してみてはいかがでしょうか?