3/27
電話の向こうは男性の声。
着信は母からのはず。
聞こえたのは
ジコ
の二文字。
職場を飛び出し車を走らせた。
パトカー、消防車、救急車。
警官の指示も待たず停車し、救急車に走り寄る。
血まみれの母。
私の最後の肉親。
手を握ると握り返してきた。
意識レベルはⅠー1、感覚異常、視覚異常等なし。
頭部の血腫は皮下か。頭蓋骨内はCTだな…出血箇所は何処だ?後頭部か?
一瞬看護師になって母の状態確認してしまった。
頭部皮下血腫、後頭部の裂傷は大きく縫合したものの、頭蓋骨、頭蓋骨内は異常なし。入院なく自宅にて経過観察で済んだ。
最後の肉親を失うところだった。
私は馬鹿だから、こんな目に合わないとわからないのだ。私が事故に遭えばよかったのに。何故母だったんだ。
大切なものを失うことへの恐怖を、自分ではなく、母に教わることになってしまった。
母に二度と自傷しないことを誓い、謝り、2人して泣いた。
どうか、
大切なものをたくさんかかえている人は、
いつ、だれが、どうなるか、わからない
そのことを、心に叩きつけてほしい
馬鹿な私のように、あとから気づくのではなく
日々、その一瞬一瞬が、最期かもしれないことを
知っていてほしい
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?